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2021.12.23

2022年はTikTokがソーシャルメディアを支配する!?
ソーシャルメディアの動向

 全世界のソーシャルメディアユーザーが37億人を超えたと言われる中、10代消費者のMETA(旧Facebook)・Instagram離れが話題になっています。META社のデータサイエンスチームの研究によると、同社のアプリを使用している10代は2019年から13%減少、今後2年で45%減少すると予想しているといいます。Instagramは若年層に依然として人気があるものの、10代に関してはTikTokにその3倍近くの時間を費やし、友達とのコミュニケーションはSnapchatの利用を好んでいる状況です。

 

 インサイダー・インテリジェンス社の調査においても、10代を含む米国のZ世代(1996-2012年生まれ)の使用数が多いSNSプラットフォームは、Snapchat(4,200万人)、TikTok(3,730万人)、Instagram(3,330万人)の順だと言われています。2021年にTikTokがInstagramを抜いて2位となっており、Snapchatとの差を縮める勢いです。新年に向け、ブランドや企業はSNSにどの様な期待ができるのでしょうか。

2022年はどうなる?

ケテング専門家の見解とは

 Hubspot社が行った調査による、1000人以上のマーケティングの専門家を対象とした2022年の、B2B、B2Cビジネストレンドは以下の通りです。

 

1: TikTokがソーシャルメディアのスペースを支配する

2: 新規ユーザーを獲得することが企業にとっての最大の目標となる

3: 企業がより多くのSNSを使用する

4: ARは、消費者が製品を試し、ブランドと対話するための好ましい方法となる。

5: B2Bの企業はInstagramとTwitterの投資を増額する

6: インフルエンサーマーケティングは2020年に成熟期を迎える

7: SNS広告がより洗練されたものに変化する

8: 企業は長編・短編のコンテンツやライブ・オーディオチャットルームに投資する

9: ソーシャル・コマースの需要が高まる

10: 消費者はスナック感覚のコンテンツを求める

TikTokはここ最近ライブ配信にも注力

 今年はTikTokが全世界で300万ダウンロードを達成し、SNSを支配した年と言っても過言では無いほど、ブランド企業に与えた影響は非常に大きかったと思います。そのお陰で2021年は、パンデミックの最中に多くのブランドが認知度を高め、顧客とのロイヤリテイーを深め、新たな消費者にリーチすることができました。10代がInstagram離れしている理由の一つに、インフルエンサーによる企業案件に飽きがきているという状況があります。しかし、専門家の見解では、パンデミック下ではむしろブランドよりもインフルエンサーへの信頼が高まった側面もあり、2022年はインフルエンサー施策を活用する企業が増加すると予測されているようです。

 

 また、TikTokの爆発的な人気で、短編動画が支持されたことで、Instagramの「リール」機能やYouTubeの「ショート」機能が導入され、15秒程度の動画が普及しました。一方で、TikTokは3分に、リールは60秒に拡張され、わずかな変化ですが、クリエーターやブランドがユーザーを惹きつけるための長編動画コンテンツやライブ配信も再び需要が拡大する兆候となっています。ユーザーがプラットフォームを離れることなく商品を購入できるソーシャルコマースもさらに加速しそうです。タイトルにもある“スナック感覚”というのは、自宅で退屈している時にスナック菓子をつまむ様子からきているもので、短編形式の簡単に消化できるコンテンツのことを表わしています。アメリカらしい表現ですが、即時の娯楽を提供し共有することで、長編動画よりも迅速で広範囲に影響を与える可能性があります。

2021年のSNS勝者TikTok社の気になる動向

ソーシャルコマースの拡大

 

 前述の通り、短編動画から長編動画への移行が見られますが、SNS業界全体でも急成長している、ライブストリーミング機能から商品を直接購入できる「Clickable Link」機能は、売り上げを伸ばす強力な後押しとなりそうです。また、オンラインストアを簡単に開設できるプラットフォームShopify(ショッピファイ)と提携したことで、企業アカウントでは商品にタグ付けやダッシュボード機能を使ったキャンペーン作成ができ、簡単にビデオ広告として活用することが可能となりました。Shopifyは、Facebook、Instagram、Pinterestと人気のSNSと提携しており、ユーザーの金融情報を必要とせず、素早く安全な決済を保証するプラットフォームとなっています。

 

 また、ブランドとTikTokのクリエーターのコラボレーションを実現させるプラットフォーム「Creator MarketPlace(クリエーターマーケットプレイス)」に続き、今年11月にローンチした「Creative Exchange(クリエイティブエクスチェンジ)」では、「ストーリー」や「製品紹介」など様々なキャンペーンの選択肢の中から、共同編集やコンセプトをプラットフォームで紹介することができ、ブランドとクリエーターの提携をさらに強化するためのツールとなっています。キャンペーンの一つ、ロケーション別のローカルコンテンツの提供も、地元の人々を惹きつけるための重要なポイントとなりそうです。

TikTokがレストラン業に参入!?

デリバリー専用のレストランチェーン「TikTokキッチン」を計画

 本来は短編ミュージックが主体のSNSだったTikTokですが、パンデミック後、用途の幅が広がり、フード関連やレシピ動画は何百万回もの再生数を記録する重要なコンテンツへと成長しています。そのような背景を受け、TikTok は875万人以上のユーザーが利用するフードデリバリー企業「Grubhub(グラブハブ)」と「Virtualdiningconcepts(ヴァーチャル・ダイニング・コンセプト)」と提携。サービスとしては、TikTok内の食品トレンドに基づいたフードメニューが、グラブハブ経由で届けられるというものです。例えば、TikTokで話題となり、Googleで最も検索された“フェタチーズパスタ”や、“スマッシュバーガー”、“パスタチップス”などが四半期毎にメニューに加わります。TechCrunchによると、同サービスは来年3月から300のロケーションでスタートし、来年末までには1000店舗にまで拡大する予定だといいます。また、ブルームバーグ誌の記事では、4,800万人以上もの登録者数を持つYouTuberのJimmy Donaldson(ジミー・ドナルドソン)がVirtualdiningconcepts社と提携し、ハンドルネームと同じ「MrBeastBurger(ミスター・ビーストバーガー)」を展開した際、3ヶ月で100万個を販売する大ヒットに繋がったという成功事例が。

 

 マーケティングの一環として、プラットフォーム内の話題のフードを提供することが目的で、どの程度の期間実行されるかは定かではないですが、TikTokの好奇心の強い巨大オーデイエンスの影響力に期待が集まっています。通常のビジネスモデルでは、まず、事業があり、D2C戦略や、SNSマーケティング戦略を立て、広告費用を払うことでファン層を拡大させ売上に繋げていきますが、ジミーの場合は、既に影響力のあるインフルエンサーがオープンしたハンバーガーチェーンの展開ということで、逆の成功パターンを打ち出した点が非常に興味深いといえます。TikTokは10億人以上のユーザーを踏まえて同様のケーススタディを予定しているのかもしれません。これが成功すれば、新たなビジネスの流れも見えてきそうです。

 

 来年も勢いがとどまらないと予想されるTikTok。インフルエンサーの数が増えることで、タイアップしたいブランド企業や有名人も増え、ソーシャルコマースの急速な拡大と共にマネタイズ化する手段として重要なソーシャルネットワークとなりそうです。

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