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2021.09.15

体験型イベント「SCRAMBLE CLOSET」が魅せる、オンラインとオフラインを融合した新しい顧客体験

「SCRAMBLE CLOSET(スクランブル クローゼット)」のイベント様子

 9月10日~12日の3日間、株式会社エアークローゼットは、商業施設の「渋谷スクランブルスクエア」とのコラボレーションイベントとして、airClosetスタイリストが遠隔でパーソナルスタイリングを提案する「SCRAMBLE CLOSET(スクランブルローゼット)」を実施しました。airClosetとは、月額制のファッションレンタルにパーソナルスタイリングを加えたサービスです。

 

 エアークローゼットによるスマートミラーを活用した商業施設内での体験型イベントは、2019年にアトレ恵比寿で実施した「atré EBISU Closet (アトレエビスクローゼット)」に続き、今回のSCRAMBLE CLOSETは2度目となります。体験内容としては、イベント会場に設置されているスマートミラーを通して、体験者とairClosetのスタイリストをオンラインで繋ぎ、渋谷スクランブルスクエアに出店している11のファッションブランドから厳選された約50点のアイテムの中から、体験者に最適なコーディネートを提案するというものです。

 

 今回の取材では、まず実際に遠隔パーソナルスタイリングを体験し、その後、株式会社エアークローゼット代表取締役社⻑兼CEOの天沼 聰氏に同イベントの狙いと今後のサービスの展望についてお話を伺いました。

 今回の遠隔パーソナルスタイリング体験では、体験者がスマートミラーとタブレット端末を使いながら、スマートミラーの中に内蔵されているディスプレイを介して、スタイリストと会話し、コーディネートのアドバイスを受けます。

 体験の流れとして、まず、体験者はタブレットを操作し、自分のファッションの好み、お洋服を着るシーンなどをもとにファッションタイプがわかる診断をします。タブレットでは、同サービスが従来ウェブサイトで展開しているユーザーインタフェースをそのまま活用。

回答を終えると、体験者におすすめのファッションタイプが提案されます。

「渋谷スクランブルスクエア」にある11のファッションブランドから約50点のアイテムをコーディネートに利用

 ファッションタイプ診断に回答後、体験者は、スマートミラーに内蔵されているディスプレイを介して、診断結果をもとにスタイリストとコミュニケーションを取ります。スタイリストが提案する商品がディスプレイに表示されると、体験者はイベント会場にあるラックの中からスタッフが持ってきた指定の商品を受け取り、再びスマートミラーの前で商品を合わせながら、スタイリストと相談します。

 

 この遠隔パーソナルスタイリングの体験時間は一回約15分間。シューズも含め、2パターン以上の全身コーディネート提案を受けられます。

 

 体験の終了時には、体験者はメールアドレスをタブレット端末に入力し、ファッションタイプ診断の詳細結果を確認することができます。その場で商品の購入は出来ませんが、SCRAMBLE CLOSETの狙いとしては、体験後、体験者がスタイリストから提案されたお気に入りのアイテムを求めて同商業施設内のファッションブランド店舗へ足を運ぶきっかけを作ることにあります。

 続いて、株式会社エアークローゼットの代表取締役社⻑兼CEOの天沼 聰氏に、同イベントの詳細と今後の展開についてお話を伺いました。

 

1.今回、SCRAMBLE CLOSETの実施に向けて、前回の2019年のアトレ恵比寿のイベントからの改善点などはありますでしょうか?

 

 atré EBISU Closetの体験者アンケートでは、80%以上の方に「新しい洋服と出会うことが出来た」「コーディネートの満足度」といった項目において評価をして頂きました。しかし、オンラインでお客様と会話しながらパーソナルスタリングを提案するサービスの為、ネットワーク接続が途切れてしまう、音声が聞こえないといった通信関連のトラブルも発生していました。そこで、今回はそのような技術面を重点的に改善し、SCRAMBLE CLOSETの実施に反映しました。

 

2.ここ最近、自社でパーソナルスタリングサービスを始めるファッションブランドが増えています。今回のイベントに参加しているブランドの中にも同様のサービスを展開しているブランドがありますが、ファッションブランドとの差別化についてお聞かせください。

 

 2つあると考えています。まず1つ目は、お客様に新しいファッションに出会う楽しみを提供することです。ファッションブランドが自社で行うパーソナルスタイリングサービスの場合、提案できる商品が自社ブランドに限られてしまうので、お客様が新しいファッションスタイルに出会える機会も比較的少ないと思います。airClosetのお客様の9割以上は仕事をしている女性で、さらにその約半数が子育てをしているママです。仕事、育児、家事にほとんどの時間を費やしており、弊社が実施したアンケート(注1)によると、9割以上の育児中のママが「おしゃれと育児の両立は難しい」という悩みを抱えていることが分かりました。つまり、新しいファッションを発見する、楽しむ時間を捻出すること自体が難しいということです。それらの悩みを解決するために、創業以来蓄積されてきたパーソナルスタイリングの経験と最新のファッショントレンド情報を織り交ぜながら、弊社が取り扱う300以上のブランドから、お客様に最適なコーディネートを提案しています。お客様にファッションを楽しむ時間を提供すること自体に価値があると考えています。

 

注1: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000160.000011623.html

 

 2つ目は、今回のSCRAMBLE CLOSETの体験にも共通していますが、コーディネートに関して、第三者の視点から客観性のあるアドバイスやコミュニケーションをお客様に伝えられることです。弊社のアンケートでもう一つ分かったことが、お客様が他のファッションブランドでパーソナルスタリングサービスを受けた際、提案されたコーディネートがあまり好みではなくても、その場の雰囲気を気にして本音が言えない、という悩みがあることでした。そこに対し、airClosetではスタイリストにとって「自社ブランドを売り込む」というようなプレッシャーやバイアスもないため、サードパーティーの立場を活かして、より客観性のある提案や「本音」のアドバイスをお客様に伝えることが可能となります。正直なコミュニケーションを取ることで、お客様が求める新しいファッションスタイルを一緒に発見できますし、実際に、スタイリストが弊社に寄せたフィードバックでは、提案したコーディネートに対し、お客様が好みではない時には意見をはっきりと伝えてくれるといいます。

 

3.今後の遠隔パーソナルスタイリング事業に対し、例えばRaaS(Retail as a Service)という形で、B2B向けの外販パッケージを展開するというような構想はありますでしょうか?

 

 外販パッケージは特に考えていませんが、お客様に新しいファッションとの接点を増やすという意味では、ファッションブランドとのアライアンスを強化していきたいと考えています。例えば「Shop-in-Shop」の形で、ファッションブランドの店舗にコンシェルジュのようなコーナーを常設し、パーソナルスタリングサービスを提供するという構想を模索しています。

 

4. 近年ファッション業界では、SDGs、サステナビリティ、二次流通の取り組みがかなり注目されています。これらの分野も含めた今後の御社のアプローチと展望についてお聞かせください。

 

 現在提供しているレンタルのサブスクリプションモデルは、まさにサーキュラーエコノミーの一環だと考えます。中古品販売が二次流通ならば、レンタルサブスクリプションは「1.5次流通」という風に捉えます。商品を売って終わりではなく、メンテナンスを行い、その洋服との出会いを次のお客様にお届けすることで、ファッションにおけるサステナビリティの役割を果たしていると考えます。

 

 先述したサーキュラーエコノミーをさらに推進するために、実は昨年から「エコセール」という取り組みを始めました。サブスクリプションサービスにおいては、レンタル提供を終了するアイテムが一定数発生してしまいます。しかし、ベルトやリボンなど付属品に不備があっても状態が良く着用可能なアイテムも多いため、そのようなレンタル提供終了アイテムを、限定価格で販売する取り組みを定期的に実施しています。また、試着のみで返却されたアイテムも「エコセール」では取り扱い、一着のお洋服が利用される機会を出来る限り最大化させることに努めています。

 

 コロナ禍を経て、消費者のサステナビリティやSDGsに対する意識が高まっている中では、引き続き、サーキュラーエコノミー推進の取り組みとして、他社に対しファッションレンタルのサブスクリプションとパーソナルスタリングの差別化の部分を図りながら、サービスを拡大していきたいと思います。

 

まとめ:

 

 昨年から、オンラインで行うパーソナルスタリングが少しずつ定着し、ECサイトを中心に顧客体験が注目されていますが、特にファッション分野においては、洋服の素材やサイズ感の確認において、リアル店舗での体験は欠かせないと思います。一方で、リアル店舗では「非接触」の接客スタイルを求める傾向が強まりつつあります。今回のSCRAMBLE CLOSETのように、オンライン上の体験をリアル店舗に応用することで、店舗での感染拡大防止に配慮しながらも、店舗での接客体験を補うメリットが生まれます。未だ新型コロナウイルスの収束が見えない中、今回紹介したような取り組みは、来店の理由を作る重要なカギとなるかもしれません。

 

エアークローゼットの公式サイト:https://www.air-closet.com/

 

取材:AIR編集部

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