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2021.09.07

【2022春夏東京 ハイライト2】東京メンズはエレガンスが主流に ポジティブなファッションで未来を照らす

 2021年8月30日から9月4日にわたって行われた2022春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、Rakuten FWT)」が閉幕した。世界的なパンデミックが続き、デジタルでのコレクション発表が主流となっているが、「ヨシオクボ(yoshiokubo)」など海外でデジタルでの発表を続けるブランドが日本でリアルショーを開催するという流れも出てきている。東京は緊急事態宣言が発出されている中でのファッションウィークで、苦渋の決断でショーを中止したブランドもあるが、このような世情の中でも春夏コレクションの鮮やかでポジティブな雰囲気が暗い世の中の雰囲気を一掃した。久しぶりのランウェイショーを行った「ベッドフォード(BED J.W. FORD)」や初ランウェイの「シンヤコヅカ(SHINYAKOZUKA)」などは、東京メンズの未来を明るく照らしてくれるブランドとしてその存在感を見せつけた。

 

 東京メンズの全体感として、春夏ということもありリラックスした空気感やシルエットはあるものの、世界的なトレンドの流れであるエレガントが、ストリートが強い東京でも現れてきた。

ベッドフォード(BED J.W. FORD)

 「ベッドフォード」は東京・八芳園でランウェイショーを開催した。秋の始まりを告げる小雨が降る夕暮れ。ショーが始まる頃には雨が上がり、霧がかかったような幻想的な雰囲気の中でショーは行われた。

 

 デザイナー山岸慎平が語った「これまで、俺が俺がだったのが、主語が変わってきたんです。人の力を借りて、人と一緒にやっていきたいという想いが強くなった」という言葉。今シーズンのコレクションは、その言葉の意味を表現しているかのように優しく、純粋で美しいものだった。透明のナイロンコートには写真家・岩本幸一郎の作品がのせられ、透けて見える背景と一体となってスタイリングを完成させているかのようだった。歩くたびに風を孕んで柔らかく揺れるロングコートやスカート、ワイドパンツの裾がブランドらしいエレガントさを演出。植物のモチーフはコントラストを抑えてあくまでもさりげなく表現され、チェックパターンも透ける生地を重ねることで絶妙なニュアンスを生み出していた。光沢のある糸を織り込んだ個性的なストライプパターンや真っ赤なジャケット、パンツなど、主張の強いアイテムもあるものの、コレクション全体としてこれまでの「ベッドフォード」よりも優しさや繊細さが感じられた。

 

 2年ぶりとなる東京でのショーに「とても楽しかった」と山岸デザイナー。「自分にとってエレガントとは何だったのか、という問いに残りの人生をかけるのも悪くないですね」と笑顔で語っていた。

ヨシオクボ(yoshiokubo)

 「ヨシオクボ」は2017春夏シーズン以来となる東京でのランウェイショーを開催した。テーマは自衛武装した僧兵を意味する“ウォリアーモンク(Warrior Monk)”。パリメンズ期間にオンラインで発表したコレクションにアイテムを追加し、メンズ、ウィメンズ両方のモデルが登場してスタイリングのバリエーションも多彩さを増した。ランウェイショーはブランドのショールームという親密な空間で行われ、ワイヤレスヘッドフォンを装着して音楽を立体的に楽しめるというリアルショーならではの新たな演出を施した。

 

 デザイナーの久保嘉男が日本のミリタリーとは何か?と考えた時に思い至ったのが僧兵だったのだという。袈裟頭巾や法衣のような、かつての僧兵が纏った装束を現代的なスポーツミリタリーに落とし込んだ。僧兵が相手を威嚇するために大きい装備を身に着けていたことから、全体的にシルエットはオーバーサイズになっており、立体的なポケットや鎖かたびらのようなメッシュ素材のレイヤードでボリュームを出している。印象的な将棋の駒モチーフは、昔、奈良の山寺で僧兵が将棋に興じていたという記録からインスピレーションを受けた。日本人でもまだまだ日本の文化を知る余地があり、日本独自の美学をファッション表現したいという、デザイナーの想いが詰まったコレクションであった。

 

 2017年以降ヨーロッパでコレクションを発表してきた「ヨシオクボ」の凱旋ショー。コロナ禍によりこれまでのように大規模なショーは難しくなったが、久保デザイナーは「その場の空気感や匂い、服に手で触れられるほどの距離だからこそわかること、それを感じてもらいたかった」とリアルでショーをすることの意義を語った。

シンヤコヅカ(SHINYAKOZUKA)

 デザイナーの小塚信哉が手掛ける「シンヤコヅカ」はランウェイショー形式でコレクション発表を行った。テーマは“SWEET ROUGH DRAFT(素敵な下書き)”。ブランド初となるランウェイ、舞台は天王洲のアートスポットである「WHAT CAFE」。そのギャラリースペースに今シーズンのインスピレーションである「青いインク漏れ」を表現するかのような絵画を並べ、デザイナーが「下書き」と呼ぶアート作品のようなコレクションが発表された。「青いインク漏れ」には、「インクが広がっていくように、より様々な人たちにブランドの服が広がっていくように」という願いが込められている。

 

 今シーズンを象徴する色である「青」は多様な表現で取り入れられた。かなりのオーバーサイズで仕立てられたブルゾンやバンドカラーのロングシャツにはキャンバスに思いのままに筆を走らせたような大胆なペイントが施された。サマーニットのハットや精錬なストライプシャツには爽やかなウォーターブルーを、ゆったりとしたハーフパンツやチェスタースプリングコートには目の覚めるような鮮やかで濃いブルーを用い、アイコニックな鳥のモチーフもブルーの濃淡で表現するなど「青」という色を自由自在に操っていた。シルエットは全体的にオーバーサイズ。それは「オーバーサイズを作りたいのではなく身体と布の空間を作りたかった」と小塚デザイナー。ワークウェアを独自の視点で捉え再解釈することで、他にはない独自性を生み出している「シンヤコヅカ」は東京ファッションを牽引するブランドとなっていくことが期待される。

ネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATiENTS)

 BiSHなどの音楽プロデューサーとしても活躍する渡辺淳之介が手掛ける「ネグレクトアダルトペイシェンツ」は今シーズンもリアルでショーを行った。テーマは“ベーシックコレクション”。「自分が本来作りたかったであろう服」を作ったのだという。

 

 ブラック、レッド、チェック、レオパード、レザーなど、パンクロックを彷彿とさせるアイテム、要素をベースにブランドらしいユーモアを散りばめている。「バンドTシャツがあるならクラシックTシャツがあってもいい」と作ったのが、「猛津アルト」や「米藤 勉」など作曲家の名前とイラストをプリントしたTシャツやスウェットだ。「麺」を食べるショーの演出も健在。今シーズンはBiSHのアユニ・Dがカップ焼きそばを食べるパフォーマンスを行った。

 

 観客を入れてショーを行ったことについて渡辺デザイナーは、「ミュージックライブが制限されている中で、無観客や映像配信なども模索してきたが、やはりリアルには勝てないと思った。服も直に見てもらいたかったのでリアルでショーをするということにこだわった」と話した。

ミツル オカザキ(MITSURU OKAZAKI)

 「ミツル オカザキ」はフィジカルのショーを開催。「サーカス」をイメージしたプレイフルなコレクションを発表した。バルーンパンツやハーリキンチェックなど、ピエロの衣装に着想を得たアイテムが印象的。ホラー映画を連想させるようなピエロのモチーフは、デザイナーの岡﨑満が自ら描いたイラストだという。ラストルックのシルバーのパーツを多数取り付けたユニークなドレスは、サーカスのミラーボールにインスピレーションを得た。「コロナ禍でエンターテインメントが停滞していた状況で、サーカスをテーマにすることでエンターテインメント界に頑張ってもらいたいという想いがあった。楽しい服とは何かを考えた時にもサーカスが思い浮かんで今回コレクションで形にした。リアルでショーをしたのも実際に見てもらえるほうがコレクションを楽しく見せられると思ったから」とショー終了後に岡﨑デザイナーは語った。

ノブユキ マツイ(Nobuyuki Matsui)

 「ノブユキ マツイ」は、カーテンからインスピレーションを得たコレクション“Through the curtain”を東京・浅草橋にあるアトリエ兼ショールームで発表した。質の高いテーラリングを得意とする「ノブユキ マツイ」だが、キー素材となる白のレース生地を随所にレイヤードすることによって、コレクション全体をやや軽めの印象に仕上げた。

 

 まず目を引くのは、刺繍柄のテキスタイルで裏地を切り替えたノーカラーコートやブルゾンの下に重ねたレースのシャツ、同じくレースを用いたカーディガンなどのナチュラルなアイテムの数々。ネイビーで統一された豊富な型のアウター類はそれらをバランスよく引き締めていた。

 

 ショー中盤にはメンズウェアを着たウィメンズモデルが登場し、ジェンダーレスを強調した。また、ゆったりとしたジレをアウターウェアのごとく白のニットに重ねたり、はたまた変形させてエプロンのように斜めにかけたり。そこにペールトーンのストライプパンツを合わせることで、よりプレイフルにまとめた。

コンダクター(el conductorH)

 「コンダクター」は今シーズン、映画というエモーショナルな手法で刺激をもたらした。“Passage”と銘打ったコレクションからストーリーを構想した短編映画「something in the air」を東京・渋谷のユーロスペースにて公開。女優の唐田えりかと俳優の吉村界人がダブル出演し、監督・脚本は小林達夫が務めた。

 

 コレクションのインスピレーションは、1960年代後期に発生したサイケデリックなムーブメントと、デザイナーの長嶺信太郎が強く影響を受けた2000年代前半のモードファッション。そこに2020年代のムードを加え、ノスタルジーとコンテンポラリーの共存をキーワードに独自のミクスチャーファッションを構築した。

 

 具体的なアイテムとして、白いペンキでアレンジしたヴァージン・ウールのセットアップスーツや、ラメ感のあるミックスツイードにシルバーのロープパイピングを施したナポレオンジャケットなどをラインナップ。そのほかには、レザーのオーバーオールにタイダイのフーディーを合わせたり、足元をウエスタンブーツでまとめたりと、現代的なストリート要素も織りまぜ、今シーズンのコレクションのムードを決定づけた。

シセ(SISE)

 2018秋冬コレクション以来のファッションウィーク東京参加となる「シセ」。“drawing”をテーマに、デザイナー自身が自由に線を描くイメージで構築したコレクションを映像形式で発表した。デザイナー松井征心がもう一度新しくブランドを育てていき、そして新たなスタートを切るつもりでブランドと向き合ったという今シーズン。素材、色の選定など膨大な時間を掛け、デザイナー自身がクリエーションの過程を楽しみながら制作に臨んだという。

 

 ブランドの特徴である繊細なカッティングが生み出すしなやかなラインは、今シーズンより複雑になった。テーラードジャケットは、一度解体され再構築したかのようにパーツが複雑に組み合わされている。ソリッドな白シャツは襟が二重になっていたり、大きなポケットが斜めに取り付けられていたりと、ディテールに遊びが加えられている。落ち感のある柔らかな素材のロングコートやシャツ、フレアパンツで、ブランドらしいリュクスでエフォーレスなコレクションを紡ぎ上げていた。「CAREFREE」とハンドドローイングで書かれたようなグラフィックスウェットは、今シーズンのテーマ“drawing”を象徴している。

 

 長くブランドを続けていく中で、コレクション発表後の反応を想像できるようになってしまい、「何をしたくてブランドを立ち上げたのか?」という気持ちに再度向き合った松井デザイナー。エモーショナルなカッティングやブランドらしい美しいシルエットは、ブランド原点に立ち返り、初心を思い出すかのように洋服を楽しんでデザインしたということが確かに伝わってきた。

ハレ(HARE)

 株式会社アダストリアが運営するファッションブランド「ハレ」は映像でコレクションを発表した。2022春夏のシーズンテーマは“視覚娯楽”。日本古来の文化や遊びに着目し、現代的に新たな視点で再解釈し視覚的に表現したという。袖が大きく広がったステンカラーコートやボレロには花札をアートに落とし込んだグラフィックが使用されている。フラワーモチーフのクロシェ編みのニットは印象的で、Tシャツやベストなどスポーティーなアイテムとの組み合わせでもスタイリングをエレガントに昇華している。

 

 また、今シーズンは日本の伝導である漆芸にも着目。漆芸家・高橋悠眞とのコラボレーションを行い、伝統的な変塗(かわりぬり)技法の漆を表現したグラフィックをコートやシャツ、スカーフに用いている。

 

 今回のコレクションアイテムは、2021年12月より公式オンラインストア「ドットエスティ(.st)」にて先行予約販売を予定している。

 

タクタク(tac:tac)

 デザイナー島瀬敬章が手掛ける「タクタク」は、“DIVERS(C)TIY”をテーマにしたイメージムービーでコレクションを発表。それぞれ趣向の異なる人々が、一斉に街に飛び込み、新しく解け合ってひとつになる、そんな夢の世界をイメージした。

 

 シルエットは大胆なほどにオーバーサイズでリラックスムードを漂わせている。老若男女多様なモデルが纏うのは、自己を表現する自由なスタイル。ウエスタン、ミリタリー、ワークウェアなど、様々な要素が行き交っている。そんな自由な雰囲気の中でもリラックスしたサイズ感とベージュやエクリュ、カーキ、ブラウンなど柔らかいカラーパレットが、コレクションに統一感をもたらしていた。

メアグラーティア(meagratia)

 関根隆文が手掛ける「メアグラーティア」は映像でコレクションを発表した。テーマは“Play Life”。洋服が持つ、日常に楽しみをもたらしてくれるという本来の魅力を、ブランドとしてもう一度発信したいという思いを込めた。

 

 リラックスシルエットで紡ぎ上げたストリートスタイル。映像の中でスポーツをしたりはしゃぎ合ったりしているモデルたちの様子が、その着心地の良さと動きやすさを表している。ペイントやダメージがランダムに施されたデニムのシリーズが特徴的。パンツやオーバーオールなど複数のバリエーションが登場した。オーバーサイズのダブルのジャケットは柔らかいラウンドシルエットを描いている。セットアップもパンツのウエストがゴムになっていたり身幅がたっぷりと取られていたりと、肩肘を張らないエフォートレスなアイテムとなっている。

 

 「今の不安定な情勢に楽しみという明るい希望や未来を、洋服を通して感じ取ってもらいたい」デザイナーのメッセージが感じ取れるポジティブなコレクションであった。

ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)

 「ドレスドアンドレスド」は、前々作 ”PERSONA”、前作 “ANOSREP”と続く 「仮面三部作」の三作目となるコレクションを映像で発表した。今シーズンは“モラル”をテーマに、透明の仮面をつけた男と、素顔の男が交互に短いランウェイを歩き、消えていく事を繰り返したダブルイメージの作品となっている。これは、仮面と素顔を交互に繰り返すことで自意識の仮面が剥がされ、自我と社会や他人との関係性を考察していくのだということを示唆しているのだという。

 

 コレクションは、権威を象徴する様々なテーラリングをベースにセクシュアリティやマナーのタブーをあえて加えている。素肌にジャケット、ガーターベルト、断ち切られたかのような短いネクタイ、糸が垂れ下がるステッチ、そんなシュールなアイテムやディテールでテーラリングの常識を「ドレスドアンドレスド」流に崩していた。

イレニサ(IRENISA)

 「ヨウジヤマモト」でパターンの経験を積んだ小林祐と、「サポート サーフェス」で企画・生産・デザインを経験した安倍悠治が手がける「イレニサ」。4シーズン目にして「楽天 ファッション ウィーク東京」初参加となる今回は、渋谷ヒカリエ 8/COURTでブランドプレゼンテーションを開催した。ブランドコンセプトの“CHIC WITH SARCASM”に忠実に、本当に永く付き合える衣服とは何か、また未完成の完成とは何かを提案した。

 

 今シーズンは、デザイナー自身が京都の旅館に滞在した際に目にした苔庭をヒントに、シーズンテーマ“Natural artifice, artificial nature”を着想。人工物の作為性と、自然物の無作為性という相反する事象の共存がもたらす偶発性や緊張感をアイテムに落とし込んだ。テーマに合わせて様々な日本の伝統工芸の技術を応用するというアプローチを基本とし、愛知県に伝わる伝統工芸、有松・成海絞りを施したシャツは、染め、折り、脱色といった過程で無作為性を表現。ブークレという人工的なループのテクスチャーを生み出す糸を用いたオフホワイトのセットアップでは、押し返すような重厚感と洗練された素朴さを高い次元で達成した。アートピースと位置付けているバッグもコレクションにスパイスを加える。

 

 また、ニュージーランド出身で香港を拠点に活動するデザインアーティスト、バテン・アンド・カンプ(Batten and Kamp)による椅子の彫刻作品を使用したイメージムービーにも注目だ。

ネイプ_(NAPE_)

 「ネイプ_」は“OUR SOCIAL DILEMMA”をテーマに、高機能素材を用いた日常着を提案した。デザイナーの山下達磨はエスモードジャポンを卒業後、国内某有名ブランド数社にて、企画・パターン・生産管理を13年間にわたり経験。今回のコレクションでは、日常にあったら嬉しい機能を兼ね備え、尚且つ視覚的にも楽しむための異素材や配色使いを意識したアイテムを用意した。

 

 例えば、急な天候不良にも対応する耐水圧20.000mmレベルの透湿撥水3層構造の機能素材に、「都市ゴミ」柄のプリントを施したマルチモッズコート。袖や背中、太もも裏などの汗が気になる部分にスポーツメッシュ素材を配置したスポーツセットアップ。さらに、ハイパワーストレッチを使用することで着用ストレスを極限まで緩和したリラックススーツなど。独立前から、生地のロスを最小限に抑えるためのクリエーションに前向きに取り組んできたという山下デザイナーならではの工夫が見て取れるアイテムばかりだ。

 

 また音楽グループ、ザ ミレニアム パレード(THE MILLENIUM PARADE)のボーカル、エルムホイ(ermhoi)がサウンドを手がけたムービーにも注目だ。

エイチシー タカシ イトウ(HxCx takashi ito)

 公式スケジュールでの発表は、今回が2シーズン目となる「エイチシー タカシ イトウ」はランウェイショーを開催。1970年代に生じたロックの一種を指す”power pop”と題したコレクションだが、その内容は音楽的なものとはかけ離れたものとなった。

 

 ショーの冒頭ではパンクバンドによる生演奏が行われ、アンダーグラウンドなムードが漂う中にモデルを登場させるという演出。またルックの制作にあたっては、80年代と90年代のミクスチャーに軸足を置き、異なるもの同士の邂逅がもたらす目新しさを追い求めた。具体的なアイテムとして、肩のパーツをレオパード柄のフェイクファーで切り替えたジャケットや、膝部分にブランドロゴを施した様々なテキスタイルで切り替えたデニム、クリアケースを縫いつけたTシャツなど。

 

 今後のブランドビジョンについてデザイナーの城戸孝は「日本と海外という棲み分けではなく、どこにもないものを制作したいという気持ちで今回はやっています」とコメントした。

エフシーイー(F/CE.®)

 山根敏史と山根麻美が手掛ける「エフシーイー」は映像でコレクションを発表。コレクションのテーマは“Ephemerality(エフェメラリティ:一過性という意)”で、砂漠を舞台に映像は繰り広げられる。ブランドらしい機能性はそのままに、北アフリカで着られるジェラバをイメージしたかのようなドレスや、写真を転写したようなプリントにアラビア文字をのせたパターンなど、エキゾチックなモチーフやアイテムを取り入れた。一方で、前合わせになっているロングコートやフィッシングベストを用いたスタイリングなどは作務衣や伝統的な防具などを連想させ、日本らしさを感じさせる雰囲気もあった。

 

取材・文:アパレルウェブ編集部

 

東京ファッションウィーク

https://apparel-web.com/collection/tokyo

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