PICK UP

2023.04.06

Fashion-Ryoku Vol.58 ファッションの裏技拝見「TOKYO BRAND PICK UP」rurumu:(ルルムウ)デザイナー/東 佳苗さん

多角的なエンタメとして、マインドに共鳴した人にも届けていきたい

 

 

 若い女性を中心に大人気の一点物ニットブランド「縷縷夢兎(るるむう)」が、2019年春夏からプレタポルテのライン「rurumu:(ルルムウ)」の展開をスタートした。ロマンチックな装いの中に潜む生々しさや、ストイックな可愛らしさの追求、その世界観の虜になるファンを続々と増やしている。デザイナーの東佳苗さんに会うため、ぬいぐるみでいっぱいのアトリエを訪ねた。

<PROFILE>

Kanae Higashi
福岡県生まれ。文化服装学院ニットデザイン科卒業。衣装デザイナー、アートディレクション、空間演出、スタイリスト、映画監督、オーディション審査員、キャスティングなど、活動は多岐に渡る。2019年春夏よりrurumu:を本格始動。

Website:https://www.rurumu.jp Instagram:@rurumu.official

 

■ファッションに興味を持ったきっかけは?

 

 小学生の時、お金持ちの友達が着ていた「エンジェルブルー」や「デイジーラバーズ」の服を見て「私も可愛い服が着たい…!」と思った記憶はあります。その後、浜崎あゆみの影響で小5でギャル系になり、中学時代は『non -no』系、『CanCam』系と経て、高校時代の恋人が古着系が好きだったこともあり、『FRUiTS』『Zipper』『CUTiE』系に目覚めて、今の趣味に落ち着きました。同じ高校に服の趣味が合う友達がいなかったので、SNS(モバゲー)のファッションサークルに入って、見よう見まねで服を作り始めて、ファッションショー遠征に参加していました。21‑22年秋冬コレクションの初のランウェイショーで、当時作ったワンピースをリメイクしたルックを出しています。

 

 

■専門学校時代はどんな学生でしたか?

 

 入学式は全身自分で作った服を着て行ったのですが、頭に人形のついたヘッドドレスをつけて、手にアンティークの人形を抱えて、今思うと明らかに近寄りがたい見た目ではありました(笑)。福岡の専門学校在学中に「縷縷夢兎」を立ち上げ、上京後も委託販売をしていました。周りも創作活動をしている人が沢山いましたが、当時はSNS黎明期で発信する人も少なかったので、現場の熱量で話題になるべく、同世代のクリエイターに声をかけて合同展示会「白昼夢」を原宿で主催しました。その頃はデザイナーではなく自分のお店を持ちたいと思っていたので、就職を意識してセレクトショップでアルバイトを始めました。ところがお店に立っていても「家に帰ったら何を作ろう」と作ることばかり考えている自分がいて、先輩に「作りたい思いがあるならやりなよ」と背中を押されて服作りの道を選びました。その後、働いていたお店でも委託販売を始めて、ありがたいことに作ったらすぐ売れるまでに成長しました。

 

■東さんはアイドルやアーティストの衣装制作も多く手掛けられています。

 

 委託販売では購入してくださるお客様の人物像が見えないけど、衣装なら着る人に捧げる形で作れるからやってみたいと思ったんです。専門学校卒業直後、当時一番推していたでんぱ組.incの関係者に「絶対いい服作るので‼」と自ら営業しに行って起用していただけたのが初めての衣装制作の仕事でした。1か月半で6人分の衣装を作る(編む)納期だったので死に物狂いでしたが、これをきっかけに認知度も広がっていったので、重要なターニングポイントになりました。

23年春夏コレクションのテーマは「夢」。淡く曇らせたカラーパレットにメルヘンなモチーフをレイヤードして夢の情景を描く。

 

 

■コレクションについて

 

 「ルルムウ」は毎回テーマを決めてコレクションに落とし込むのですが、上辺だけにならないよう根本まで掘り下げるようにしています。例えば「魔女」をテーマにした21‑22年秋冬コレクションでは、魔女が使うルーン文字やシンボルマークをモチーフとして取り扱うにあたって、現代魔女の方にアドバイザーに入ってもらったんです。創作や発信に責任を持つために、テーマにする文化の本質はその都度勉強する必要があると思っています。ルルムウに限らずですが、個性的な趣味嗜好(しこう)、見た目だと偏見を持たれることもよくあるので、その中で選び取ってくれるお客様のためにも、コレクションを通してちゃんと背景を言語化していこうと思っています。

今季のテーマや気分を羅列して、画像生成AIで生成した画像をプリントしたネグリジェ。

曖昧でぼんやりとした模様が浮かぶダメージニット。

(写真左から)東さんが描いたグラフィックを全面にプリントしたシアートップ。/ コレクションの至る所で舞う蝶々は、映画『ソムニア 悪夢の少年』からインスピレーションを受けたという。

 

 

■今後の目標は?

 

 映画や音楽、本と違って、ファッションは実際に着る当事者が限られてしまうので切なさがあります。多角的なエンタメとして、マインドに共鳴した人にも届けていきたい。今はまだルルムウの服は着ていない人も、「次シーズンはどんなアプローチでくるんだろう」ってブランドの発信すること自体に興味を持ってくれる人が増えるのも嬉しいです。色々な業界の人から意見をもらえるのはすごくありがたいことですよね。

 

■若者へメッセージを。

 

 最初はセンスも実力もハリボテで当たり前。周りと比較して羞恥心や劣等感で迷走してしまっても、やりたい夢に執着できるなら続けて欲しいです。執着できる夢があることは才能なので、ひとまず先のことは考えずに突き進んでいいんじゃないかな。結果は数年後についてきます。

 

Interview & Photo : Sakura Tsuchiya

■「ファッション力 (Fashion Ryoku)」

杉野学園出版部が発行しているフリーマガジン。2008 年 6 月より、毎回パリ プレタポルテ、オートクチュール終了時を目安に年 4 回発行。
デザイナーインタビュー、コレクション報告、スナップ、座談会などを掲載している。

 

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