【2023メットガラレポート】メトロポリタン美術館でカール・ラガーフェルド回顧展　ガラにセレブ集結

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2023.05.04

【2023メットガラレポート】メトロポリタン美術館でカール・ラガーフェルド回顧展　ガラにセレブ集結

（写真左から）ペネロペ・クルス（シャネル）、ソン・ヘギョ（フェンディ）、オリヴィア・ワイルド（クロエ）、ブルックリン・ベッカム&ニコラ・ペルツ（ヴァレンティノ）

　米ニューヨークのメトロポリタン美術館では、2023年5月1日、服飾研究所による新しい展覧会「カール・ラガーフェルド：ア・ライン・オブ・ビューティ（Karl Lagerfeld: A Line of Beauty）」が始まることを記念して、美術館に寄付を募るメットガラが催された。このガラに呼ばれることがセレブのステータスであるという、最大規模のガラだ。一年でもっとも注目を集めるファッション展と、ガラの様子をレポートする。

カール・ラガーフェルドのスケッチが添えられた作品

　今季の展覧会は、ファッション界のレジェンドであるカール・ラガーフェルドの回顧展であり、「カール・ラガーフェルド：ア・ライン・オブ・ビューティ」という題名だ。

　故カール・ラガーフェルド（1933-2019）の65年におよぶ仕事を検証する内容となっていて、1950年代から2019年の最終コレクションまで、150点の作品が展示されている。

　カールといえば、「シャネル（CHANEL）」をみごとに大メゾンとして復活させ、「フェンディ（FENDI）」との50年に及ぶ契約で知られているが、展覧会では、「クロエ（Chloé）」、「フェンディ」、「シャネル」、そして自身のブランドの作品が集められている。

　今展覧会の最大の特徴は、カールの服作りがわかるところだ。彼にとってはスケッチが創作の原点にあり、スケッチする手の映像が入り口で観衆を迎えてくれる。150点の作品のほとんどには、カールのスケッチが添えられており、また着想の元になった絵やモチーフなども添えられている。

　スケッチを現実の服に翻訳していったのは、アトリエのプルミエール（裁縫師長）たちで、実際に一緒に働いたスタッフたちのインタビューを納めたビデオは、カールの天才ぶりがわかって興味深い。

　展示では、カールのファッションに何度も登場する美的テーマ、スタイルボキャブラリーに分類して、作品を陳列している。たとえばフェミニンライン／マスキュリンラインでは、一方の側に、シフォンなどの柔らかく、フェミニンなドレスが片側に並び、反対側にはテイラードされたジャケットやパンツの作品が並ぶ。そして中央の高い台には、その二律背反するテーマを統合するような服が展示されている。

　その他の展示室も、ロマンティック・ライン／ミリタリー・ラインや、ヒストリカル・ライン／フューチャリスティック・ラインといったように、対立する二つの項目と、その二つを統合した服が展示されていて、カールが手がけてきたデザインの幅広さに圧倒される。

　18世紀の古典的なスタイルに、多くのインスピレーションを得ながらも、数多くの流行や未来性も取りいれてきたカールのファッション世界を体験することができ、なかでもオートクチュールの服に見られる凝った生地や装飾は圧巻だ。

出口近くには、彼が愛用したサングラスやネクタイ、ジャケット、手袋、アクセサリー、扇子などが飾られていて、自分自身を演出してきた生き方を追想できる。

　華やかなファッションだけでなく、その裏にある作り手の発想源や、実際に形にしていく作業がわかる展覧会であるのが非常に面白い。

メットガラには、パールが溢れ、ホワイトとブラックが支配的

　今年のメットガラは、カールに敬意を伝えるものというテーマで、そのために「シャネル」、「フェンディ」の着用率が非常に高かった。またホワイトとブラック、パール、カメリアといったモチーフが多かったのも特徴だ。

　そしてメットガラ名物ともいえる、長くトレーンを引くドラマチックなドレスが数多く登場した。キム・カーダシアンやカイリー・ジェンナーたち姉妹や、セリーナ・ウィリアムズとアレックス・オハニアン夫妻、ニコール・キッドマン、リアーナとエイサップ・ロッキー、ブラックピンクのジェニー、ジェニファー・ロペスなど、数多くのセレブたちがきらびやかなファッションを競った。

シャネル（CHANEL）