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2021.06.24
夏に向け、徐々に息を吹き返すニューヨーク
6月15日、木曜日。クオモ・ニューヨーク州知事は、18歳以上のニューヨーク州民の70%が新型コロナウイルスの1回目のワクチン接種が完了したと会見で報告しました。同日の夜、その達成度を祝して、エンパイアステートビルディングやワールドトレードセンターなど、ニューヨーク州のランドマークといわれる施設がブルーとゴールドにライトアップ。さらに21時過ぎにはニューヨーク州各地で花火もあがりました。この日を境に、ほぼ全ての規制が解除となりました。ワクチン接種はそれぞれのチョイスだとは思いますが、ニューヨーカーは一丸となれば目標を達成できると立証したように感じました。
この日は晴天で、気温も25度前後と程よい暑さで心地良い一日でした。パークアヴェニュー側から34丁目沿いへメイシーズ に向かって歩く途中信号で立ち止まり、ふとエンパイアステートビルディングを眺めながら、この通りを歩くのは約一年半ぶりだと気付きました。普段チェックしていた店舗はまだあるのか、そんな事を思いながらAMAZON BOOKSに到着。店舗は営業している模様で、開店時間前だったため人の入りは確認できませんでしたが、隣接したカフェは改装中で覆われていました。
歩き続け、そろそろUNIQLOの近辺だと思ったところ、すでに閉店していました。通りを挟みUNIQLOの向かいに位置していたAMERICAN EAGLE OUTFITTERSも閉店。また、角地にあったVICTORIA’S SECRETやGAPも軒並み閉店し、新しいテナント募集が掲げられていました。
6月はプライド月間
LGBTQ+の権利や文化を指示するブランドのディスプレイ
6月は毎年、LGBTQ+の権利や文化、コミュニティへの理解や支持を広める様々なイベントが行われるプライド月間です。一昔前と比較して、コミュニティへの知識が広がり理解されるようにはなってきているものの、未だ権利平等とまではいかず、こうした6月の取り組み月間があることで改善に向け考え、支援する機会が持てると思います。企業やブランドは、積極的にレインボーカラーを掲げプライド月間を盛り上げています。街中の多くのウインドウがプライド月間にちなんだVMDを展開し、シティバンクがスポンサーである自転車シェアプログラム(有料)の自転車もレインボーカラーに染まっていました。
徐々に観光客が戻るニューヨーク
Macy’sの店舗
MACY’S 前に到着すると、いつからこんなに観光客が戻ったのか人混みが見えました。正面エントランス前では多くの人が11時の開店を待ちわびるように並んでいて、時計の針が11時を回った途端に店内へ人が流れ込むような光景を目の当たりにしました。
フロアに設置される便利なプライスチェッカー
店舗内で設置されているプライスチェッカー
入店する人々の流れに続き、筆者も駆け足気味に、1階と地下フロアに限定して見て回りました。売り場の様子はパンデミック以前からさほど変わってはいませんが、目についたのは自身で商品プライスを確認するチェッカーが設置されていたことです。大型百貨店となると、なかなか店員が捕まらず値段や商品についての情報が得にくいです。そうした際に便利なのがこのチェッカーですが、最近さらにアップグレードされていると感じました。ハングタグをスキャンすると、まず価格、サイズ情報、カラー展開が確認できる「Product Info」が表示され、さらに「Details」では素材感やスタイルなどの情報、そして「Ratings」では購入者による商品の評価まで閲覧することができます。従来はmacys.com 上だけの機能だったこれらの情報が、プライスチェッカーを利用することで同様に得られるようになっていました。もちろん、すでにMACY’Sのアプリをインストール済みの利用者はプライスチェッカーを使わなくても、アプリで同情報を得ることができます。しかし、アプリを利用しない、もしくは観光客で訪れている人々にとっては便利ですよね。今日は何か買って帰りたい!とふらっと店舗に立ち寄った際にも、すぐに必要な情報がわかるプライスチェッカーが利用できれば、購入の後押しになるかもしれません。
ワクチン接種の拡大とともに、米国経済、小売業に少しつつ兆しが見え始めましたが、まだ油断はできません。これから本格的な経済回復に向けて、改めて顧客のニーズを見直し、デジタルと店舗の連携の強化は各社に求められているではないでしょうか。
R I N A 90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。
以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。
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