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2020.11.26
環境にアダプトする未来のカンファレンス
RINAのFASHION x IT レポート from NYC Vol.127
RINA
今年3月に発生したコロナウィルスのパンデミックにより、米国では、開催を予定していたカンファレンスやイベントは次々と中止や延期となり、デジタルでの開催へとシフトしていきました。これまで私はファッションだけでなくテクノロジー、フード、ヘルス&ウェルネス、ビューティーなど、小売業に関連する内容であればアパレル以外のイベントも参加し、私たちのライフスタイルの変化を様々な角度から学び、お伝えしてきました。
先行きに不安を感じる環境は続くものの、従来行われてきたイベントが2021年にはどの様な形で、いつ開催されるのか、現時点で公表されている範囲でお伝えしたいと思います。
NRF Retail’s Big Show 2021 / リテールズ ビッグ ショー 2021
CHAPTER 1
開催地:オンライン開催
開催日:2021年1月12-14 , 21-22日(5日間)
参加登録:https://virtualbigshow.nrf.com/register
CHAPTER 2
開催地:ジャビッツセンター(ニューヨーク)
開催日:2021年6月6 – 8日(3日間)
オフィシャルサイト:https://nrfbigshow.nrf.com/
今年のリテールズ ビッグ ショー の様子
今年1月に開催され、私も参加したリテールズビッグショーは、2021年に110回目を迎えます。同イベントは、全米小売業協会が主催する最大のリテールカンファレンスとして広く知られ、日本からの参加者も多いです。従来通りであれば毎年1月にニューヨークのマンハッタンで開催されますが、2021年は2つのチャプターに分けられ、1月にオンライン開催の「チャプター1」、そして6月に通常の会場で開催する「チャプター2」が現時点での予定として公表されています。
2021年のテーマは「FORWARD TOGETHER / フォーワードトゥギャザー」。私たちはニューノーマル時代を迎えるだけでなく、チャレンジを通じて何を学び、いかにしてリテール業界が未来に向け発展していくか。この言葉を見て私は、皆で共に未来へ向けて前進していこうというメッセージを感じています。オンライン・オフライン問わず、これまで通りのような内容の濃いイベントが期待出来そうです。
PSFK : RETIAL INNOVATION WEEK /
リテール・イノベーション・ウィーク
開催地:オンライン開催
開催日:2021年1月11 – 15日(4日間)
オフィシャルサイト:https://www.retailinnovationweek.com/
TEXworld New York City and Apparel Sourcing New York City /
テックスワールド・ニューヨーク・アンド・アパレル・ソーシング・
ニューヨーク
開催地:ジャビッツセンター(ニューヨーク)
開催日:2021年1月12 – 14日(3日間)
オフィシャルサイト:https://texworld-usa.us.messefrankfurt.com/new-york/en.html
テックスワールド・ニューヨーク・アンド・アパレル・ソーシング・ニューヨークの様子
世界中のテキスタイルサプライヤーが集う展示会テックスワールド・ニューヨークは、アパレル・ソーシングのイベントと合同で2021年早々、ジャビッツセンターの展示場とオンラインの両方で開催を予定しています。今年度参加した際は、サステナブル素材を紹介するコーナーが大きく用意されており、素材の進化を確認することができました。目で実際に見て、素材の質感を確認することがセットのようなこうした展示会をオンラインでは一体どの様な形で表現するのでしょうか。オンラインでの見所を期待しています。
CES 2021の公式ページより
年明け早々開催されるイベントに、コンシューマー・エレクトロニクス・エキスポ(通称CES)があります。世界最大級の電子機器や家電の見本市として知られています。近年は家電だけではく、人工知能(AI)、5G、自動運転技術などの先端技術の発表が多くあるため、一般人が速報を読んでもワクワクしてしまうイベントです。
2021年は全てオンライン開催を予定しているそうです。初日の11日はメディア向け限定開催、12、13日は展示企業のショーケースとカンファレンスのプログラム実施、最終日の14日は、カンファレンスのプログラムを実施する予定だそうです。オンライン開催ということもありキーノートやカンファレンスは誰もが最前列気分で参加することが出来ます。展示企業においても、テクノロジーを活かした方法で最新の商品をプレゼンテーションしてくれるのではと期待が膨らみます。また、参加者同士のエンゲージメントを目指し、パーソナライズされた体験を積極的に計画しているとのことで、こちらも楽しみです。従来だと個人的にスケジュールの都合上参加が難しかったイベントでしたが、オンライン開催の今回は初めて参加が出来そうで今から期待が膨らみます。
SHOPTALK 2021 / ショップトーク2021
開催地:マンダレイベイ(ラスベガス)
開催日:2021年3月21 – 24日(4日間)
オフィシャルサイト:https://shoptalk.com/
昨年のショップトークの様子
次世代のリテールを考える、ファッションとテクノロジーのカンファレンス「ショップトーク」は、アメリカでコロナウィルスが急速に拡大した今年3月に開催が予定されており、中止を余儀なくされたイベントの一つでした。しかし進化することをテーマに毎年開催するカンファレンスは、開催中止が決定した後すぐにデジタルへとシフト。オンラインでリテール業界やIT系企業関係者を集めたイベントを開催しました。デジタル版では業界のリーダーがゲストスピーカーとして登場、さらにはSlackを活用し参加者が意見や情報を交換する場を設けました。
また、春のオンラインイベントとは別に10月20-22日には、リテール業界初のデジタルネイティブイベント「Shoptalk Meetup」として、参加者同士がバーチャル上で会話する機会を設けるイベントを開催しています。そして2021年は、通常通り3月にカンファレンスを予定し、場所も従来通りラスベガスで行うそうです。
元々ショップトークは、キーノートやセッションに参加し、エキスポを見て回るだけでなく、朝食やランチタイム、アフターパーティーの時間などのフリータイムに参加者同士が知り合える機会を積極的に行ってきました。春に開催されたオンラインイベントや、Slack上の参加者コミュニティーには私も参加しましたが、毎回色々なテーマが用意されリアルな世界同様に参加者との交流が持てました。世界中で小売業を行う方々との繋がり、そして意見を交換できたことは非常に良い体験でした。
INDIE BEAUTY EXPO / インディービューティーエキスポ
開催地:ダラス・テキサス州
開催日:2021年5月予定
オフィシャルサイト:https://indiebeautyexpo.com/
インディービューティーエキスポの公式ページより
今や服に限らず、飲食への事業拡大や、服以外にも雑貨類や美容商品を販売するなどファッション業界も随分と変わってきましたよね。インディービューティーは2015年に始まったエキスポ。西海岸はロサンゼルス、中部ではダラス、東海岸ではニューヨークと3回に分かれ米国では開催されるほか、海外ではベルリンやロンドンでも開催されるほどこの数年で成長しています。
エキスポの開催目的は、インディーズのビューティーブランドを紹介し、認知度を高める機会を作り、ブランドを運営する起業家たちのビジネスの成長と成功をサポートするためです。来場者には、売り場で差別化となるブランドをいち早く発掘するために足を運ぶデパートのバイヤーなどもいると聞きます。出展ブランドの中には、まだ店舗での取り扱いはなくS N S上でファンを持つブランドなどもあり、一度視察に行く価値がありますよ。
Code Conference 2021 / コードカンファレンス
開催地:未定
開催日:2021年6月1 – 3日(3日間)
オフィシャルサイト:https://events.recode.net/
GROCERYSHOP / グローサリーショップ
開催地:ラスベガス
開催日:2021年9月19 – 22日(4日間)
オフィシャルサイト:https://groceryshop.com/
グローサリーショップの公式ページより
グローサリーショップは、ショップトークから2018年にスピンオフされ、進化を続けるグローサリーやCPG業界にフォーカスしたイベントとなっています。参加企業は主に、大手からスタートアップまでのCPGブランド、スーパーマーケット、自営業、ドラッグストア、ディスカウントストア、EC経営者、ウェアハウスクラブなどが参加。そこへIT系企業、不動産、投資家、メディアやアナリストなども参加することでどのようなトレンドが起こっているのか、どんなテクノロジーを使ったビジネスモデルが必要とされているのか学ぶことができます。2021年のグローサリーショップは、3月にラスベガスで開催されるショップトークと同じ会場で行われる予定だそうです。
急速に変わる私たちのライフスタイル。その中心となる食に関するビジネスは、どの業態よりも顧客のニーズに歩み寄り進化しています。正直なところ今のファッション業界は、サービスにおいて、海外のグローサリー業界から多くのヒントを得られるのではないかと感じています。ファッション業界の枠を超えて視野を狭めることなく、関心を広げていくことが今の時代は不可欠でしょう。
来年に向けてこの一年はデジタルを活かし、安全対策に十分に配慮しながら、少しずつ会場でのイベント開催が戻ってくるようにも見受けられます。但しこうした予定も私たちが今年の前半に体験したように、状況が変わればその都度再び延期となったり、デジタルにシフトしたりという調整はあるでしょう。各イベント主催者、そして企業でさえもこの数ヶ月の間、デジタル上で新たな配信やエンゲージの仕方を試みました。そうしたチャレンジのもと新たなプラットフォームを構築している主催者も居るでしょうから、2021年前半のイベントが結果的に引き続きデジタルオンリーになってしまった場合でも、個性が感じられる内容や環境が期待できるのではと思っています。
(※イベントの開催内容は随時変わる事がありますので、オフィシャルページにて最新情報をご確認ください)
R I N A 90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。
以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。
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