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2019.02.14

楽天の「楽天市場」 独自物流網が順調に拡大、店舗からの集荷も開始

 楽天が、「楽天市場」出店者向けに独自の配送ネットワークを構築する「ワンデリバリー」構想を発表してから1年が経過した。自社配送「楽天エクスプレス」はエリアを拡大しており、店舗の荷物配送も開始。今年に入ってからは新たな物流センター2拠点を開業したほか、物流代行サービスの関通との提携を発表するなど、着々と事業を拡大している。2020年までに全店舗の商品を同社が配送する仕組みにするという目標は達成できるのか。

  
 昨夏の店舗向けイベントで、「(独自物流を)やらなければ将来は開けない」と決意を語った同社の三木谷浩史社長。昨年1年間、物流網の整備を着々と進めた。楽天エクスプレスの対応エリアは、東京23区のほか、多摩地域の一部、千葉県の一部、横浜市・川崎市、埼玉県の一部、大阪府の一部まで拡大している。今年中には首都圏をほぼカバーし、関西圏にも展開していく予定だ。

 同社で物流事業を担当する、執行役員の小森紀昭コマースカンパニーロジスティクス事業ヴァイスプレジデントは「物流サービスの拡大については比較的うまくいった。物流を切り口としたマーケットプレイスの機能強化で差別化を進めているわけだが、マーケティングやユーザーインターフェースと連動していなければユーザーには伝わらないので、システムやデータ分析による改良など、バックオフィスとの連携も重要だ。このあたりが統合されるのが20年になるのではないか」と自信を見せる。

 同社では一時期、全国5地域に8拠点の物流センターを設ける計画を立てていたが、14年に撤回した経緯がある。今回の事業は前回の構想と何が違うのか。小森執行役員は「コンセプト自体は良く似ているが、外部環境がまったく違う」と解説する。5年前は、1日100個しか出荷しない店舗でも、同社が出す見積もりよりもかなり安いケースがあったという。「当時は宅配会社の支店がどんぶり勘定で出した見積もりが通っていたわけだが、結果的には『運賃適正化』のもとにそれがなくなった。現在は荷物を集約するメリットが生まれている」(小森執行役員)。さらには、データ分析力も当時に比べて上がっていることも大きいという。楽天市場出店者の物流業務を請け負う「楽天スーパーロジスティクス」を強化する構想がもともとあったからこそ、急速な立ち上げが可能となったわけだ。

 同社が目指すのは、これまで宅配会社が手がけてきた汎用的な配達を超えたサービス。楽天エクスプレスでは「置き配」に取り組んでいるほか、西友と手掛けるネットスーパー事業においては、注文当日の配達や3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)での管理に取り組んでいる。楽天市場向けの当日配達にも「年内にもチャレンジしたい」(小森執行役員)という。

 

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