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2022.03.22
【2022秋冬東京 ハイライト1】DX、NFT、非接触、環境保全・・・新たなテーマとプラットフォーム作りへの挑戦
左から「トーガ」「ヨシオクボ」」「トモコイズミ」
2022年3月14日から3月19日に渡って2022秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」を開催した。今シーズンは参加した54ブランド中フィジカルでの発表を行ったのが30ブランドを超えた。東京都は3月7日からまん延防止等重点措置期間が継続していたものの、来場者数を抑えてソーシャルディスタンスを確保するなどコロナ対策を徹底しながら「ウィズコロナ」時代のファッションウィークを実現した。また、防疫や非接触を採り入れたファッションウィーク運営だけでなく、業界発展のための新たなプラットフォーム作りへの挑戦も始動している。
「バイアール」や「日本博」などのプロジェクトでビッグネームのショーを開催
今シーズン楽天グループ株式会社が日本のファッションブランドを支援するプロジェクト「バイアール(by R)」では「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」と「トーガ(TOGA)」がランウェイショーを開催した。
トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)
最新コレクションを年に一度制作している「トモ コイズミ」。「by R」プロジェクトのもと、同ファッションウィーク初日に2023コレクションショーを東京都港区のホテル「東京エディション虎ノ門」で開催した。写真家・ 映画監督 蜷川実花をディレクターに迎え、レッドカーペットのフォトシーンを演出。モデルには、寺島しのぶやともさかりえ、大島優子、森川葵やSUMIRE、松田ゆう姫、玉城ティナ、市川染五郎ら、まさに日本のレッドカーペットシーンに相応しい俳優やアーティストをキャスティングした。
同ブランドの象徴であるフリルを様々なアプローチで採り入れてルックを組み立てた。ラストを飾った寺島しのぶがまとった堂々たる大振りのフレアドレスや、ともさかりえが着たマーメイドドレスのようにフリルを全体にあしらったものの他、マントやヘムやボリューム袖、ミニスカート風部位に使用し、他の素材とドッキングしたピースが目立った。大島優子が着用したドレスは、手でたくし上げるとフリルのショールをまとったかのような着姿に変換できる多用性を、ローレン・サイが着用したフリルのミニドレスはネオンイエローのトレーンを付着し若さと華やかさを、市川染五郎が着たルックはフリルマントとトラックジャケットのセットアップを合体し、ストリート感を訴求した。
今回のコレクション制作について、小泉デザイナーは「日本のレッドカーペットでのドレス姿がコンサバティブなスタイルが多い印象を受け、もっとカラフルで楽しく、個性を演出するユニークなスタイルが増え、オーディエンスにドレッシングを魅せることでもエンターテインメントにできる」とコレクションノートに綴っている。
トーガ(TOGA)
古田泰子デザイナーによる「トーガ」は、2022年2月に行われたロンドンファッションウィークのオンラインプラットフォームにて、2022秋冬コレクションムービーを発表。そしてこの「バイアール」では、ルック数を増やしフィジカルショーを行った。
会場は、楽天ファッションウィーク東京のメイン会場の一つである表参道ヒルズの「スペースオー」。今シーズンもいくつものショーやプレゼンテーションを行った会場ではあるが、同ブランドはその設えを変え、ソリッドなスペースをつくり上げた。ロンドンファッションウィークで発表した、廃工場での映像とは対極のイメージだ。
今シーズンのテーマ“HOOPS,BOUNCING,SWINGING”の通り、歩く度に揺れ動く部位や装飾が特徴のコレクション。アシンメトリーのジャケットの裾部分にファーを、チュニック丈のニットに大きくカラフルなヘムを装着したり、ラッパのように広がるミニドレスをトップスとして採り入れたり、大きく膨らむツーピースのスカートの上部分をニットにしてくびれをつくったり・・・。パターンや縫製の高い技術で古田デザイナーの遊び心を具現化した。
テーラードスーツを上下に切り開いたり、スカートのようなアイテムをメンズモデルに着せたり、アイテムの解釈も提案も自由さが溢れる。
ブラックミーンズ(blackmeans)
元々は岐阜県の皮革衣料の縫製工場によるファクトリーブランドであった「ブラックミーンズ」。そのクオリティの高さとユニークなデザインが特徴のブランドだ。今回のショーは、国が推進するプロジェクト「日本博」の一環として文化庁と日本芸術文化振興会の支援を受けて実現したもの。
日本独自のアイデンティティを追求しているパンクオーケストラ「タートル アイランド」の演奏でショーを開始。ファーストルックは、同ブランドの基礎ともなっているスリムなパンクルック。ノーカラーの黒レザージャケットのセットアップの後、グリーン、バーガンディ、ホワイトと続き、「レザーのブラックミーンズ」を印象づける。
ショーが進むにつれ、レザー以外のアイテムを使用したルックが増える。「1017 アリクス 9SM(1017 ALYX 9SM)」とのコラボアイテムであるステッチを施したデニムジャケットをはじめ、紐をスキニーパンツに装着したジャケットセットアップ、ボリュームシルエットのボアジャケットのセットアップなど、クラフト感とパンチのあるルックが登場した。
アクセサリーもユニーク。大型のコンケース型バッグ、クッションにもなる尻当て、けん玉を持ち運ぶためのベルトや匂い袋をぶら下げたシドベルトなどを発表した。
ショーの後半になるとシルエットも柄も大胆になる。作業着ブランド「寅壱」とのコラボアイテム、ボリューミーな総柄セットアップやカーディガンルック、切替えを施したカラフルなレザーのルック、艶や煌めきを放つ素材を使用したルックも。最後は2014秋冬コレクションで初めて発表した「仏ジャン(ブツジャン)」をアップデートしたルックで締め括った。
シーエフシーエル(CFCL)
4シーズン目を迎える「シーエフシーエル」は、これまでの“Knit-ware”から新たにVOL.4 “Knit-ware Outline”へとアップデートを遂げた。コンピューターニットの拡張性と日々移り変わる人間の社会性を照らし合わせ、「体型もジェンダーも選ばず、成長とともにフィットしていく」ウェアを提案した。
表参道ヒルズ「スペースオー」で開かれたインスタレーションでは、高橋悠介デザイナーによる説明から始まり、パリで発表したコレクションムービーと制作過程のドキュメンタリーを発表。「フィジカルな体験性を高めたい」という同デザイナーの意向もあり、3つの大型スクリーンと10.4チャンネルサラウンド(14個のスピーカーから別々の音が流れる)という特別な環境のもと上映した。なお今回のインスタレーションは、2021年9月に高橋デザイナーが受賞した第4回ファッションプライズオブトウキョウ(FASHION PRIZE OF TOKYO)の特典の一つで、会場ではムービーに加えて実際のルックも展示された。
新たな“Knit-ware Outline”コレクションでは、立体的なうねりでリズムをつけたり、ジェンダー問わずハイウェストで引き締めたりといったルックが増加。ボーダー柄を多く取り入れ、オレンジやピンク、レッドなどのエネルギッシュなカラーもこれまでにない特徴だ。高橋デザイナーが「ジェンダーにしてもジェネレーションにしても近代国家が生み出したシステムのようなもの。白か黒か、外か内かなど、アウトラインを定義し直すことで定義自体が拡張していく」と語った。
ヨシオクボ(yoshiokubo)
「ヨシオクボ」も「日本博」事業のひとつとして、東京都渋谷区の東郷記念館でプレゼンテーションを開催。今回の取り組みのためだけに8体を制作し、NFT(※)で発表。8体のNFTウェアと同じウェアをモデルが着用したインスタレーションを行った。
2022秋冬コレクションのテーマである“イカ上り”を踏襲して作られた服は、まさに風そのもの。久保嘉男デザイナーが言った「色んな風を、溜めたり、抜けさせたり、なびかせたり、回したり…。何度も繰り返しました」という言葉のニュアンスを上回るユニークなプロダクトが会場を占めていた。ウォーキングの風を受けてなびくもの、ファン付きの空気を溜めるタイプのもの、無数の風車を木枠に取り付けたものなど、そのフォルムは様々だが、久保デザイナーの発想元となった「風と布の関係性」という部分では確かに共通していた。生地は撥水性の高密度織物で、極めて軽い。ナイロンやポリエステルの織物を選んだのは、僅かに空気を逃すバランスを取るためだという。
会場にはデジタルファッションファクトリー「クロスクチュール(X-couture)」の技術協力によりNFTウェアのスタイル画を展示。スタイル画にNFCチップを埋め込んであり、スマートフォンをかざすことで特設サイトにアクセスし、デジタルドレスの鑑賞やNFTウェアの購入予約(一部のみ、4月1日から販売予定)ができる仕組みだ。
「TOKYO FASHION AWARD 2020 WINNERS’ EVENT」を開催
東京を拠点とするファッションデザイナーが世界をフィールドに飛躍するためのサポートを目的としたアワード「TOKYO FASHION AWARD」が、RFWT会期中に第7回受賞8ブランドによる「TOKYO FASHION AWARD 2020 WINNERS’ EVENT」を開催した。
ヨーク(YOKE)
初参加の「ヨーク」は、10人のアーティストの作品と共にランウェイを創り上げた。2019秋冬コレクションから海外アーティストの制作アプローチをデザインに落とし込んできた同ブランドだが、“One Hour Gallery(一時間だけのギャラリー)”と題した今シーズンではその名の通り、ギャラリーを模したセットを用意して作品群を展覧。モデルたちは来場客さながら、ウォークを忘れて作品を鑑賞していくというドラマティックな演出がなされた。
そうした「ギャラリー」空間に負けない存在感を放つのが、アメリカ抽象主義を牽引した画家、クリフォード・スティルからインスパイアされたルックの数々だ。特に「ヨーク」の得意とするアウターでは、ジャガートの布帛で色彩表現を再現したり、レイヤードのディテールで襟ぐりに奥行きを出したり、さらにはモノトーンの抽象柄を全面にあしらったりと、絵画の「引き裂かれたようなイメージと人工的な色彩」をアイテムに合わせて的確に反映してみせた。また今回はキーカラーとして原色に近いイエローやグリーン、ブラウンなどを採用し、「繋がり」をブランドコンセプトとする「ヨーク」の射程に新たな要素が加わった。
キディル(KIDILL)
「キディル」は、5人組ロックバンド「サイサリア ヒト(PSYSALIA 人)」による熱狂的なライブパフォーマンスを披露した。2014年の立ち上げ時から変わらぬ「キディル」らしさ全開のメモリアルなシーズンとなった。
既にパリメンズウィークファッションウィークで2022秋冬コレクション“THE OUTSIDER”のランウェイショーを開催していたため、かねてから親交のあった「サイサリア ヒト」に末安弘明デザイナーから直接オファーし、楽天ファッションウィークでのパフォーマンスが実現。末安デザイナーはこのような発表形式について「どうしてもランウェイではなく、精神的に伝わる何かをやりたかった」と思いを語った。メンバーたちの印象に合わせてスタイリストと一緒に選んだというルックは、それぞれのカラーをより一層引き立てていた。
マリオン ヴィンテージ(MALION vintage)
洋服が好き、古着が好きという純粋な気持ちこそが「マリオン ヴィンテージ」を突き動かしている。石田栄莉子デザイナーと清水亜樹デザイナーが、幼い頃に両親のクローゼットから洋服を選んでいたというおぼろげな記憶を、“SECRET BASE(秘密基地)”に見立ててコレクションを構想。古着を資材とし、難易度の高いパッチワークをメインとする同ブランドの6年目にふさわしい集大成を披露した。
今シーズンのキーモチーフに挙げられるのはネクタイだ。石田デザイナーの父が日常的に着用していたため強く印象に残っているというそのネクタイは、セットアップやスカート、さらにはビスチェトップスなどへ姿を変えた。中でも80本のネクタイをパッチワークしたダウンジャケットは、一旦全てを生地に戻してからナイロンの裏地をあしらい、羽毛を封入するというチャレンジングな一着だ。
加えて「マリオン ヴィンテージ」では初めてとなるメンズルックも制作し、深みのあるレッド系、光沢が際立つマスタード系、シックな雰囲気のネイビー系の三種類を新たに揃えた。
マラミュート(malamute)
「強さと柔らかさを併せもつ現代女性のためのデイリーウェア」をコンセプトに、ニットならではのテクスチャやフォルムを活かしたニューエレガンスを提案している「マラミュート」。今シーズン、小髙真理デザイナーは「時を経て、ふたたび思い出すほどのハプニングや出会いには何らかの魅力がはらんでいると確信した」と、ブランドが継続するアイコニックなシルエットやテクスチャにパンデミックを経た今の気分を投影した。
特徴的なのはニットとジップを組み合わせたアイテム。ジップでスリットを表現したスカートやパンツは、フランスの画家、イヴ・クラインにインスピレーションを得たという鮮やかなブルーとビビッドなピンクでコレクションに快活さを与えている。また、金木犀をモチーフにしたというインレイジャカードのドレスは体のラインに沿う女性らしいシルエットを描いていた。グリーンとイエローが鮮やかなクレイジーニットは、ミドルゲージでありながら、ラメ糸、ウール、ポリエステル糸の素材と色のコンビネーションで軽量に仕上げられ、華やかながらも日常でストレスなく着られるアイテムとして紡ぎだされた。
ブランドとしては2年半ぶりのランウェイとなった今シーズン。小髙デザイナーは、ショー終了後は安堵した様子で目に涙を浮かべていた。
ダイリク(DAIRIKU)
芸能人やインフルエンサーからも支持を集めている「ダイリク」は、スピード感のあるエネルギーに満ちたランウェイショーを開催した。テーマは“After School”。岡本大陸デザイナーが高校時代に放課後毎日のように通っていた大阪・心斎橋のアメリカ村で出会った洋服やカルチャーにインスピレーションを得て、自身の全ての原点とルーツを詰めたコレクションを発表した。
アイテムはチェックのブレザーやスクエア型のスクールバッグ、ジャージ、スタジアムジャケット、ルーズソックスなどスクールボーイ・ガールを彷彿とさせるものが中心。そこにダメージデニムやタイダイTシャツなどの古着要素や、パンクロック、モッズ、ヤンキー要素の融合と「ダイリク」流着崩し・スタイリングを加えて「アメ村」の特徴でもある「最高にかっこいいごちゃごちゃ感」を表現していた。
また、今回ショーの音楽は岡本デザイナーの高校時代の友人である「エイジファクトリー(Age Factory)」の清水英介が担当。「初めてのランウェイショーを、仲間たちと一緒に創り上げられた」と岡本デザイナーは満足げに語っていた。
海外組、新人デザイナーもリモート、デジタルで参加
メゾン シュン イシザワ(Maison Shun Ishizawa)
北海道発の新進ブランド「メゾン シュン イシザワ」は、オンライン発表により東コレ初参加を果たした。デザイナーの石澤駿は、1999年生まれ、北海道文化服装専門学校卒業。在学時に装苑賞などの多数コンペティションの入賞歴を持ち、その将来性を見込まれ株式会社ティスリーのプロデュースにより、2021年にブランドを創設した。
記念すべきデビューコレクションでは、芯の通った昭和のヤンキー像にフィーチャーした”ボンタン ハンター(BONTANG HANTER)”をテーマに、石澤デザイナーの手縫いによる刺繍を随所に施したルックなどを紹介した。
また「年代や性別問わず、多くの方に着ていただきたい」という石澤デザイナーの思いからユニセックスアイテムを基本に、今後も北海道を拠点としながらプロモーションや資材購入、専門店開拓といった同社の支援のもとで商品販売を本格化していくという。
オクシモロン(OXYMORON)
2021年3月よりスタートした「オクシモロン」は、2人の近代建築家の言葉をヒントに制作したコレクションをオンラインで発表した。テーマの“Less is more or bore?”は、「少ないほど、豊かである」というミース・ファン・デル・ローエの言葉と、「少ないほど、退屈である」というロバート・ベンチューリの言葉を並べた際に生じた疑問から考案したものだ。
コラージュ的なルックは、モダニズム建築のように一貫して無地で無彩色。フロントのみをクロップしたスウェットや切り替え部分に前立てを配したロングシャツのほか、複数のスリーブを付したスウェットなどを揃えた。友人とのディスカッションから始まるという制作プロセスも、「見たことのある服を見たことのない服へ」というアティチュードに基づく「オクシモロン」の特徴だ。
ビッグデザインアワード(big design award)
「ビッグ デザイン アワード」は、グローバルに活躍していく次世代のファッションデザイナーや課題解決を目指す人材の発掘・支援を目的とした、国際的なコンペティションだ。
2021年度には世界28カ国から148件のエントリーがあり、13人がファイナリストに選出。楽天ファッションウィーク東京においては、以下の5ブランド(「フェイフェイ ユフェイ リュー(feyfey Yufei Liu)」・中国、「ギョウリー キム(Gyouree Kim)」・韓国、「ルシル ギルマート(Lucile Guilmard)」・フランス、「ノガ カルペル(Noga Karpel)」・イスラエル、「サスキア レナーツ(Saskia Lenaerts)」・ベルギー)が表参道・ワールド北青山ビルでの発表機会を得た。
併せて、ショー開催後二日間は審査員によるトークセッションやファイナリスト向けの展示会も実施。三原康弘デザイナーや編集者の林香寿美などが審査員として参加した。
セイヴソン(Seivson)
台湾人デザイナー、ヅゥチン・シンによる「セイヴソン(Seivson)」は、”Do Electric Sheep Dream of Sleeping Beauty?(アンドロイドは電気羊の夢を見るか?)“をテーマにフューチャリスティックな世界を構築した。
AIと生命、バーチャルとリアルといったモチーフを取り上げるにあたって、彼女が関心を寄せたのは「衣服と空間の関係性」について。ブランドが得意とする多層的なリビルドを拡張・再解釈した。中でも、ボディラインを強調したシルエットや肌が覗く穴あきデザインの「皮膚のように見える洋服」は、現実世界で人間のように振る舞うヒューマノイドをイメージしたという。
また今シーズンは「日本と台湾の架け橋になりたい」というデザイナーの思いから「ディスカバード(DISCOVERED)」とコラボレーションが実現し、「セイヴソン」のファブリックを用いたクリノリンシルエットのドレスがフィナーレを飾った。
新たなビジネスモデルへの挑戦
ダイワ(DAIWA)
「ダイワ」は、フィッシングブランドのバックボーンを活かした「ビー アース フレンドリー(BE EARTH-FRIENDLY)魚網アップサイクルプロジェクト」のプレゼンテーションとインスタレーションを表参道・スペースオーで発表した。
アパレル産業を取り巻く廃棄問題が注目を集めている昨今、漁業においても廃棄漁網の滞留問題は深刻化している。株式会社グローブライドが主導する「ビー アース フレンドリー」活動は「よりよい魚の生息環境を作ること」を理念に掲げており、同プロジェクトはその活動の一環となる。
プレゼンテーションでは、アップサイクルの過程を追ったドキュメンタリームービーを公開。一方のインスタレーションでは、通常は埋め立てて廃棄していた漁網を高機能レインコートへと製品化するまでの過程を実物と共に紹介した。
ジン カトウ(ZIN KATO)
加藤徹デザイナーが手掛ける「ジン カトウ」が、「ジン カトウ × D(ZIN KATO × D)」の始動をRFWT期間中に記者会見で発表した。このプロジェクトでは、ブランド設立から47年間に制作したオートクチュールの世界観を基に、新進気鋭のクリエイターとコラボレーションし、デジタル衣服やアート作品を創作していくという。
第一弾プロジェクトとしてデジタルクリエイターのユキ・ミタムラとタッグを組み、「ジン カトー × ユキ ミタムラ(ZIN KATO × Yuki Mitamura)」として「ジン カトウ × D」の特設サイトで5月上旬にデジタルルックを発表する。会見ではその映像の一部を公開した。このプレゼンテーション映像(デジタルルック)はブランド初のNFT(※)コレクションとして、オンラインマーケットプレイスである「OpenSea」での販売を予定している。加藤デザイナーは、「アナログなクリエイションは「ジン カトウ」として続けながらも、デジタルというまったく新しい世界でブランドの表現に挑戦していきたい」と語った。
※Non-Fungible Token(非代替性トークン)。ブロックチェーン上に記録される代替不可能なデータで、デジタル上における権利を記録することができるデジタル資産。
文:アパレルウェブ編集部、編集:山中健
コレクション 東京