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2015.09.30

ファッションとフードのIT(イット)な関係

 2012年から書き続けてきた「FASHION x IT」。最初に書かせていただいたコラムでは、「アメリカのメンズECサイトはウェブマガジン化の傾向」というテーマで、ECにはコンテンツが重要だということをお伝えしました。「FASHION x IT」の”IT”の意味はテクノロジーを指し、米国のファッション業界がどのようにテクノロジーを取り入れたサービスを展開しているかをコラムで紹介してきました。あれから3年が経った今、その”IT”を「イット」とし、テクノロジーに関わらず、ファッションがどのようなサービスや物と関わり注目を集め、気になるサービスを提供しているのか幅を広げたライフスタイルの情報をお伝えしていこうと思います。

ファッションに欠かせないフードとの関わり

 日本でも展示会やファッションショー、ストアオープニングのレセプションなどでフードは欠かせない、その場を華やかに盛り上げる大切な脇役となっているのを感じていることでしょう。

 ニューヨークではコールドプレスジュースのブランドとして最高の品質を提供する「JUICE PRESS(ジュースプレス)」が、かれこれ数年前よりファッションショーのバックステージでブランドをサポートするシーンが見られてきました。 ジュースのボトルにはブランド名が刻印され、過酷なスケジュールでニューヨークコレクション中ショーをこなしていくモデルたちの健康管理をサポート。その模様は、インスタグラムなどのSNSで発信されてきました。

カゴメ「GREENS」がNYコレクションに進出!

 日本では9月10日にカゴメ株式会社が、“新しい鮮度との出会い”をコンセプトとした新ジャンルの生鮮飲料の「KAGOME GREENS」のポップアップショップを表参道にオープン。ジュースカウンターでは、「GREENS グリーンミックス」「GREENS イエローミックス」「GREENS レッドミックス」「GREENS パープルミックス」の4種類を楽しむことが出来ます。カゴメ独自の低音あらごし製法で作った野菜・果実ミックス飲料は、ニューヨークで飲むコールドプレスジュースに似たような形で、素材そのままの旨味を味わうことができ、また“あらごし製法”ということもあり、野菜や果物のつぶつぶとした食感を楽しめることが特徴。ジュースとサラダを同時に楽しむことが出来る、そんな一品です。

 

 ファッションデザイナーのJeremy Scott(ジェレミー・スコット)のショーのバックステージには、モデルのココ・ロシャがその模様をインスタグラムで発信していましたが、その中にGREENSのジュースを宣伝する写真も!まだまだ知る人ぞ知る、という感じだとは思いますが、こうした「ファッションとフード」の関わりは、テクノロジーと同じくらい今後ますます気になる組み合わせになると思われます。

 

Backstage at #JeremeScott trying the new @greens_kagome juice. GREENS Cho Oishiiii, Nippon Urayamashii!! #LoveGreens

Coco Rochaさん(@cocorocha)が投稿した写真 –

フォロー: @cocorocha on instagram

コレクションでも充実のフードサービス

 今年6月に開催されたニューヨークコレクション:メンズ。会場の近くで百貨店のBloomingdale’s(ブルーミングデールズ)が用意したフードあり、ITサポートありのステーション。開催中、時間限定ではあったものの、ニューヨークで定評のあるコーヒーショップやロブスターのサンドウィッチが無料で提供されました。テーブルではスマホやタブレットのチャージもでき、取材中に携帯電話を使いっぱなしのエディターたちをサポートするなど太っ腹なサービスを提供してくれました。その傍らでは、ハッシュタグ「#ONTHESQUAD」を使って、SNSへシェアする促しなどブルーミングデールズとしてのマーケティングも忘れず実施していたのが印象に残ります。

 コレクション会場内に設置されたフードカウンターでは、ファーム・トゥ・テーブルのお店「DIG INN」が参加。チアシードの入ったヨーグルトや、フレッシュなコールドプレスジュースなどを買うことが出来ました。支払いはSQUARE社の高機能POSレジ決済。

 Thom Browne New York.(トムブラウンニューヨーク)のプレゼンテーション会場では、朝いちのショーともあって、熱々のStumptown Coffee Roasters(スタンプトンコーヒーロースターズ)や焼きたてのペストリーが用意されていました。

 

 米国では医療費も高いことから、日頃から健康的な食生活、日常的に運動を生活に取り入れるなどして健康を管理することが大切となっています。特にニューヨークでは、それぞれ違ったライフスタイルを持つ人々が暮らし、運動の取り組み方や食生活が様々です。ヨガなども女性のものだけでなく、男性も日々の運動法として取り入れている人も多いと聞きます。フィットネスジムや個別クラスなども年々増え続ける一方で、暮らす者としてはチョイスがあるというのが嬉しい限りです。コールドプレスやスムージー、農家直送の新鮮な食材を使ったファーム・トゥ・テーブル系のカフェやレストランはヘルスコンシャスなニューヨーカーにも大人気。この傾向はトレンドでもあることには間違いないと感じますが、暮らす者たちの食や健康に対する意識が少しずつ変化し、そうした関心やニーズから商品もサービスも増えてきているように感じます。

 

 そうした意識の変化を引っ張って行っている背景にはファッション業界があるように感じます。やはりファッションを最大限に楽しむにはスタイル良く、健康的な身体でありたいものですものね。


 

RINA  

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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