PICK UP

2018.09.07

第14回のゲストはThe SECRETCLOSETファウンダーの小野瀬慶子さん SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」

 USEN(東京、田村公正社長)が運営する音楽情報アプリSMART USENで配信中の「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」。ウェブメディア「ジュルナルクボッチ」の編集長/杉野服飾大学特任教授の久保雅裕氏が、ファッション業界で活躍するゲストを招き、普段はなかなか聞けない生の声をリスナーに届けるが、アパレルウェブでは、その模様をレポートとして一部紹介していく。第14回のゲストは、「ザ シークレットクロゼット(The SECRETCLOSET) 」ファウンダー/「シクラス(CYCLAS)」クリエイティブディレクターの小野瀬慶子氏。

 

<前略・イントロダクション>

 

小野瀬:小学生の時かな?祖父がプレゼントとして送ってきてくれたワンピースに子供ながらにとても気持ちが高揚したんですね。そこが私のファッションに対する原点かな。すごく気持ちが高揚して、とても楽しい気持ちになって。やっぱり「そういう気持ちを味わいたい」あるいは「それを提供したい」っていうところが遡るとお洋服に対する原点かな。母親の手を引っ張ってデパートに行って、「私は絶対このケープのついた赤いコートが欲しい」というのを主張する子供でした。

 

久保:じゃあもう当時からファッションコンシャスだったんだ。

 

小野瀬:そうですねぇ。中学生の時には「お洋服の仕事をしたい」という風に思っていたと思います。

 

久保:その頃は、洋服の仕事っていうとパッと思いつくのはファッションデザイナー!みたいな感じなのでしょうけど、そんな風に思っていたのですか?

 

小野瀬:うん、ファッションデザイナーになりたいって思っていたと思います。

 

石田:へえ~!

 

久保:じゃあ実現したんですね。その仕事!

 

小野瀬:そうですね。

 

石田:自分でお洋服を作ったりとかも、お子様の時代でもされてたとか?

 

小野瀬:そうですね。高校生の時は学校が私服だったんですね。毎日着ていくもののコーディネートを考えるのに自分が持っているお洋服を全部ミニ絵に描いて、壁にピンで貼り付けて、「今日はこれとこれ」っていうことを高校生の時にはやってました。

 

久保:スタイリストみたいだ!

 

小野瀬:そうですね。お洋服を職業としてそんなにはっきり意識してたかどうかは別ですけれども、とにかくなんかお洋服が好きだったんですよね。毎日そのことばっかり考えていました。明日何を着ていくか合わせてみてちょっとシルエットが少し違うなと思ったらワンピースの丈を上げたりというのを、高校生の時にはしてました。

その時にもう少し職業の選択っていうのを考えたら良かったのかもしれないんですけれども、もう「当然お洋服の仕事をする」っていう、なにか取り憑かれたような状態で、だからそこを考えるっていうことがあんまり無かったかなあ…。ほかの選択肢と比較するとか。ただ両親は、「もう少しいろいろ社会を知ってから職業を選択してもいいんじゃないの」ということで、高校卒業するときに専門学校に行きたかったんですけれど、「やっぱりきちんと大学に行って勉強して、もうちょっと世の中の事をいろいろ知って、それでもお洋服の仕事をやりたかったらサポートしてあげるから」ということで。

 

<中略・大学、専門学校から伊藤忠ファッションシステム、そしてUAへ>

小野瀬:コンサルタントの仕事は、ビジネスのプリンシパルじゃないわけですよね。アドバイスをして、実際に事業をやられるのは、その事業体の方で。そこでコンサルタントという仕事から、もう一歩踏み込んで、「自分たちでファッションの事業をやる仕事を次にしてみたい。より最終の消費者である女性たちに近い業界がいいな」って思ったんですね。「その方が自分のやっていることのメッセージがよりダイレクトに伝わるのかな」と思ったんです。それで小売業で仕事をしてみたいなと。

 

久保:伊藤忠ファッションシステムは何年くらい居たのですか?

 

小野瀬:5年です。

 

久保:まあ5年もやってくると、会社的には、「そろそろじゃあこいつ頑張ってもらおうか」って思う時期じゃないですか。どうだったんですか?

 

小野瀬:そうですね、すいません。(笑)

 

<中略・ロンドンからザ シークレットクロゼットへ>

 

小野瀬:お店のコンセプトも、本当に隠れ家的な、自分のその時に住んでいたロンドンのアパートのリビングルームのような環境で、本当にゆったり、買い物をリラックスしていただくっていうコンセプトでオープンしたお店なので、ウィンドウもなく、一見ドアもどこにあるかも分からないという。本当にその隠れ家っていうのを意識したお店を立ち上げました。 

 

石田:ザ シークレットクロゼットってそこから来ているのですね。

 

小野瀬:そうです!

 

久保:今度はオリジナルのブランドを立ち上げるってことになるわけですね。当時はオリジナルではあってもシクラスという名前は付けてなかったんですね、最初は。

 

小野瀬:そうです。ザ シークレットクロゼットという名前で少しずつモノづくりを始めて、実際にそのモノづくりの色々な奥行きというか、奥深さを勉強しながらモノづくりを始めたのですが、自分たちが作っているものを、もし海外に持っていったらどのように評価されるのか、それにちょっとチャレンジしてみたいなと。

 

久保:今は、何十型と作られていますけど、要はここへ来てやっと子供の時の夢が叶ったわけですよね。

 

小野瀬:そうなんですよ。

 

久保:ここまで時間かかりましたね。

 

小野瀬:ほんとですねぇ。

 

久保: 文化に行ってる時には、「私はファッションのブランドを作るぞ!」って思ってたんでしょうけど、ここまで時間がかかったのは何故なんですか?もっと早くに独立してブランドを立ち上げるとかしなかったのは。

 

小野瀬:たぶん気持ちのどこかで「自分でモノづくりをしてブランドを作りたい」っていうのはずっと在ったと思うんですけれども、たまたま面白い仕事とか、そういうのに恵まれたからですかね。

 

久保:確かにね。「自分がこれやりたい」って思っていても意外と違うことやっていても「これ面白いじゃん」ってなっちゃうってこともたくさんありますよね。で、気が付かないところで自分の能力が発揮されたりする。「はっ、もしかしたらこっちが天職かしら」とか。

 

石田:でもいろんな能力をお持ちですよね。そういう組織をまとめるっていう能力もそうですし、それから、そのマーケティングや分析力もあり、そしてそのクリエイティブ。ご自身でデザインするっていう。

 

久保:マルチですね。「天は二物を与えず」っていうのは、どういうんだっていう感じですよね。(笑)

 

<中略・ファッションがもたらす高揚感、現在の女性に対する考え方について>

小野瀬:若い方へのメッセージ…。そうですねえ…。「自分が好き」とか「自分がこれが良い」と思ったものを信じるっていうことですかね。あと、それを形にするための努力と情熱、これを持ち続けられれば必ず形になると思います。

 

久保:情熱って大切ですよね。

 

小野瀬:そうですね。

 

久保:仕事ってなんでも情熱ないと駄目ですもんね。

 

小野瀬:そうですね。情熱と、しつこさみたいな(笑)諦めない!

 

久保:諦めない、ね。実際失敗したなって、諦めかけた時ってありました?

 

小野瀬:それは失敗はたくさんありますし、多分「100%出来た」と思ってないから、まだ仕事しているんだと思うんですよね。

 

久保:まだまだこれからやらなきゃいけないことがある。

 

小野瀬:そうですね。前回はこうだったけど、今度はこうしたいっていうのがあるから仕事をしているのだと思います。

 

石田:これからどんな展開が待っているのでしょうか。私も「シクラスが似合うような女性になりたい」と思って頑張ります!

 

久保:頑張ってください(笑)いや、大丈夫ですよ、今でも。

 

小野瀬:全然、素敵なので。本当うちのお店に是非是非遊びにいらしてください。

 

<後略・クロージングトーク>

メールマガジン登録