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2014.01.29

米ヴィクトリアズシークレット、カタログを通じた顧客とのエンゲージの仕方

 米国のリテールの中でも積極的にテクノロジーの世界と融合しているのが「Victoria’s Secret (ヴィクトリアズシークレット、通称VS)」。リミテッドグループの傘下にあるリテールブランドとして知られ、ランジェリーを中心にアパレル、靴、コスメなどのビューティ用品などを扱っています。

 

 “カタログを通じて購入出来るアメリカのランジェリーブランド”という印象をもっていた方も、今では海外へ行けば様々な都市で路面店も見つけられますし、またショッピングモール内でもVSのショップが必ずといって良い確立で出会えます。

 そして私たちの日々の生活の中で当たり前の様にテクノロジーとの関わりが増え、ヴィクトリアズシークレットではスマートフォンのアプリを開発。

 ヴィクトリアズシークレットのストアに訪れなくても 「ウェブサイト」「電話」「アプリ」そして「メールオーダー」と、更に4つの方法で商品を購入することが出来るまでサービスが拡大されました。

 この時期郵便で届くカタログは水着などの「リゾート」コレクションを中心に紹介。 

 

 益々オンラインとオフラインのビジネスがシームレスになる中、ヴィクトリアズシークレットのカタログもこれまでの様なただページをめくって商品をチェックする物だけではなく、正に「ファッションとIT」が融合した、“オフラインだけどオンラインな仕組み”でリピーターである顧客を飽きさせない工夫が行われています。

 

 ヴィクトリアズシークレットのアプリ(iOS / Android)では、手元に届いたカタログをアプリに搭載されている「スキャン機能」を活用し、カタログに紹介されている商品のページをスキャンすることにより、モバイルショッピングを楽しみながらブランドの様々な最新情報をチェック出来るようになっています。

 こちらのナミビア出身のモデル、ベハティ・プリンスルー(Behati Prinsloo)。Victoria’s Secret PINKのコレクションの顔として2008年に抜擢されたことはその頃ブログでも紹介させて頂きましたが、彼女も今ではヴィクトリアズシークレットのトップモデル。

 

 そのベハティが着ている水着をアプリを使ってスキャン。一旦ページを読み込み、商品の詳細を見ることが出来るアイテムの場所にピンク色のマークが表示されます。

 

 ピンク色のマークをタップすると数秒後にはモバイルサイトの商品のページが開きます。

 こちらのページでは同じ様に商品詳細を見られるだけでなく、カタログの右下にハッシュタグ「#AngelGetaways」の文字が。ブランドとお客様を繋げるソーシャルメディアの存在もアピールが見られます。 

 

 そのページをスキャンしてみると、ハッシュタグ上に描かれたパラソルのマークがピンク色にハイライトされ、その部分をタップしてみると360万人以上のフォロワーを持つヴィクトリアズシークレットのinstagram(インスタグラム)ページが開き、ブランドのオムニチャンネル化を感じさせます。 

 

 開いたページでは、インスタグラムに写真を掲載した際に「#AngelGetaways」のハッシュタグが付けられた写真のみが表示されます。こうしたハッシュタグの活用は、ファンがブランドと接点を持てる機会を作り、ブランドがビジュアルで瞬時にファンに伝えたい事を発信できる事がポイントです。

 こちらのページでは、先ほどと同じ様にコマースへと飛ぶだけかなと思いきや、スキャンした途端に6秒程のムービーが再生。その後に商品詳細ページが開きました。

 

 日頃オンライン、オフライン関係なく買い物をする中で、ストアに訪れた時だけの細やかなサービスや特別な体験だけでなく、自宅に居てもファンの気持ちを冷ますことなく工夫されたサービスを行うヴィクトリアズシークレット。 今後ソーシャルメディアを活用する際、是非今回の事例を参考にして頂けたらと思います。 


 

RINA  

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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