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2021.07.01

次はペットビジネスが日本でも大流行!? KOL、マッチングサービス 中国ペットビジネス狂想曲

アパレルウェブ「AIR VOL.47」(2021年5月発刊)より一部の内容を抜粋して転載しております。

中国の大手ペットクリニック「Dr.Pet」

 近年中国のペットビジネス市場が大きく成長しています。中国の大手調査会社、iiMedia Researchのデータによると、2020年の中国のペットビジネスの市場規模は2,953億人民元に達し、2023年には約5,929億人民元まで成長すると予測されています。

 

 特にコロナを背景に、多くの人々がペットに癒しを求め、ペットを飼うライフスタイルに憧れを持つようになったことが、元々成長していたペット市場のさらなる拡大の追い風となっています。ペットビジネス市場と聞くとペットフードやアパレルといった物販を販売するイメージが強いですが、中国のペットビジネス市場を支えているのは、物販だけではありません。例えば、ペット医療、美容、保険サービス、ペットの葬儀サービス、ペット同士のマッチングサービス(ペットの血統をよりよくするため、ペットの結婚式を挙げ、次の世代を繁殖する)など、人間と変わらないサービスが展開されています。まさにペットのライフスタイル提案を様々な企業やサービスがしており、かつ需要があるのです。今回は中国で急成長するペットビジネス市場をご紹介します。

美容からマッチングサービスまで人間以上のサービスを受けるペット

 今、中国では人 間以上にペットにお金をかける飼い主が増えつつあります。飼い主はペットを文字通り家族の一員と認識しており、人と同等もしくはそれ以上のサービスをペットに享受させることを望んでいます。こうした加熱するペット愛好家の要望を一手に叶える「総合サービス」として、「Dr.Pet」というサービスが今注目されています。Dr.Petはペットのための医療、美容、保険サービス、訓練サービス、ホテル、葬儀、そしてペット同士のマッチングサービスまでを網羅するワンストッププラットフォームです。同社は公式サイトにアクセスすると、直ぐに専属スタッフがオンラインチャットでユーザーの用件を伺い、迅速に案内し、各専門の担当者に繋いでくれます。

 

 また、ビデオチャットを活用して問診を行い、ある程度ペットの病状を確認した上で、電子カルテを事前に作成し、クリニックでの対応の効率向上の工夫をしています。さらに、複数のペットクリニックと提携し、ユーザーとペットクリニックのマッチングサービスも続々と登場しています。このようなマッチングサービスは基本的にアプリを軸に事業を展開しており、成立時にクリニックがアプリ側に手数料を支払う成功報酬型のビジネスモデルのため、リスクが低く、利益率が高いというところで多くの新興企業が参入しています。マッチングサービスや美容など、もはや人間と同等以上のサービスがペットという市場で展開されているのです。

ユーザーとペットクリニックのマッチングサービス「犬医者」

開始数分で15万以上の商品を販売!KOL業界でもペット旋風が!

KOLの愛犬を起用したアイシャドウのコラボレーションアイテムは15万個以上を売れたヒット商品

 中国ペットビジネスの物販に目を向けると、ペットスキンケアの市場が盛り上がっています。デジタルネイティブブランドHYAPAWSはSNSの小紅書(RED)を上手く活用して人気があるブランドです。オーガニック由来の素材で犬や猫の皮膚、毛の質を改善する効果が評価されています。HYAPAWSはファンコミュニティの形成と自社ECの構築に注力しており、TモールなどのECモールに出店せず、WeChatが提供するモバイルECカートサービス「微店」を活用しています。「微店」の場合、顧客との1to1メッセージのやり取りが可能で顧客データも自社で管理できる利点があります。

 

 また、WeChat傘下のサービスのため、WeChatアカウントさえあれば、ワンクリックで会員登録が連携できるという利便性があります。さらに、WeChatでもユーザー同士が交流できる機能を開発し、ペット愛好会のコミュニティで集客にも活用しています。変わったところでは「ペット」をキャラクターとして生かすIPビジネス(知的財産)も活況を見せています。例えば、中国では、有名KOL(Key Opinion Leader)の愛犬とコスメブランドのPerfect Diaryがコラボレーションをしました。コラボレーションの内容はアイシャドウパレットにKOLの愛犬をデザインした商品(下の画像参照)の販売です。
このコラボレーション、ライブコマースで販売したところ、開始から僅か数秒で15万個を販売して話題になりました。

 

 KOL自体が2,900万人のフォロワーを抱えており、KOLとのコラボレーションの成功はある程度予想されていましたが、KOLの愛犬を通じてここまで売上を伸ばしたことは予想以上の成果となりました。このような成功事例をきっかけに、中国ではKOLやライバーを取り扱う芸能プロダクション企業も、「ペットのKOL」をプロデュースする企画に注力しているといいます。ここまで中国のペットビジネスの概況をご紹介しました。ペット用の美容アイテムの販売やマッチングサービス、ペットのKOLの登場に至るまで、ペットビジネスは中国で存在感を増しています。これまでもライブコマースやTikTok、電子決済など中国で先行して流行し、その後、日本へトレンドとして流入するケースが複数ありますが、同様に、現在中国で盛況をみせているペットビジネス市場がいずれ日本でもトレンドとなる可能性は十分に考えられるのではないでしょうか。

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