PICK UP

2020.12.04

英国最新サステナビリティ事例3選! ゲーム技術からECサイトで活用まで多様化が進む

※この記事はアパレルウェブ「AIR VOL.41」(2020年11月発刊)の内容を再編集して掲載しております。

 アパレル業界を含めて、あらゆる産業にとって重要な議題となったサステナビリティ。新型コロナを背景に、消費者の価値観にも変化があり、自然環境との向き合い方を考え直すきっかけとなりました。今回はサステナビリティの取り組みにおいて先進国である英国の最新事例をピックアップしてご紹介します。

バーバリーはゲーム技術を応用してサプライチェーンを効率化

バーバリーの公式ゲーム画面より

 「Burberry(バーバリー)」はデザインプロセスの工程を効率化すべくゲームで開発された技術を応用。秋冬シーズンのデザインの一部にはゲーム技術が導入されています。この導入は、プリント生地のデザイン配置を決定する工程にあります。2次元のプリントを3Dの服に配置し、デジタル上でプリントが配置された服のイメージを確認可能にしています。この技術応用によりプリント生地を採用したデザインのサンプル作成などが大幅に簡略化。また、デザイン時に使用する紙の量は3分の1となりました。サプライチェーンの効率化からサステナブルな取り組みを強化しています。

 

バーバリーの公式サイト:https://jp.burberry.com/

二酸化炭素排出量の計算がオンラインショップで可能に

ハーコレクティブのECサイトより

 個人間で洋服の貸し借りができる英国発のプラットフォーム「HURR Collective(ハーコレクティブ)」は、ECサイトの新しい機能として二酸化炭素の排出量を計算する機能を追加しました。この機能は、自分がレンタルしようとしているファッションアイテムの種類や値段を入力すると「購入をせずレンタルを選んだことで、どの程度の二酸化炭素排出量を抑えることができたか?」を数値として知ることが可能です。結果は「車でどれくらいの距離を走った分に値するのか?」といった形で表現されます。環境の保護を意識して購入よりもレンタルを選ぶ顧客に向けて、効果を数値として明確に提示しています。

 

ハーコレクティブのECサイト:https://www.hurrcollective.com/

百貨店は有名ブランドとタッグを組み、サステナブルな取り組みを

「プロジェクトアース」の特設ページより

 英国の高級百貨店「Selfridges(セルフリッジズ)」が展開しているサステナブルな取り組み「プロジェクトアース」。環境負荷をできるだけ低減する消費行動を目指して、セカンドハンド品の販売、レンタル、修理サービスなどに取り組んでいます。その一環として、英国の老舗アウトドア・ライフスタイルブランド「Barbour(バブアー)」とタッグを組み、セルフリッジズの店舗にバブアーのメンテナンスブースが登場しました。ブースではバブアーの修理刺繍などのリメイクのサービスを提供。商品を長く愛用して欲しいというサステナブルな視点とアイテムを持ち込むお客様とのコミュニケーション強化を狙った取り組みとなっています。

 

セルフリッジズの公式サイト:https://www.selfridges.com/GB/en/

業態が異なっても、工夫次第で様々なサステナビリティ施策の可能性が見えた

 今回紹介した3つの事例、高級ブランド、個人間のお洋服の貸し借りサービス、そして百貨店。業態は異なりますが、それぞれの業態の特性を活かした上で、さらに一歩踏み込んだサステナビリティの事例になっていると思います。例えば、ハーコレクティブの場合、二酸化炭素の排出量を数値化し客観的なデータをユーザーに伝えることで、ユーザーは自分の購買行動が環境に与える影響を知ることができるでしょう。そして今後も、「その購買行動がもたらす影響を測ってみよう」という意識を持たせることにも繋がります。洋服の貸し借りサービスを通じて、環境への負荷低減にとどまらず、ユーザーへのある種の教育効果も期待できます。

 

 英国ではこのように、サステナビリティの施策が多様化する中、バーバリーやハーコレクティブの事例のように、専門的な知識や技術を必要とするケースもあります。日本のファッション企業に置き換えると、必ずしも最初からそのような専門的な施策を模倣する必要はなく、例えば梱包資材の見直しなど、自社で出来る範囲、そして顧客に伝わりやすいところから着手してみてはいかがでしょうか。

メールマガジン登録