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2016.07.13
L.L.ビーンの年商を超える勢い 顧客と最強のコネクションを持つアウトドア・スポーツ「REI」が絶好調!!
アスレジャー人気のなか、大幅な店舗縮小をした「フィニッシュライン(Finish Line)」や、全店舗閉鎖をした「スポーツオーソリティ(SPORTS AUTHORITY)」もあり、スポーツ店全般が好調という訳ではないなか、アウトドア・スポーツギアを販売する「Recreational Equipment Inc.- REI」のビジネスが絶好調です。2015年の年商は、$2.4B(24億USドル)と既存店ベースで前年比7%増。600店舗以上を運営するスポーツチェーン店「DICK’S SPORTING GOODS」を上回る業績。「L.L.Bean」の年商$1.6B(16億USドル)も追い越し、パタゴニアはその3分の1ほど。他のスポーツ店と何が異なるのか、この企業のビジネスモデルを調べてみました。
REI (リクリエーション・イクイプメント・インコーポレート)とは?
1938年創業、シアトルベースのConsumer Cooperative「コープ」と呼ばれる協同組合によって運営される非上場企業。通常の株式会社とは異なります。自社開発のリーズナブルなアウトドアギア、アパレル商品を販売する米国最大のアウトドアスポーツチェーン店。店舗数は現在145店舗。ブルームバーグ誌の調査でも、「S&P500(※)」に算出されている小売り店を凌ぐパフォーマンス。
100%の顧客満足を創出するコープ会員の特典
現在の会員数は550万人、そのうち100万人は昨年の入会者。入会費の20ドルを支払うと、コープ会員ならではの特典を一生涯受けることができます。
―REIでの年間の買い物金額の10%の配当金がある(年に1回配当される)。―会員限定のクーポン券や限定商品のスペシャルイベントセールへの優待。―サイクリング・フィットネス・スノースポーツ・パドリング・キャンプ等のスポーツを体験できるクラスやイベントへの参加が値引き価格で受けることができる。―REIが主催するアドベンチャートリップへの参加がデイスカウント価格。―REIと提携しているマスタカードを使用すると、REIの商品は5%、食料品は2%、その他の買い物は1%のキャッシュバック。―スチュアードシッププログラム:REIが目指している、“リサイクル”“ゴミを減らす”“寄付”など、環境に考慮した様々な社会貢献的なボランテイアへの参加。
顧客との最強のコネクション!「アドベンチャー with REI」
マンハッタン・ノリータ地区の「REI」フラッグシップ店
数ある特典の中でも、「トラベル with REI」のサービスが取り分け人気を博しています。初心者への指導も完全サポートした、ハイキングやキャンピングクラス、アウトドアを伴うトリッププランで、アドベンチャーに必要な衣服のアドバイス、ギアの使い方のアドバイスに加え、REIの専門知識を持ったインストラクターが同行するというフルサービス。プロ集団の提供するトリップは保険も含め必要な物が全て含まれており、現在米国内を始め、世界7カ国へのアドベンチャープランがあります。参加会員はREIと密着したコネクションを持つ最強の顧客となり、アパレルギアの販売に繋がっています。昨年の秋にPBライン「REI Co-Op」をスタートしたところ、ダウンジャケットシリーズとメッシュのトラックハットはわずか20日間で$1M(100万USドル)を販売。競合店で販売しているダウンジャケットではなく、REIの商品を購入する大きな理由となっています。
人材は宝!専門知識のある従業員のトリート
日本では、当たり前の様に思われるかもしれませんが、アウトドアスポーツへの情熱を持ち、専門的な知識を持った従業員を確保することは、REIのビジネス戦略においては絶対的なこと。従業員達に対するリスペクトを持った対応をしており、昇進はもちろん、401K(給料から運用する年金制度の様なもの)も提供するなど従業員のモチベーションを満たしていることは、残念ながら、競合店ではあまり見られないことです。
REIが好調な理由とは
ミレニアルズ世代を中心に、経験を伴う商品への消費が強い傾向があり、海辺でのキャンプやハイキングの様子をインスタにアップするというのも動機の一つかもしれません。消費者にとって、キャンプやハイキングは恰好のエクスペリエンス、そのためのギアや衣類は必要不可欠として買う理由が成立しています。高品質のバックパックやハイキングシューズなど、ハイクオリティーのプレミア商品を好んで消費する傾向でもあります。そのほか、配当金の特典なども人気の要因といえますが、この企業がほかと決定的に異なるところは、商品を売りっぱなしにするのではなく、使用・体験するその先まで全てをサポートしていることに他なりません。 また、アスレチックスポーツの中で、自転車エクササイズの「ソウルサイクル」や、ダンスクラスの人気と同様、グループで行うスポーツ・イベントは単なるエクスペリエンスではなく、更なる繋がりをもったコミュニテイーを創出しています。「ハーレー・ダビッドソン」愛好者などと同様の現象であるといえます。
アパレル商品に生活雑貨を取り混ぜて、雰囲気だけライフスタイルと称したストアは多く存在しますが、その世界を眺めて終わりということも多くあるのではと思います。REIのケースは非常に特殊で、簡単に真似できることではないですが、身近なことから消費者と深いつながりを持つための、少しでもヒントになればと思います。
■REI公式サイト https://www.rei.com/
マックスリー・コーポレーション
マックスリー・コーポレーション ( CHIZU NISHIDA ) ■ビジネス関連のお問い合わせ:小林まで
【公式サイト】http://www.maxrecorp.com/ |