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2021.06.04

【本音で語るツール活用術】
WEBマーケティングツール最前線 Vol.16 
プロの撮影クオリティを担保しつつ業務効率化2倍を実現する「オートリー」

アパレルウェブ「AIR VOL. 46」(2021年4月発刊)より

written by 鎌戸隆輔(アパレルウェブ)

今回本音で聞いた人はこの人:

 

オートリージャパン株式会社
コンサルタント
荒井 裕希氏

 

  日頃デジタルマーケティングを実践する中で、気になったツールやサービスを提供している会社に突撃取材します!サービスの紹介で終わるのではなく、デジタルマーケティングのヒントになる様な、ここでしか聞けないインタビューをアパレルウェブ1のツールマニア、鎌戸がお届けします。

ポイント:

撮影、編集、加工業務こそ
テクノロジーで業務効率化を!

取材するサービス:

プロの撮影クオリティを担保しつつ
業務効率化2倍を実現する「オートリー」

どういうサービス?

最初に、御社と提供するサービスを教えてください。

 オートリージャパンはECに掲載する写真の撮影や編集を、誰でも気軽に撮影できるという環境を構築、提供している会社です。本社が台湾にあり、この自動撮影機(自動撮影システム)という分野においては第一人者となっています。いわゆる、ささげ業務の「さ(撮影)」の領域ですが、現状はその作業がアナログな企業様が多く、
効率的なツールがほとんどない状態です。アナログでやっているところを、テクノロジーに切り替えるだけで2~3倍くらいの効率を出すというのが実測で出ており、その部分を我々が、ハードウェア・ソフトウェアを使い、今までプロがやっていた仕事を、初心者やアルバイトの方でも可能とし、2~3倍の効率化を実現すると同時に、コス
トが1/2、1/3にもなるというのが一番の強みとなっています。世界では15,000社が導入されており、日本国内だとユーザーは500社以上にのぼっています。

ささげの「撮影」の部分を効率化して、なおかつ工数を削減して費用対効果を高めるという撮影ツール・機材を提供しているという認識でよろしいでしょうか。

 そうですね。さらに詳細をお話させて頂くと、一般的な撮影ツールとして、カメラとパソコンを繋いでカメラを連動させて写真を撮る、パソコンにそのままデータを送るというツールはあるのですが、商品撮影をする際にはライティング(照明)が必ず必要となります。加減次第で、商品の見栄えや質感の伝わり具合が変化するので、ライティングはプロカメラマンの腕に依存する要素となってきます。我々はそこに目を付けて、カメラとパソコンだけでなく、ライティングのテクニックまでをデジタルで再現しようと考えました。そうでなければ、誰もが使えるツールにならないと感じたからです。つまり、カメラマンを助けるツールではなく、“商品撮影自体を簡単にする”というところを目的として作られているサービスとなっています。実際には、光源を当てるライティング機材(約20種類のラインナップ)とそれを数字化してPCにつなげるソフトウェアをセットで販売しております。

“商品撮影自体を簡単にする”とは具体的にどのような仕組みで簡単にしているのでしょうか。

 かなり細かい説明になってしまうのですが、まず商品撮影というところでいくと、今お話しした、ライティングとカメラの部分が全部数値化されています。我々のソフトを使うのですが、そのソフトの中に、カメラの設定値や機材の照明値を全て覚えこませることができます。例えば、黒い商品の撮影をする時の、ライティングの強さを数値化できているので、「黒い商品用のライティング」と選択肢を選ぶだけです。それでパシャっと撮ってしまえば、プロカメラマンのクオリティを素人でも再現ができます。つまり、誰が撮影しても商品撮影がプロクオリティになるということです。もう一つは、迅速に商品の編集・加工作業ができるという点です。例えば、楽天とAmazonは背景が真っ白でないといけないという規定があり、日々EC担当者の皆さまが、背景処理をして、被写体だけをくり抜いて、白い背景に載せるという作業をしていると思います。白抜きと呼ばれる作業です。この白抜きという作業がかなり面倒です。クリエイティブ領域の方だと分かると思います(笑)。我々の場合、白抜きや商品の編集、加工作業をソフトの中で撮影と同時に行うので、1カットあたり約5秒で完了します。普通だと、大体5~20分くらいかかったりしますので、そこの効率化だけで言っても何十倍という効率化ができています。

編集・加工処理をPhotoshopなどですると、1商品に数分から数十分かかってしまうということですね。編集・加工処理は、その作業だけ外注されている企業がいるくらい重要な作業ですよね。

 おっしゃる通りです。理由は様々ですが、編集・加工処理の作業だけ外注している企業様も多いと聞きます。ただ、商品の撮影と編集というのは絶対ワンセットになってくるので、撮影を自社で、編集作業だけを外注するというのは時間的なロスも大きいと思っています。また、社内ですべて完結する場合でも、商品撮影から編集までが1日と3日の企業様では、掲載までのリードタイムというのがかなり変わってきます。今の時代店舗で販売するタイミングでECでも掲載するなど店舗と足並みを揃えることが必要不可欠になっているので、可能な限り撮影から掲載のリードタイムを圧縮するべきです。その点、我々の機材を導入している企業様だと、午前中撮影したものが午後にはWEB上に掲載されているというところも多いです。

 

 あとは、強みとして、画像の保存が早いという点があります。どういうことかと言いますと、商品を撮影した後に保存するという作業があります。この保存作業はPhotoshopのバッチ作業で対応している企業様もあると思うのですが、そうではない企業様だと、1つ1つの画像をモールが指定するサイズに合わせて保存する必要があります。例えば、楽天用に500ピクセル×500ピクセルで保存、Amazon用に1000ピクセル×1000ピクセルで保存、といった作業です。自社用に何ピクセルという形で、分けて何度も保存しているというケースが結構発生するのですが、我々のツールを使って頂くとワンクリック、おおよそ1分で終了します。細かい点ですが、常日頃発生する作業なので、年単位で換算していくと、大きな効率化に繋がっています。作業者の工数換算をすると1年で導入費用をペイしている企業様がほとんどですね。

画像の切り抜きサービスで言うと、AIで判別して切り抜くというツールもあると思います。そういったツールを何社か、導入したという会社様を聞いたことがあるのですが、結局、最後の微調整は手でやってるんだよねという話も聞こえてきます。これはライティングが安定しないということも関係しているのでしょうか。

 そうですね。ライティングも関係していると思います。一般的な切り抜きツールでは、白い商品や反射する商品、透明感のある商品の切り抜きやファー素材やモコモコの素材のようなものは正直相当辛いとお伺いしています。結局そうした商品の微調整を何十分もかけてやっているという。それってなんだか本質的ではないですよね。誰のためにやってるんだろうという作業を1日かけてやっていたりするんですが、繊細な商品となると、手がかかるものもあるので、AIでは絶対に対応できません。その点、我々のツールは被写体に影を落として、被写体の位置を完全に把握させるので、切り抜きが容易です。よく夕日の撮影とかである、人物が暗くて海があるというような逆光の状態を作るイメージです。その逆光の部分、黒くなっている部分だけを被写体として認識させて、それ以外の部分を背景として認識させるという形です。

先ほど誰が撮影してもクオリティが維持されると仰っていましたが、こうしたライティングや切り抜きの設定も含めてシンプルかつ効率化されるという認識で大丈夫でしょうか。

 大丈夫です。ライティングや切り抜きの部分も含めて、全部数値化してプロファイル化できるので、1回成功してしまえば、それを基に調整内容はすべて保存しておける為、次回以降の撮影は苦労せずスムーズに進みます。これは苦労した人の設定というのが残るので(笑)。プロカメラマンに依頼すると説明は理解できても結局自分でやらないと身にならないですが、我々の場合はそうしたノウハウが全部残るという形です。私がやったものを、鎌戸さんがやっても、同じクオリティで撮影ができます。

オートリーの照明機材は約20種類、企業側は商材によって豊富な選択肢から機材を選択する

最後に実際に導入を決めた企業はどのような点で御社のサービスの導入を決定しているか教えてください。

 効率化することで工数削減につながる、削減した工数のリソースを別の領域に回すことでこれだけの売上に繋がるといった、工数削減の点でしょうか。実際のところで言うと、撮影から加工まで25分かかっていた作業が、トータル12分程と、約半分に削減できるといった感じです。先ほどもお話しましたが、撮影、編集、加工業務は常に発生する業務です。作業者の工数換算をすると1年で導入費用をペイしている企業様がほとんどで、この話をすると決済者の方もこちらの話に耳を傾けてくれます。

 

 また、導入企業様のタイプで多いのが、既に内製化、または半内製化をしていて、自分達で撮影ノウハウがあるような企業様です。全体の約7割でしょうか。これは、これから店舗が減ってきて、配置転換という話になった時に店舗で販売をしていたスタッフがデスクワークに転換するのは少し難しい。そうした時、ある程度トレーニングすれば誰でもできるというシステムを導入すれば、人材活用の幅が広がる。そこを見越した導入ということなんだと思います。あとは、繁忙期だと毎日のように残業していたのが、残業がなくなったというところに共感を頂いて導入してもらうケースも多いです。撮影すること自体で手一杯だった部分が効率化され時間に余裕ができるのは、現場からするとすごく助かるということで、上層部にも、こうした現場の声に理解がある場合です。

 

 企業によっては「できるでしょ、根性で!」みたいな話を上層部の方がされるのですが、シーズンの立ち上がりなど繁忙期は「いや、難しいよ(笑)」と現場の担当者であれば思うはずです。そういう意味ではスタッフの精神衛生を少しでも良くする、さらには退職をさせない、万が一退職となってしまったとしてもノウハウは数字化されて、しっかり残るという点でご支持頂けていると思います。

 

 今の時代ファッション関連の企業様であればECは外せない販路だと思います。またECが外せないということは商品撮影、編集、加工も外せない業務にもなります。この日々発生する業務を効率化、品質を担保していくことは必要不可欠です。今年こそは挑戦をしよう、会社を変えようとしている方や企業様を支援できればと思っています。商品撮影に関するお悩みやご相談がございましたら、些細なことでもぜひご連絡を頂ければ幸いです。

 

オートリージャパン株式会社

公式サイト:https://www.ortery.jp/

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