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2020.11.26

世界でも進むカードのデジタル化 決済サービスはさらに進化を遂げていた!

アパレルウェブ「AIR VOL.40」(2020年10月発刊)の特集ページより一部の内容を抜粋して転載しております。

クレジットカードやデビットカードを一つにまとめるアプリ「カーブ」

カーブのアプリ。多数のクレジットカードやデビットカードを登録し、用途に合わせて使用するカードの変更が可能。

使用用途は自動でジャンル分けされ管理される。

 DXの事例として代表的な業界の1つがフィンテックですが、多数のフィンテック企業がある英国の中でも注目を集めているサービスがCurve(カーブ)です。カーブはアプリと物理カードで利用するフィンテックサービスであり、1枚のカードで様々な機能が集約されています。代表的なサービスの1つが多数のカードを集約する機能。クレジットカードやデビットカード、さらにポイントカードなどをアプリに登録することで、アプリと物理カード1枚に全てが集約されます。

 

 使用方法は通常のカード支払いと同様にカーブカードを利用するだけ。違う点はアプリで事前に選択しているクレジットカードで支払いが進められる点です。そして支払い後であっても、支払いを進める登録カードを変更することも可能。財布に多数のクレジットカードやデビットカードを持ち歩くことなく、1枚のカーブカードさえあれば、自分の利用したいクレジットカードで支払いができます。セキュリティ面でも優れておりクレジットカードを複数持ち歩く必要がないため、万が一、財布の紛失や盗難にあってもクレジットカードの紛失を避けることができます。

 

 また、カーブカードはアプリからワンタップで使用停止にするこ とができるので、盗難にあっても悪用される心配がありません。決済した際もアプリ内で自動的に支出管理もでき、一目で支出金額を知ることができます。さらに支出のカテゴリ分けも自動で行われるので食料品や交通など支出の種類も把握・管理が可能。その他、独自のキャッシュバック機能やアカウントを持つ友人同士のお金の送受信など様々な機能が付与されています。英国ですでに150万人が登録・利用をし、サービスの規模を広めている英国フィンテックサービスです。

ECでは後払いサービス「クラーナ」が大流行

アプリトップ画面から様々なECサイトのニュースなどが登場し、

サイト訪問へも貢献。使用金額や支払いスケジュールなども分かりやすくアプリで確認可能。

 ECの領域でも、決済手段に変化が表れています。英国を中心に広がっているEC決済が「後払い」です。代表的なサービスがスウェーデンを拠点にする後払いアプリ「Klarna(クラーナ)」。英国内で860万人以上がダウンロードしているアプリであり、欧米全体では8,500万人がダウンロード、現在も毎日約5万ダウンロードされている決済サービスアプリです。同様に、後払いサービスとして日本のZOZOTOWNが提供している「ツケ払い」との違いは、クラーナがアプリとしてサービスを展開している部分です。クラーナのアプリは多数のECサイトと提携されているので、ツケ払いのように1社だけに限定したサービスではなく、アプリに登録すると提携店舗全てで後払いサービスが利用可能となります。また、後払いや分割払いを選んだとしても、ユーザーは分割払いに対する手数料を支払う必要がありません。全てのECにおいて無料で後払いサービスを利用できます。

 

 クラーナのアプリは利用残高や支払いスケジュールの確認のためユーザーが日常的にアプリに訪問します。そのため、クラーナはアプリ内に新商品情報やセール情報などを提供し、売上やECサイト訪問数の増加に貢献しています。また、後払いサービスや分割サービスを利用することは単価の高い商品の購入ハードルも下げることにもつながります。そのため後払いサービスの利用で客単価が高くなると考えられており、客単価が33%アップした事例も英国国内にはあります。

米国では分割払いが主流「POSローン」

出所:トランスユニオン、エクスペリアン、マッキンゼー消費者貸付ツール

 米国ではPOSローンと言われるサービスが流行の兆しを見せています。POSローンとは、ユーザーが購入時に設定できる短期ローンのことで、1回あたりのローン支払い額が多くても500ドル前後で4~6週間程度で支払いが済むケースが多くなっています。①無料・無利子、②ローン申請をする必要がなくその場で借りられる、③ごく簡単な信用 調査だけで信用調査機関に支払い状況の報告をしないのでクレジットスコアに影響しない、④業者側も低廉なサービス料だけなので加盟しやすい、というメリットがあります。POSローンが市場に導入されてまだ数年ですが、図表1のように2015年には490億ドルでしたが3年後の2018年に940億ドルと2倍に、2021年には1,620億ドルに成長すると予測されています。

出所:各企業ウェブサイト、メディアCネット他からの情報から筆者作成

 ファッション業界ではAfterpay(アフターペイ)、Affirm(アファーム)などの利用が拡がっており、図表2のようにそれぞれ特徴があります。8月にペイパルも「ペイ・イン4」の商品名でPOSローンに参入しました。POSローンは例えば「1000ドルの商品を、無料・無利子で給与支給日(米国では2週間ごと)に250ドルずつ4回払い」という支払い方法なので、購入率と平均購入額を上げると言われています。インターネットで生まれ育ってきたミレニアル世代やZ世代の消費行動に適しており、Eコマース売上増加に役立つと考えられています。

このコンテンツは弊社の会員誌「アパレルウェブイノベーションレポート」の40号から転載しております。

 

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