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2018.09.12

激安ファッション「プライマーク」にファン急増中 2017年“米国での急成長企業”1位に

 NRF(ナショナル・リテイル・フェデレーション)の調査による、米国の急成長企業トップ100が発表されました。7位と10位が、同じペット関連企業である以外は全く異なるカテゴリーの企業がリストされています。9位の「アルタ・サロン・コスメティックス&フレグランス」は低価格商品から高級ブランドまでを取り扱うドラッグストアとして人気で、幅広い顧客層を確保。ロイヤリティプログラムや顧客別にパーソナライズされたサービスで急成長を遂げている企業です。8位の「ファイブ ビロウ」は5ドル以下のファッション雑貨商品でティーンに人気のチェーン店。現在692店舗で、第3四半期に向けてさらに50店舗オープンすることが予定されています。マンハッタン5番街への進出が発表されており、トイザらスのシェアを奪う企業としても注目されています。「タペストリー」に社名変更した「コーチ」は6位にランクインしました。

  企業名 カテゴリー  2017年度売上高
(USドル) 
 昨対比
1 プライマーク(PRIMARK) ファストファッション 98億9,000万  103%↑
2 バスプロショップ(BASS PRO SHOPS) アウトドア用品 78億4,000万 94%↑
3 ビルドコム(BUILD.COM)  家庭用部品 44億9,000万 47%↑ 
4 アマゾン(AMAZON) ECサイト 1,559億ドル 45%↑
5 ウエイフェア(WAYFAIR) 家具・インテリア 47億ドル 36%↑
6 タペストリー(コーチ)(TAPESTRY) バッグ&アパレル 57億ドル 33%↑
7 ペットスマート(PETSMART) ペット関連商品 86億4,000万 28%↑
8 アルタ・サロン・コスメティックス&フレグランス コスメ&サロン 12億9,000万 28%↑
9 ファイブ ビロウ(FIVE BELOW) 5ドル以下雑貨 58億9,000万 28%↑
10 ペットリテイル(PET RETAIL BRANDS) ペット関連商品 15億8,000万 27%↑

急成長企業ナンバーワン!プライマークの戦略

 

 大変気になるのが、1位に躍り出た英国のファストファッション企業「プライマーク」。2015年、ボストンに初出店以来、現在9店舗に拡大しています。ファストファッションの低迷が伝えられるなか、競合店と比べても圧倒的な低価格を売りにする企業の進出は驚異的な存在といえます。今年の7月にはブルックリンの「キングス・プラザ・ショッピング・センター」に進出。インターネット販売の拡大により、店舗の縮小や減床などを余儀なくされる企業が多いなか、通常店舗の40%も広い5万8,000平方フィート(約5,388平米)の店舗をオープンしています。試着室56カ所に、キャッシャーは42台という大型店舗です。ちなみにリベラム(Liberum)社の調べによると、競合店との売り場面積と1平方フィート当たりの売り上げ比較は以下の通り。商品の平均小売り価格が圧倒的に低く、ロー・マージンでハイボリューム販売が必須となるプライマークにとって、売り場面積の確保は必然といえます。

ショップ名   平均売り場面積
1平方フィート当たりの売り上げ
(USドル)
レディスジーンズ
(USドル)
メンズシャツ
(USドル)
 プライマーク 4万180平方フィート/3732平米  682

 13.00~17.00

10.00~15.00
 ザラ

1万6,146平方フィート/1499平米

 607 49.90 45.90
 ギャップ  1万2865平方フィート/1,195平米  414 49.00 39.00~49.00
 H&M  9,915平方フィート/921平米  331 19.00~29.00 24.00~29.00

オンライン販売をしない理由

 

 プライマークはEC販売を行っていないため、多くの米国民は購入するチャンスがありません。大きな商機を失っているようにも思えます。しかし同社は2013年、ASOSとパートナーシップを結びEC販売を試みたことがあるのですが、わずか12週間で終了となりました。トレンド商品をどこよりも低価格で提供していることで消費者を惹きつけている戦略上、送料や返品コストが大きな妨げとなるからです。

 

 ECによる成長ではなく、ローマージン、ハイボリューム商品を店舗で販売する戦略です。また現在のところ、出店のテンポもスロー。しかしながら、顧客はあまりの安さから、食料品店のように、ほしいものをバスケットに山盛りにしながら購入していることが伝えられています。

「低価格帯」戦略はまだまだ強い!

 若年層を中心にECでの販売が拡大し需要が拡大する一方、プライマークは店舗拡大による戦略でどこまで成長することができるのか疑問はあります。しかし、米国で婦人アパレルに消費される平均金額は年間で571ドルと言われ、高所得者層の10%が年間1,286ドル消費しているのに対し、低所得者層は312ドルとかなりの相違があります。中間所得者層の縮小が物語っているように、オフプライス店に見られる「ディスカウント」「低価格帯」というキーワードは、まだまだ、多くの消費者を惹きつけているようです。そして両社に共通しているのは商品の回転とボリューム、低価格のトレジャー・ハンテイング(宝探し)的要素があるのではないでしょうか。


 

 

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