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2014.01.22
イタリア製にぞっこん!BRANDY♥MELVILLE にはまるミレニアルズ世代
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人気店が集中しているソーホーのブロードウエイ、その中でもひときわ、若い女性達で大変混雑しているブティックがあります。間口の狭い店なので、うっかり通り過ぎてしまいそうな店なのですが、店内はなんだか混んでいる! イタリア発の「ブランディ・メルヴィル」、ヨーロッパを入れてもトータルで僅か27店舗。米国には17店舗ありますが、殆どがカリフォルニア州。NY には、ソーホーの1店舗だけなので、初めて耳にされる方も多いかもしれません。マイリー・サイラス、パリスヒルトン等のセレブも着用しているこのブランド、僅か27店舗でも、インスタグラムのフォロワー数は、800 店舗を展開するアバクロンビー社の全ブランドを合わせた数より多い138万人超え! デジタル機器と共に育った、ミレニアル世代、10代から大学生が主な客層です。昨年、ニュージャージ州のショッピングモールにもオープンし、人気ぶりに驚いていますが、その真相に迫ってみました。
ブランド・コンセプト
ブランディというアメリカ人女性と、メルヴィルというイタリア人男性がローマで恋に落ちたというのがブランドネームの由来。ロゴの2つの名前の真ん中にハートマークが入っています。イタリア発のブランドで、アメリカ西海岸のライフスタイルにインスパイアーされた、カジュアルシック・コーデイネート。 イタリアのクラシックなスタイルに、ヴィンテージ感をプラス。フェミニンさにアーバンテイストをツイスト、若々しくアクテイブな女性の為のリラックススタイル。無理なく、スタイリッシュにコーデできるのがブランディガール流。
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ニュージャージー州のショッピングモール店。ハートマークの入ったブランドロゴが印象的だ。
値ごろな価格
アウターが38~55ドル、ボトムが22~39ドル、フォーエバー21 よりは高額で高品質、アメリカンアパレルや、アーバンアウトフィ ッターズよりは低価格。 若い世代のお財布にも優しい値ごろ感です。ルーズフィットでコンフィーなニットアイテムを中心に、アウター、トップス、ボトムス、ワンピ、ファッションジュエリーや雑貨も扱っています。 現在、イタリアには店舗がなく、2009 年、カリフォルニア上陸後、店舗が増えていることから、西海岸で成長したブランドなのでしょうね。
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ソーホー店の入り口
ヤングガールを虜にした『MADE IN ITALY』
最大の特徴は、全ての商品が“イタリア製”という事。 生産&輸入コストを考えると信じがたい価格設定ですが、とにかく、イタリアの素材を使用した、イタリア製なのです。アメリカ向けには100ドル以上、その他の海外向けには250ドル以上でイタリアから無料送付サービスもあります。品質よりも、値段とデザインを重視するのが、今の若い世代。米国ではMADE IN USAブランドを育てるのに躍起になっている中、どこ製だろうが全く拘らないと言われているのもこの世代。しかしイタリア製はやはり話が別だった! ポストベビーブーマーと言われる彼らにとっても、“イタリア製”は魔法のワード。“イタリア製”というプレミアム感がプラスされた事で彼らのハートをわしづかみ! 価格帯は似ていますが、一連のファストファッションブランドとは全く異なるアプローチを見せています。
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買い物客でごった返すソーホーの店内
口論を巻き起こした『ONE SIZE FITS ALL』ルール
店頭デイスプレイの中で驚くのが、もう一つの特徴でもある『ONE SIZE FIT MOST』のサイン。ゆったりとしたシルエットが売りとは言え、全ての女性にワンサイズのみでフィットする訳がなく意図的にスリムな女性に限定して作られている事がわかります。当然の事ながら、これに反発する女性もおり、プチサイズの女性向けのブランドがあっても良いが、このサインは完全に偽りであり、 消費者をだましているとばかり、サイズの追加をめぐりブログ等での反論がされているようです。ビッグサイズを作らない企業は他にも有りますが、ワンサイズのみというのは非常に珍しいケース。 企業として成長する上でもせめて3サイズ展開あっても良さそうな物ですが、今の所、このポリシーを曲げる気は無さそう。フィットする女性が限られながらもファン数が多いのが不思議な現象。
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ソーホー店のレイアウト
リラックス感が時代を象徴
コンセプトの中で共感を覚えるのが、“無理なくスタイリッシュ”というワード。 経済不安にさらされる10~20代にとって、価格的にもスタイル的にも無理がないというのは、心に響くマジックワード! ブランドロゴが誇張されていない事も、時代にフィットしていますが、低価格でキラキラのトレンドファッションが、溢れる中、肩肘張らず力を抜いた“リラックス感”がクールでキュー トだと支持されるのは今の時代を象徴しているといえます。先日のゴールデングローブ賞で話題になった、ドラマ『GIRLS』の主人 公達は、大学卒業とともに、リセッションを迎えたまさにミレニアルズ世代。『ゴシップガール』や『セックス&ザ・シティ』のスタイリッシュな世界感と異なり、ブルックリンのアパートで暮らし、時には不要品をガレージセールで売り、懐が寂しくなるとラン チも抜く経済力の乏しさがこの世代を物語っています。ドラッグ、タトウ等、世代特有のエピソードが持つリアリティが支持されているのですが、こういった若者層が米国に存在するのも事実。 「ブランディ・メルヴィル」の消費者層はこれだけではありませんが、リラックスコーデが求められる背景に、時代を象徴するこのドラマがふと重なります。
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スタイリッシュでありながらリラックス感あるスタイルが支持されている(ニュージャージー州のショッピングモール店)
デジタルコミュニケーション
ミレニアルズ世代(1970 年後半~1990 年代に生まれた世代)の60%が、自身のコーデイネートや、試着した商品を動画でアップしているそうですが、ブランディガール達も、デジタルコミュニケーションはライフスタイルの一部。 購入した商品を動画で紹介するユーチューブのHAUL VIDEOやインスタグラム等を利用して投稿しています。主婦層のみならず、女性の口コミはどんな広告よりも即効性がある、フォロワー数からも納得のパワー。
「ブランディ・メルヴィル」は、まだまだ、ファストファッションチェーンと比べる規模の企業ではありませんが、デジタル機器やメ デイアと共に成長した世代のショッピング傾向が見え隠れします。飽きっぽく、ブランドコラボや使い捨てのトレンドファッショ ンだけではアピールしない、ライフスタイルを読み解きながら彼らの心を踊らせるプラスαが必要なそんな時代が迫っています。
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