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2015.08.05

NYコレクションメンズを通じて見た「NY X ファッション X テクノロジー」のコラボレーション(2)

ショーへのチェックインはデジタルがイージー

 前回のコラムに引き続き、7月に初の開催となったニューヨークファッションウィークメンズ(NYFWM)について紹介したと思います。

 

 NYFWMでは、Amazon(Amazon Fashion、East Dane、MyHabit)、Tumblr(タンブラー)、Cadillac(キャディラック)、時計のShinola(シャイノーラ)などがスポンサーとして参加したことにより、メイン会場となったスカイライトクラークソンは、メンズイベントらしい無駄のない洒落た空間が完成されていました。 メンズウィークでも会場でのショーのチェックインは、受付カウンターでの対応の他に「Fashion GPS」のデジタルチェックインが用意されており、ショーを観に世界中から訪れる関係者に、スムーズに対応していました。

 

 スカイライトクラークソン外でのショーは、大概がアイパッドを使い招待客のチェックインに対応していますが、プレスによってはまだリストをプリントした紙をめくり、アナログ対応のところもありました。

SNSとの取り組みは今や定番に

 会場内に一歩足を踏み入れると、様々なデジタルメディアとのエンゲージに迎えられました。今回のNYFWMの開催実現に大きな力を貸してくれたCadillacは、会場の外にインフルエンサー的存在のストリートスタイルフォトグラファーによる撮影ブースを設営。ショーへ訪れる人たちがそこで撮影してもらう事ができ、その写真は会場のラウンジ内にあるモニターに表示されるようになっていました。こうした取り組みに対し、デザイナーやファッション業界の重鎮、エディター等が積極的に参加している姿勢は、今回初となったニューヨークコレクションメンズを一丸となり成功させようという意気込みを感じさせるものでした。

 Amazonの子会社であるオンラインリテールの「East Dane」のラウンジスペースでは、ハッシュタグ<#StyleDiscovery>を活用することで、こちらもモニターにランダムに表示されるようになっていました。 「East Dane」をご存じない方は、一度eastdane.comへアクセスしてみてください。良い感じでブランドが集められ、商品のキュレーションとしても良いです。

 Amazonでは会場内にもうひとつ「Characters Clash」というブースを設置。カウンターにはAmazon Kindle Fire HDX8.9 を4台設置し、Amazonのタブレットを使えば簡単にオンラインショッピングができることを紹介していました。

パソコン、携帯、チャージできる環境はマスト

 会場内には程よい数のレザーのソファーが用意され、雰囲気はインダストリアルなブティックホテルのレセプションのよう。ウィメンズコレクションの会場に比べるとメディアブースという規模ではないですが、コンセントを用意したワークステーションも準備され、リアルタイムに情報をアップするメディア関係者には有難いスペースでした。

 モバイル時代の今、何よりも嬉しいのは「ChargeItSpot(チャージイットスポット)」による、携帯電話が無料でチャージ出来るサービス。コインロッカーみたいな感覚で、鍵のかかるボックスに入れ、携帯電話が充電が出来ます。このChargeItSpotのサービスは、実は既にラグジュアリーデパートの「Bergdorf Goodman(バーグドルフグッドマン)」や、59thの「Bloomingdale’s(ブルーミングデールズ)」、「Urban Outfitters(アーバンアウトフィッターズ)」、そしてソーホーの「Under Armour(アンダーアーマー)」でも設置されており、今後もこうしたリテールとのパートナーシップが拡大していくように感じています。

 

 ChageItSPotでは、アプリもリリースしていますので、ニューヨーク出張へ来られる際にインストールしておくと、どこにチャージ出来るスポットがあるか検索出来るので便利です。

ヘルスコンシャスなフードがファッションには欠かせない

 会場内には農家直送の新鮮な素材のみを使用し、ヘルシーなメニューを展開する「Dig Inn(ディグイン)」も参加。アボカドトーストなどのフード類から、チアシードプディングなど。ニューヨークでは既に街角の普通のデリでもコールドプレスジュースが買えるほど、流行りを超えて定番アイテムに。コレクション中に不足しがちなビタミンをこの1本で補給された方も多いでしょう。多忙なスケジュールでショーとショーをはしごするエディター等にとって、こうしたヘルシーなお店が参加し、移動する時間を省き会場内で買う事が出来たのは非常に有り難かったです。

 

 会場には、Shinolaのポップアップも。自転車や時計類は勿論ですが、沢山のレザーバッグや小物をこういったシーンの中で紹介出来るのは単にSNSのシェア効果というだけでなく、こだわりとその品質、またMade in USAブランドとしてアメリカのファッション業界をサポートするというメッセージが伝わってくるものでした。

 

 既に来年1月には、2016年秋冬を発表するニューヨークファッションウィーク:メンズの開催が約束されています。第一回目となった今回は“様子見”した日本のメディア関係者も少なくなかったと思います。ミラノやパリと比較してしまえば、まだまだ改善していく要素は多々あるとは思いますがニューヨークのメンズファッション業界の意気込み、そしてこうしたスポンサー等のサポートを見て頂けたら、次は取材に行かなければと感じて頂けたでしょう。

 

 みなさん来年1月、ニューヨークでお会いしましょう!

via CFDA youtube video.


 

RINA  

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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