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2022.07.07
WEB3業界注目イベント「NFT・NYC」で実感した熱気と可能性
今年で4度目を迎えたNFTのイベント「NFT.NYC」が、6月21日より開催されました。3日間にわたり開催されたこのイベントは、“世界最大のNFTイベント”と称され、各国のメディアからも注目を集めました。
イベントは今年もタイムズスクエアで開催され、7つの公式会場が設けられ、「アート」「フィルム」「ゲーム」「スポーツ」「ソーシャル」「ファッション」「コレクター」「リーガル」「チケット」「ファイナンス」といった10種類のカテゴリで、NFTのさまざまな話題について、1,500人以上のスピーカーが登壇しました。
一部イベント会場の様子
イベントの創設者であるジョディ・リッチが言い続けていた“出来るだけ多くの人がステージに立てるようにしたい”という願いが、今年はさらに叶えられていたように思われます。また、公式会場でのスピーカーセッションの他にも、マンハッタンやブルックリンなどでコミュニティーやサテライトイベントが400以上開催されたと報告されています。
2021年の開催では5,000人分のチケットが完売し、3,000人がウェイトリストに登録したと伝えられていましたが、この1年でNFTがますます注目を集めた結果、昨年の3倍を超える16,000人以上の参加者が集まったそうです。会期中のタイムズスクエアはすでに観光客で溢れていましたが、イベントの参加者も加わって目がまわるほどの大賑わいでした。
日本からの参加者は?
今年は例年以上に、イベントや展示会に参加する日本の企業が増えたように感じました。イベントキックオフとなった21日の朝、タイムズスクエアにあるいくつもの巨大モニターにNFTのアーティストの作品や登壇者が映し出されたのですが、その瞬間をともに称えようというイベントがあり、筆者も駆けつけました。
最近では日常的にNFTやWEB3企業のデジタル広告をタイムズスクエアで目にする機会が増えてきましたが、それでも、タイムズスクエアをハイジャックしたかのような、360度どこを見回しても、そうした広告や作品が目に飛び込んでくる光景に圧倒されました。Twitterにシェアされたフィードには、モニターに映し出された作品とともに写真を撮るアーティストの姿も確認できます。
現地へ出展した「STYLY」
多くの参加者がNFTの作品を見つめるタイムズスクエアで、リアルメタバースプラットフォーム「STYLY」を提供する株式会社Psychic VR Labの姿を見つけました。そこでは日本人アーティストとともに彩る、都市連動型XR NFTアート展が開催されていました。それらのアーティストの作品はNFT.NYCが開催された6月21日から23日の3日間にわたり「STYLY」というスマホアプリを使って、ニューヨークの街中にARとして映し出して楽しむことが出来たようです。参加アーティストのXRアートは作品ごとにジオラマ化して、NFTとして後日販売も予定しているそうなのでで、とても楽しみですね!
冒頭でも申し上げたように、イベントは10ものカテゴリに分かれ、朝から夕方まで開催されました。そのうえ、さらにサテライトイベントも山ほど開かれていました。イベントの一参加者としての率直な意見としては、登壇者の数が多いため、事前にどの人の話が聞きたいのかをよく調べておく必要があると感じました。また、私はファッションとブランドにフォーカスして参加したのですが、暑い中、観光客でごった返すタイムズスクエアの会場から会場へと移動するのはなかなか大変な体験でもありました。
「ApeFest」の公式サイトより
NFTやWEB3ブランドが参加したイベントは、ニューヨーク以外でもロサンゼルスやマイアミ、ミネソタ、テキサスと他都市で、今年すでに開催されてきました。デジタル上だけでなくフィジカルの場でも、NFTの世界やコミュニティが広がっていることは間違いないでしょう。
NFTというと多くの人が思い浮かべるBoardApeYachtClub(BAYC)を手がけるYuga Labsが主催した「ApeFest」はその名のとおり、パーティというよりも、エミネムやスヌープ・ドッグ、そしてLCDサウンドシステムなどがパフォーマンスし、まるでフェスのようでした。
デジタルファッションに関するイベントでは著名なクリエーターが登壇
もちろん、NFTにせよメタバースにせよ、まだまだ失敗と成功を繰り返しており、さまざまな意見を交換しながら、よりよい環境を目指している最中ですので、世間の関心がWEB3へ向かい始めていても、まだ様子を見たいと考える人の気持ちも大いに理解できます。しかし、今回このイベントに参加してみて、NFTは縮小傾向にあるどころか、次の可能性へと向かっていると感じました。
今回のNFT.NYCについては、改善の余地があると思う点も多数あり、これまでに取材したカンファレンスやイベントに比べると見劣りする部分もありました。しかし、このイベントを開催したこと、それ自体に大きな役割があったのではないでしょうか。
このイベントによって、例えば現状に気付いていない企業の経営者や上層部の人たちにとっては、現在起きている進化への気付きを得るきっかけになりうると思うのです。
R I N A 90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。
以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。
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