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2018.09.21

【ミラノ2019春夏 ハイライト2】リナーテ空港やプラダ財団施設でビッグなショー開催 色はアースカラーが主役に

 2日目は「マックスマーラ(MAXMARA)」に始まり、「フェンディ(FENDI)」「アンテプリマ (ANTEPRIMA)」「プラダ(PRADA)」「モスキーノ(MOSCHINO)」など。そしてリナーテ空港にて一般観客にも開放したショーを行った「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」が締めくくった。

マックスマーラ(MAXMARA)

 「マックスマーラ」の今回のインスピレーションは叙事詩、神話や伝説などの古典の中の女神たち…それも後年になって新しい解釈によって書き換えられ、登場人物たちがまるで別の人物像として生まれ変わった新しいヒロイン像を洋服で再現する。例えば、マックスマーラのデザインの女神ともいえるアンヌ・マリー・ベレッタが80年代に紳士用コートにインスピレーションを得てデザインした永遠のキャメルコートに対し、肩から袖にかけてルーシュをつけたり、ドットを施したり、または定番のウールではなくワックス加工やオイルスキン風の素材を使って作るなど現代風なアプローチを加える。また肩が強調されたボックスジャケット、クロップトパンツにレギンスをレイヤードするコーディネート、クロスボディバッグなど、まるで戦いに赴くような強いイメージを与えるアイテムも多く登場するが、そこにはワンショルダーのトップやドレス、胸元に大胆にあしらったルーシュなど合わせフェミニンさとのミックスさせている。

 前回のコレクションではバッドガールをオーセンティックにミックスさせていたが、今シーズンはそれをより奥深く追及しさらに進化させた形といえるかも。ゆるぎないアイコン的アイテムとブランドの上質さが根底にあるからこそ、様々な形で現代風にアプローチできる。だからマックスマーラは時代を超えて常に新しくいられるのであろう。

「マックスマーラ」2019春夏コレクション

フェンディ(FENDI)

 2日目が始まったばかりで今シーズンのトレンドと決めつけるのはやや気が早いが、ベージュ、タバコ、サンドなどのブラウン系を中心としたアースカラーはどうやら今季の主役になりそうだ。それが目立ったのが「フェンディ」のコレクション。

 前半のホワイト&ブラウンからオレンジ、ベージュ、バーガンディ…と温かいアースカラーが勢揃い。後半に登場する鳥やクジャクの羽根のようなモチーフ、フラワー柄なども自然ムードを盛り上げている。流れるようなひざ下丈のマイクロプリーツやフレアスカート、パフスリーブやコクーンシルエットなど、品よく柔らかいフォルムが多い一方で、アウター類のほとんどには存在感のある大きなポケットが各所についていたり、ウエストポーチや携帯用などの小物ケースがいくつも着いたベルトなど、ワーク、トラベル、カントリーといった自然を連想させるテイストや雰囲気も感じさせる。

「フェンディ」2019春夏コレクション

プラダ(PRADA)

 今年4月のプラダ財団施設全完成グランドオープン後としては初めて、レム・コールハース設計による塔でランウェイショーを行った「プラダ」。メンズのショーと同様、60年代にヴェルナー・パントンがプラダのために作ったVERPANという空気で膨らますタイプの透明スツールが経度・緯度表示が示されたポイントにおかれ、それが客席になっている。

 前回のコレクションでは、80~90年代に一世を風靡したナイロン素材の復活が注目された「プラダ」。大ヒット作品を今の時代の波に乗せて新しく現代風に昇華したのは見事だ。その同じ流れとして扱うのには少々無理があるかもしれないが、今回のコレクションでは「プラダ」が持つ独特の健康的な上品さやお行儀の良さとった部分のイメージを、大きく強調しながらもその一方で壊して新しくした感がある。

 首まできっちり締めた白襟のシャツやダブルのコートドレス、ビジュー飾りのついたAラインのミニドレス、ボー飾り、ボックス型のバッグや膝丈のソックス、そしてカチューシャ…。こんなスイートなお嬢様イメージのアイテム達にサイクリング用パンツのようなショーツ、胸元や背中がV字に大きく開いたトップスたち、胸元や背中やひじ部分などに開けた穴、トランスペアレント素材のスケスケのスカートやドレスなど、その甘さを打ち消す腕白さやセクシーさといった反対要素たちが絡み合う。そして色やプリントは原色やネオンカラーを多用したり、オプティカル柄やイラスト、スプレー仕上げやタイダイのようなプリントまで入れ込んであくまでポップでカラフル。今までのプラダにはなかったような挑戦も多いが、それでいて「プラダ」っぽい。それは甘さを引き立てるために少量の塩が効くようなものなのかもしれない。

モスキーノ(MOSCHINO)

 インビテーションの趣向も楽しみな「モスキーノ」のショー。今回は5色入りのマーカーセット。割とシンプルにカラーがテーマなのかと思いきや、クリエイティブ・ディレクターのジェレミー・スコットはショーピースたちの生地をマーカーで塗ってしまった! 

 ショーのセットは作業中のアトリエ風で、そこから出てくるモデル達はプロトタイプ、ということだろうか? 洋服から帽子、バッグ類、ストッキングに至るまで、素材はすべてフリーハンドで塗ってあったり、ストライプやハート、花柄、そしてモスキーノのロゴなどもまるで子供のお絵書きのようなヘタウマな感じで仕上げてある。それを引き立てるかのように、シルエット自体は比較的オーソドックスでモスキーノ定番のシガレットパンツやタイトスカートのスーツやコンシャスなミニドレスなどだ。

 中盤以降はそれにハサミやメジャーのフォルムのドレスや、まだ裁断が終わっていないかのように反物がバックトレーンになったドレスも登場。そして同じような感じでトレーンの上に蝶々が飛び回るようなウエディングドレスでフィナーレ。

 完璧にできているものは面白くない、不完全なものにこそ魅力がある、ということか。ジェレミー・スコットのクリエーションは尽きることがない。

「モスキーノ」2019春夏コレクション

エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)

 そして今回のファッションウィークの目玉ともいえる、「エンポリオ アルマーニ」のリナーテ空港を使ってのショー。普通に機能している空港の最終に近いフライト(チェックインは終えた時間帯)から空港内はほぼ貸し切りでイベントが行われた。同ブランドは長年空港の機体倉庫に広告を掲げており、ミラノの空の玄関口でお出迎えをしてきたが、今回、エンポリオ・アルマーニをメンズ・ウイメンズ統合とする初のショーの舞台として、その倉庫をランウェイに選んだとか。

 最初の統合ショーの貫録を見せつけるがごとく、圧倒的なルック数を発表しアルマーニの魅力のすべてを集結したような今回のコレクション。メンズは全体的にスポーツとリラックス感を色濃く出し、ジャケットはソフトなシルエットなものを素肌に直接はおったり、バミューダと合わせたり。パーカやアノラックなどの本格的スポーツギアも多数登場。

 ウイメンズに関しては、お得意のゆったりしたラインの流れるようなシルエットから、メンズライクやスポーティなどの要素もあるが、いずれにしても透け感のあるエアリー素材を重ねるレイヤードや、光沢とマットまたはソフトな素材とハードな素材の組み合わせなど、素材ミックスが特徴的。色はグレージュを筆頭に、ペール、サンド、ブルーとアルマーニカラーがオンパレードする中、特にウイメンズでは中盤以降のネオンカラーやラメ、スパンコールのフリンジなどの煌びやかなピースが圧巻。

 ショーの後にはロビー・ウィリアムスのコンサートがあり、深夜を過ぎることまで盛り上がりは続いた。

「エンポリオ アルマーニ」2019春夏コレクション

ヘルノ(HERNO)

 今年70周年を迎える「ヘルノ」。本格的なアニバーサリーイヤーらしく、話題盛りだくさんのコレクションを展示会で発表した。

 まずはライトブルー、キウイ、ライム、オレンジやフューシャなどカラフルな色がポイント。また都会的ストリートウエアのトレンドを意識したビッグシルエットボンバーや、オリエンタルテイストのジャカードのボタニカル柄 着物シルエット(着物スリーブ、帯風ベルト)オリエンタリズム、そしてブランドのオリジンに戻ったクラシカルなトレンチコートも登場。素材の開発もさらに進み、スパンコール仕上げの薄いメッシュ、肉厚ツィード、ショールカラーのオードリー素材などさらに進化している。

 また70周年アニバーサリーコレクションのフォックスファー付きダウンとトレンチコートが登場。本社スタッフが「ヘルノとは何か」という問いに答えた直筆のワードを採用した生地で仕立てられている。

エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)

 プレゼンテーション形式でコレクションを発表した「エミリオ・プッチ」は、アーカイブのリメイクではない全く新しい、ヴィッラ、シェル、リビエラという3種のプリントを発表。新プリントにあわせ「カリブ海への旅」をテーマとしたコレクションを発表した。

 夏の輝きを表すジューシーなパレットと躍動的なデザインのプリントを使い、ほどよくボリュームがきいたなめらかなラインで着回しのよさと快適さを追求したデザインのテーラードシャツ、シャツドレス、プリーツスカート、薄手 のニット、プリーツパンツ。テーラード・ピーコートとノーカラージャケット、ナイロントレンチコートなどが登場。

「エミリオ プッチ」2019春夏コレクション

サントーニ(SANTONI)

 「OUT OF OFFICE」というテーマで、女性のオフの時間の様々なシーンを、人を入れることなくリアルに演出した「サントーニ」のプレゼンテーション。春夏らしい明るいネオンカラーやラフな感じのイントレチャートのサンダルが、ラミネート加工、スパンコール、リボンなど華やかな装飾を施した、マルコ・ザニーニのデザインによる洋服のコレクションに新作と呼応し、華やかで遊び心溢れた雰囲気だ。

取材・文:田中美貴

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