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2023.03.22

【2023秋冬東京 ハイライト3】ファッションウィークならではの活気が戻ってきた東京 改めて求められるオリジナリティ

左から「リコール」「チカ キサダ」「アンスクリア」「ヨウヘイオオノ」

 

 

 「楽天ファッションウィーク東京2023秋冬(Rakuten Fashion Week TOKYO 2023 A/W)」が終了した。開幕初日の2023年3月13日が、マスクの着用が個人の判断に委ねられるタイミングと重なり、マスクを着用しない来場者も増えた今シーズン。会場入り口での検温や消毒など基本的な予防対策は継続しているが、ソーシャルディスタンスということから大幅に減っていた収容人数は通常に戻った。

 

 また、初日トップを切ってコレクションを発表した「イレニサ(IRENISA)」のショー終了後にはオープニングセレモニーが開催され、SDGsレポーターを務める長濱ねるさんがホストとなったほか、スペシャルゲストとして俳優の上杉柊平さん、女優でモデルの松井愛莉さんらも登場した。

 

 さらに、夜、主会場のひとつである渋谷ヒカリエヒカリエホールAで開催されるショーの終了後には、コロナ以前のようにホワイエで公式スポンサーに復活した「獺祭」がふるまわれた。フィジカルなランウェイショーを復活するブランドも増え、ショーの数が増えたことや、初めてショーをするブランドも多かったこと、立ち見を含めて来場者が増加したことなどから、ショーの開催時間が朝から30分近く遅れることも多いなど、課題は残るものの、会場にはたくさんの人が来場し、ファッションウィークならではの活気も戻ってきている。

 

 そうした中で、これまで以上に求められているのがブランドとショーのオリジナリティ。2020年代の課題と言われているサスティナブルや、アップサイクルを表面的にとらえるブランドや、トレンドとして取り入れたようなデザイナーも登場し、「古着をリメイクしたり、アップサイクルしたりすることがクリエーションなのか」、「完成度が低い」、「ファッションは美しいものや夢を与えるもののはず」などの声もある。そうした中で、原点であるオートクチュールのような美しさや服そのものの造形美とともに、改めて、そのデザイナーやブランドならではの独自性や得意技、新しい方向性、ショーの表現などが求められている。

 

 

 

チカ キサダ(Chika Kisada)

「チカ キサダ」2023秋冬コレクション

 

 「バイアール(by R)」でコレクションをを発表した「チカ キサダ」。“霧の花”をテーマに、幻想的なコレクションを見せた。物体ではないものをどう個体に変えていくかに挑戦。⼈種や性別を超えたところに存在する美しさ、⾝体能⼒や動作を伴ったとき⼈を魅了する表現の創り⽅について問いかけた、という今回。

 

 ショーはバレーダンサーによるパフォーマンスからスタート。ステージ中央、スポットライトに照らされた全身黒のダンサーが無音の会場で、踊りや公演の準備をするようにストレッチを行っている。続いて映し出されたのは巨大な影。

 

 そして、登場したのはスキントーンの下着と黒のタイツに黒のトップスとクリノリンドレスの組み合わせ。半透明の布を重ねた白いシャツとバレエのようなスカート、ギリシャ彫刻のようなスキンカラーのドレープドレスや“霧の花”を表現したような透明の布を重ねたドレス。体の美しさと布や服の美しさ、動きの美しさが共存する。

 

 60年代の未来派を思わせる、半透明のトップスとマニッシュなボトムス、ミリタリー風のコートにはリボンのような装飾を加え、クチュールドレスのような広がるスカートとコーディネート。水着のようなデニムやマニッシュなジャケット、MA-1などリアルなはずのアイテムも“霧の花”というテーマを象徴するように半透明の布で覆い、時にはクリノリンドレスなども合わせる。

 

 靴ではなくトゥシューズを履き、靴下を合わせた足元も幻想的ムードや現実と空想の間にある世界観を強調する。繊細さと大胆さ、マニッシュとフェミニン、リアルとイメージやメッセージ、禁欲と官能、パフォーマンスとファッションショーなど様々な要素を両立させ、デザイナーがやりたいことをやりきったような、春の夜の夢とも言えそうなコレクション。

 

 ショー後、「マスキュリン、フェミニン、センシャルの3つのテーマをキーワードに構成。バレエをモチーフにしたブランドなので、基本的な軸となる要素やこれまで培った経験を活かし、ブランドのアイデンティティを凝縮したコレクションを発表しました。ファッションショーというより、一つの舞台、チカ キサダバレエ団という舞台を皆さんにお届けしたいと思い、舞台を作るような構成とアイデアで作らせていただきました」と話した幾左田千佳。その思いは観客にも確実に伝わったようだ。

 

 

 

ペイデフェ(pays des fées)

「ペイデフェ」2023秋冬コレクション

 

 昭和7年(1932) 「大倉精神文化研究所」の本館として創建された大倉山記念館を会場に選んだ今回。“無機質化する身体へのロマンティシズム”をテーマに、日本各地の現存する即身仏を訪ね、 その佇まいや質感に唯一無二の美しさを見出し、 その感性を落とし込んだというコレクションを発表した。

 

 ピアノの生演奏の中、最初に現れたワンピースは遠くから見る天使と眠る女性を描いた、ルーヴル美術館に飾られる愛を描いた宗教画のようだが、近くで見ると女性の腹は切り裂かれ、内臓はむき出し、手術で使ったペインも残ったままで倒れている。

 

 また、画家のスズキエイミの作品にある血管が浮き出した手や筋肉をテキスタイルに描いたパンツやストール、マーメードドレスは、デザイナーが、とりわけ惹かれたという、即身仏の無機質化された艶やかな皮膚や、朽ちることなく無機質化された血管や筋肉の造形を象徴しているよう。クラシックなアイテムとグロテスクなムードや猟奇性が共存する。美しい宗教画と猟奇的な絵がパズルのように分けられ、またモザイクのようにつなぎ合わされることで、美しさとおどろおどろしさを両立させた柄に生まれ変わる。

 

 即身仏というよりもアニメの宇宙人のようなモデルの身に着ける骨のようなパーツもアクセントになっている。デザイナーの朝藤りむは、以前からヨーロッパに点在する教会や地下墓地を訪ね、そこに安置されているミイラを見て多くのインスパイアを得てきたというが、同時にルーヴル美術館に飾られる宗教画のような美しさも見ていたのだろうか。そこに、楳図かずおも構図を取り入れたという、上から見下ろす十字架に磔にされたイエス・キリストを描いたサルバドール・ダリの「十字架の聖ヨハネのキリスト」のように別の角度からの視点も加え、もちろん彼女らしい少女の持つ猟奇性、日本の独自性などもプラスし、着られる服に仕上げている。

 

 

 

ユェチ・チ(YUEQI QI)

「ユェチ・チ」2023秋冬コレクション

 

 セントラル・セント・マーチンズ美術学校ニットデザイン科を卒業後、「シャネル(CHANEL)」の刺繍アトリエで経験を積み、2019年に自身の名を冠したブランドを設立したユェチ・チ。

 

 “Edge of Time(時間の果て)”をテーマに、今の瞬間が存在せず、過去と未来が無限に並行して流れる世界を想像することから生まれたというコレクションを発表した。会場は新宿の珈琲西武。赤いソファーと花柄の絨毯、天井のステンドガラスなど、昭和レトロ満載の店内。

 

 未来的ムードの音とともに現れたモデルたちは、「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」を思わせる未来的なパーツやスパンコールなどを使ったデザイン、宇宙のようなプリント、サイバーパンクと呼べそうなデザインとともに、アフリカを感じさせるドレスやデニム、野生の強さを持ったファーコート、水の中のようなグラフィック、透ける素材を使ったアイテムなどで登場。暗闇に光が舞う。スパンコールのレッグウォーマーやモノグラム風、壁の落書きのようなグラフィティ、バンキッシュなデザイン、光沢のあるプリーツやニット、クラシックなデザインなど、時代や地域を超えた要素やデザインが共存する。

 

 大きな腹をメタリックに塗った妊婦と思われるモデルは生命力やエネルギーなどを強調し、リリースに書かれた「時を、一枚の紙のように半分に折り曲げることができたなら。折り目には頂点が生まれる。未来と過去は流れ、落ちる、永遠に。」という言葉を象徴しているよう。コンセプチュアルでありながら力強いコレクション。

 

 

 

ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)

「ヨウヘイ オオノ」2023秋冬コレクション

 

 リリースに、「国立科学博物館で発表した先シーズンのコレクションは「造形に対する熱量」を純粋に形にしようと試みたが、今回のコレクションは少し俯瞰した自分自身の生活観や人生観を軸に制作しようと試みた。アトリエの棚の上に並んだ自分の「コレクション」を改めて見ると、アーティストの作品やグッズ、デザインフロダクト、ヴィンテージショップで買ったオブジェや海外のお土産、ネットショップで買ったただのおもちゃまである。価値が認められるものからガラクタのようなものまでをフラットに陳列させるのが好きで、全てが等しく、愛おしく思える。自分が制作する「コレクション」も同じように、単なる洗練されたラグジュアリーファッションを目指すのではなく、素朴でどこか愛おしいものやチープで馬鹿馬鹿しいもの、何か自分でも得体の知れないものなどが含まれているべきだと考えている」と書いた「ヨウヘイ オオノ」。

 

 モデルを立たせたプレゼンテーション形式で24体のコレクションを発表した。「どこにでもありそうな古着」を題材にしているという今シーズン。造形的なコートや前回も見せた裾をタコのウインナーのように立体的にしたパンツ、目のモチーフを使ったチェックのドレスなどとともに登場したのは、商店街で売っていそうなメタルバンドのTシャツ、重い毛皮、ミリタリーウェア、ハンティングジャケット、色褪せたウールの質感などの印象を立体的な造形のアイデア、独特の仕立てで新しいデザインに生まれ変わらせたアイテム。メタルバンドのTシャツはドレスやエレガントなアイテムに変化する。

 

 ガラス張りの会場。外を歩く人たちも中の様子を見ることが出来る。前回とは対照的だが、単なるトレンドやレプリカ、アップサイクルとしてではなく、新しいアプローチや方向性として取り入れている。また、今回は初となるシューズ3型も発表した。

 

 

 

セイヴソン(Seivson)

「セイヴソン」2023秋冬コレクション

 

 ”ROOMSERVICE”をテーマに、「部屋の中で何でも完結してしまうこの時代。それならホテルの一室でファッションショーだってできるかも?スタイリングはインナーにコートを重ね、カジュアルでリラックスなムードに。中途半端なコーディネートが自由と個性を際立たせる」という考えから生まれたコレクションを提案した。

 

 会場となった渋谷ヒカリエヒカリエホールA。最前列にレストランのように花やロウソクで飾られたテーブルを並べた中で登場したのは立体的な黒のドレスやワンピース、スポーティーなムードやミリタリーテーストを感じさせる大きな襟やポケットが印象的なデザイン。ブラトップやコート、ボディコンシャスなドレス、ミニなど様々なテイストのデザイン。そして、ナイフとフォークを描いたスキンカラーのワンピース。

 

 メンズもスポーティーでカジュアル。オーバーサイズや解体し再構築したようなデザイン、レイヤードなど、レストランで着るためのフォーマルではなく、ホテルや部屋の中、ストリートで着られそうな、リラックスしたアイテムやカジュアルなデザインが続く。キルティングやシャツを再構築したようなデザイン、ブラトップなど、様々なシーンのための服をスーツケースから引っ張り出し、自由に組み合わせ、旅行中にホテルの中で行って世界に発信する様子をステージで再現した。

 

 デザイナーは「小さいころコレクションを初めて見たのが東京でした。自分のショーが東京で出来て感動しました」と語った。

 

 

 

ドコモ × リコール(docomo × RequaL≡)

「リコール」2023秋冬コレクション

 

 NTTドコモとコラボレーションし、「歩きスマホ防止」を啓発するファッションショー「TOKYO ARUKI SMARTPHONE COLLECTION」を開催した。大雨の中、渋谷ストリーム前稲荷橋広場で傘をさし、震えながら見守る観客たち。“見立て直しの再定義”をテーマに、物作りの過程と既存の概念を考え直したコレクションを提案した。オーバーサイズのブレザージャケットはマキシ丈に変更、京都西陣で織られたオリジナルネクタイは、糸から独自のヘリンボーンストライプを開発し、中綿をつめてマフラーとして仕立てた。

 

 シャツでは従来使用されるステンカラーを省き、ネクタイをカラーとして見立て直し、モッズコートは先染めのグリーンデニムを使用し、デニム素材に倉敷児島で白いヒゲ加工を施しビンテージの風合いを忠実に再現したという。毛布はカーディガンに、アランセーターはケーブルにダメージを施したような編み方でぼろルックなどのアバンギャルドなデザインに生まれ変わる。

 

 大きなボタンをつなげて作ったウエアやバッグなどもポイントになっている。スマートフォンを見ながら、他のモデルの間を縫うように歩き回るモデルたち。古いスウェットや異なるドレスをつないだアシンメトリーのダウンジャケットとともに、同ブランドらしいスマートフォンやグッドボタンなどを服にした、ジョークともシリアスともつかないオブジェのようなデザインも登場した。

 

 スマートフォンとコレクションといえば、「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」のメンズコレクションや「アンリアレイジ(ANREALAGE)」なども思い出させるが、同ブランドはリリースで「ファッショナブルな人を見ると、人は歩きスマホをしていても立ち止まって歩きスマホを辞める可能性がある事から課題解決の糸口を模索し始めた。大切な命を守る為、このコレクションを通して人とスマートフォンとの関係性や生き方と歩き方を改めて見つめ直すきっかけとなる事を目的とし、私達は今回のショーを開催する」としている。

 

 

 

ピリングス(pillings)

「ピリングス」2023秋冬コレクション

 

 ニットのトップスと布帛に縮絨をかけ毛玉を出したパンツでスタート。モデルたちは拘束されたように腕をポケットや服の中に入れて進む。雪柄などクラシックなニットはボロボロ、虫に食われたように穴が開いていて、ゆったりとしたパンツも部屋着のようにリラックスしていて、着古されたようにも見える。

 

 そして、体を包み込むニットからは、さなぎから蛾が生まれたようにたくさんの蛾が付いている。「今回はデザインができず、ゴミ箱に捨てた紙のイメージも形のきっかけになった。ベーシックにも挑戦したかった」などと明かした。

 

 

 

アンスクリア(INSCRIRE)

「アンスクリア」2023秋冬コレクション

 

 テーマは“TRANSFORM”。渋谷ヒカリエヒカリエホールAに80年代を彷彿させる高いステージを作った今回。ジャケット、ロングスカート、ボレロ、ミリタリーテーストのベスト、MA-1となどの基本的なアイテムのバランスや長さ、分量感などを変化させたり、再構築したり、レイヤードさせたりすることで、リアルでありながら、今の空気感や新しさもあるコレクションを見せた。

 

 ジャケットはボレロのようで長いスカートやパンツの組み合わせ、ハードなムードとエレガントなムードのスタイリング。デニムやライン入りパンツ、ピンクのニットとカラフルなパンツ。リアルと新鮮さのバランスがとれたコレクション。

 

 

 

ジョウタロウ サイトウ(JOTARO SAITO)

「ジョウタロウ サイトウ」2023秋冬コレクション

 

 テーマは“夢幻(ゆめまぼろし)”。オープニングを飾ったのはローケツ染による大きなバラを描いた赤い着物を身に着けた金髪のモデル。帯にはたくさんの蝶が描かれている。「ジョウタロウ サイトウ」らしい崩し市松、牡丹、瓦屋根柄など、日本の伝統を新しいバランスで表現したグラフィックを駆使した着物とともに現れるのは、黒をベースにした色使いや蝶の群れが飛ぶ着物、ブランドのロゴマークや日本列島をあしらった帯などエコロジーやサスティナブルなども感じさせるなども目を引く。

 

 ロックやパンクを思わせるムードも続いている。未来のキモノを発信する人に贈られる「KIMONOIST」にも拘わる斉藤上太郎らしく、若い女性に対する提案もこれまで以上に感じられた。

 

 

アズ イヤーズ ゴーズ バイズ アブランクページ(AS YEARS GOES BYS ABLANKPAGE)

「アズ イヤーズ ゴーズ バイズ アブランクページ」2023秋冬コレクション

 

 ラロパイブン・プワデトがクリエイティブディレクターを務め、石澤駿をゲストデザイナーに迎えた「アズ イヤーズ ゴーズ バイズ アブランクページ × エドウィン(AS YEARS GOES BYS ABLANKPAGE × EDWIN)」と、シグネチャーである「アブランクページ(ablankpage)」の2ブランドのショーで構成した今回。

 

 「アズ イヤーズ ゴーズ バイズ アブランクページ × エドウィン」では「エドウィン」に不良品を素材として提供してもらい、不要なものをモダンなアイテムへと昇華。日本の得意とするデニムを再構築したり、パッチワークしたデザインはジュンヤワタナベをはじめ、たくさんのデザイナーがチャレンジしてきたものだが、リサイクルやぼろルックではなく、新しいアップサイクルの提案を目指したという。

 

 アメリカのモーターサイクルクラブのジャケットに着想を得て、 背中に壊れたクルマをプリントしたアイテムも提案した。また、「アブランクページ」は自作のボードゲームのキャラクターからインスピレーションを受け、ポップなグラフィックを製作。テーラードジャケットは、子供があえて大人の服を着たかのように大きめに仕立てているという。服をつないで作った怪獣とでも言えそうなデザインも登場した。

 

 

 

 以前のような活気が戻り、正常化しつつある東京のファッションウィーク。だが、海外のファッションウィークでは、オートクチュールメゾンも含め、ショーやプレゼンテーションを再開し、デジタルと両方での発表が当たり前になる中で、東京では「ハイク(HYKE)」、「ヒロコ コシノ(HIROKO KOSHINO)」、「ミントデザインズ(mintdesigns)」、「ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)」など、コロナ以前に東京をリードし、長年ショーを続けてきたブランドの中には、今回もオンラインでコレクションを発表したブランドも少なくない。

 

 前回、デジタルによる仮想現実とフィジカルを融合、更にシーズンも超えるなど、パリでは不可能といえるショーを見せた「アンリアレイジ(ANREALAGE)」や、今シーズン、「バイアール」で、少年の透明感や中性的なムードと現代性やポップさ、さらに、どこか80年代の「トキオ クマガイ(TOKIO KUMAGAI)」も彷彿させる、独特の世界観も感じさせるすばらしいコレクションを見せた「タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)」など、東京のファッションウィークが世界に進出するデザイナーを育てるインキュベーションとして機能し、世界で活躍できるようになったデザイナーが日本に凱旋、ショーを行い、東京を盛り上げ、それが若手の目標になり、次につながるという方法論は、東京コレクションスタート時から続いてきたことであり、現在も東京のファッションウィークに欠かせないものになっている。

 

 だが、東京に海外のバイヤーやジャーナリストなどに日本に来たいと思わせるには、同時に、日本でしか発表しない実力派デザイナーや質の高い服を作る大御所、ベテランブランドのショーも欠かせない。8月28日から9月2日に開催される次回の「楽天ファッションウィーク東京2024春夏(Rakuten Fashion Week TOKYO 2024 S/S)」では、実力派やベテランも含めさらにフィジカルショーが増えることを期待したい。

 

 

取材・文:樋口真一

 

画像:各ブランド及びJFWO提供

 

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