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2018.04.20

【インタビュー】パワフルなEC を兼ね備えるセレクトショップ 「アントニオーリ」のオーナーに聞く

 「ECを始めたのはアントニオーリを世界に広げたかったから。元々、顧客は外国人が多く、商品も世界中から買い付けしていて、イタリアだけにはこだわっていないので、ECは世界に幅を広げる最適な手段でもありました」とクラウディオ氏。しかし正直なところ当初は果たしてこういうものが受けるのか、また成功しても店の売り上げに悪影響がでるのではないかという懸念もあったそうです。

 「当時はECを導入しているセレクトショップがあまりなかったために注目されたのもありますし、スタートした頃は店にいる感覚でECを利用してもらえるように消費者の選んだ商品をベースに、オンライン上でスタッフがアドバイスを与えるパーソナルショッパー的なサービスを提供したのも受けたようです。今は消費者のほうがECに慣れてこんなサービスを望む人はいませんが。」

店内の様子

オーナーのクラウディオ・アントニオーリ氏

 現在は氏の思惑通り外国からのアクセスがメインだそう。支払いや納品などのトラブルもほぼないそうです。また、店に悪影響がでるのではないかという当初の懸念していたようなことも全くなかったそうです。「実際にはECが店の良い宣伝になり、アクセス数が上がることでショップの知名度もあがったようです。リアル店舗のほうも好調で昨年度は前年比で37%の売り上げアップとなっています。今春には店舗を拡大する予定です。」

 その秘訣を氏はこう分析します。「EC のためにセレクションの幅を広げ、これまではニッチなブランドがメインだったのをプラダやバーバリーなどの人気ブランドも充実させました。確かにそのブランドの旗艦店やEC からもそのアイテムを購入できるのですが、うちがセレクトしたピースだという、そのセンスを信用してくれるお客様が多いようです。」 セレクトショップのEC の成功は結局のところ、そのセレクションにおけるセンスのよさ、という原点に起因するのかもしれません。つまりはリアル店舗と全く同様。そのキモを抑えておけばEC とリアルショップが相乗効果として宣伝し合い、より大きな売り上げを生むと言うWIN&WINの図式が描かれていくようです。

 

――「AIR EXTRA EDITION」(2018年4月発刊)から


 

 

田中 美貴(たなか みき)

日本では大学卒業後、出版社に勤務し、雑誌編集者として女性誌、男性ファッション誌などを担当。その後、98年よりミラノへ移住。編集者、ライターとしてファッションを中心にライフスタイル、旅、デザイン&インテリアなどに関する記事を有名紙誌に寄稿。特に人物インタビュー、職人取材や地方の隠れたイタリア文化取材を得意とする。また撮影コーディネートやイタリアにおける日本企業のイベントや視察オーガナイズ、PRも多。企業カタログ作成やプレスリリースの翻訳等も。渡伊直後からミラノコレクション取材を続けており、アパレルウェブでは主にファッションウィークレポートを担当。イタリア国立ジャーナリスト協会会員。

 


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