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2021.11.18

日本の計測技術で海外に挑む、ZOZOMAT for Handsがもたらす可能性

 11月9日、株式会社ZOZOが新しい計測テクノロジー「ZOZOMAT for Hands(ゾゾマットフォーハンズ)」をリリースしました。同技術は、専用のマット「ZOZOMAT for Hands」とスマートフォンを使うだけで、精度の高い手指の3Dサイズ計測が自宅でも簡単に実現できるサービスです。ZOZOMAT for Handsの申込みはブルガリ ジャパンカスタマーサービス(お電話)にて、11月9日から18日までの期間限定で受け付けしています。

 

 「ZOZOMAT for Hands」はZOZOにとって初となる、計測テクノロジーのライセンス販売を行うサービスで、ブルガリ ジャパンが同サービスを導入したことでも話題となっています。今回はZOZO広報担当者の協力のもと、新サービスの体験レポートと今後の展望について詳細を伺いました。

「ZOZOMAT for Hands」体験レポート

体験にあたっては「ZOZOMAT for Hands」、スマートフォン、そして特別にリングゲージが用意されていました。

今回の体験はデモサイトにて実施しております。

 まず、計測可能となる部位は、親指を除く4本の手指(人差し指・中指・薬指・小指)のリングサイズです。計測は、スマートフォンで「ZOZOMAT for Hands」に印刷されている二次元コードを読み取り、専用のウェブサイトに遷移します。手のひらの内側を下にして「ZOZOMAT for Hands」の中央に置き、計測手順を説明する音声に従って、カメラで全体を撮影し、計測していきます。計測をスムーズに進行させるポイントは、計測中「ZOZOMAT for Hands」から手を動かしたり離したりしないことです。

 具体的な計測の仕組みとしては、スマートフォンのカメラを開いて手を撮影する際「ZOZOMAT for Hands」全体に施されたドットマーカーをスマートフォンのカメラで読み取ることで、3Dサイズを計測しています。「ZOZOMAT for Hands」には「red」、「orange」など、8つ(※)の方向が色で示されており、その色の方向へカメラを傾けて順々に撮影し、計測が正しく完了するとスマートフォンの画面上に「チェックマーク」が表示されます(写真参考)。右手を計測する場合、まずは反時計回りに計測し、その後、時計回りに再度計測して計測が完了します。

 

(※)計測自体は片手ずつ、6方向から撮影する。

 計測が完了すると、親指を除く各指のリングサイズが表示されます。サイズ表記はEUサイズのみの表示となります(今回の体験ではデモサイトの都合上、EUサイズと日本サイズが表示されています)。

 筆者も早速体験し、計測結果に従ってリングゲージのリングをはめてみたところ、サイズ感がピッタリでした。体験終了後、今回の「ZOZOMAT for Hands」の開発に至った経緯や今後の展望について、ZOZOの広報担当に詳細を伺いました。

 

「ZOZOMAT for Hands」の開発経緯について、お聞かせください。

 ECサイトで指輪を購入する際に、サイズ選びに関する不安を抱えているお客様が多いと思いますが、そういった悩みを解消するために、これまで弊社で開発してきた「ZOZOMAT」「ZOZOGALSS」などの計測テクノロジーを活かして開発しました。今回の「ZOZOMAT for Hands」も、弊社の海外グループ会社とも連携しながら開発をしています。

ECサイトでは、サイズが合わないなどサイズ問題による返品が比較的多いと思いますが、例えば足の3D計測用マット「ZOZOMAT」などは、計測技術によって、返品率が減ったのでしょうか?

 「ZOZOMAT」は、つま先からかかとまでの足の長さや、足幅、甲の高さなどをミリ単位で計測し、お客様との相性度をサイト上で提示しているため、「ZOZOMAT」対応シューズは非対応シューズに比べ、返品率が36.9%も下がったという結果があります(※)。

 また、今年の3月にサービスをローンチした「ZOZOGLASS」に関しては、申し込み者数が119万人、実際に計測して頂いたユーザーが108万人まで上ります。SNSなどでの口コミでも好評を頂いております。

 

(※)対象期間:2020年2月27日~2020年10月12日

「ZOZOSUIT」(※)から、「ZOZOMAT for Hands」まで、かなり計測技術のノウハウが蓄積されてきたと思いますが、今後はどういった事業展開を計画しているのでしょうか?

 そうですね、今後は「ZOZOMAT for Hands」だけでなく、「ZOZOSUIT 2」、「ZOZOMAT」、「ZOZOGLASS」などの各種計測ツールの、海外に向けたライセンス販売に挑戦していきたいと考えています。また、ファッション領域にとどまらず、異業種との新たなサービスの共創も考えています。現在、パートナー企業様を募集しており、既に医療、スポーツなどの分野で、弊社が持っているテクノロジーをどのように展開していくか、取り組みを開始している事例もいくつかあります。例えば、「ZOZOSUIT 2」の技術を活用し、バスケットボール選手の体型測定やパフォーマンス向上、ケガ防止の可能性を探る取り組みも始まりました。今後も、当社の計測テクノロジーと、パートナー企業が持つ多様なテクノロジーやノウハウと掛け合わせ、新しい革新的なサービスの創出につなげてまいりたいと思います。

 

(※)現在は配布終了

ZOZOの計測技術から見えた2つの可能性

 

 取材を終え、同社による身体の計測技術のノウハウが蓄積されることで、日本の技術として海外市場でも展開できる基盤が出来始めていることを感じました。そして、ファッション以外の医療やスポーツといった領域でもあらゆる取り組みが試験的に進行しています。これまで同社はEC物販事業で成長を遂げてきましたが、今後はそれに加えて、技術力やライセンス事業による新しいビジネスの開拓を見据えています。ファッション領域にとどまらない同社の今後の展開に期待したいと思います。

 

ブルガリ ジャパンの公式サイト:https://www.bulgari.com/ja-jp/

 

ZOZOTOWNの公式サイト:https://zozo.jp/

 

「ZOZOMAT for Hands」申込み受付

ブルガリ ジャパン カスタマーサービス 受付ダイヤル(03-6362-0100)

 

取材:AIR編集部

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