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2020.10.13

メガネブランドZoffの新ブランド戦略「Eye Performance」が目指す新しいメガネショッピングとは

Written by AIR編集部

「Zoff横須賀モアーズシティ店」のイメージ

 2020年9月18日、メガネブランドの「Zoff(ゾフ)」が、同社の新ブランド戦略「Eye Performance」の取り組みを実店舗で展開すべく、「Zoff横須賀モアーズシティ店」を同商業施設内で6階へ移動、増床しリニューアルオープンしました。同店舗の特徴は、単なる商品の提案のみならず、大型のデジタルサイネージを導入し、顧客がメガネを選ぶ際に参考となるような機能を動画コンテンツとして分かりやすく提案するなど、メガネ選びにおける提案力を強化しています。

 

 今回、「Eye Performance」の新ブランド戦略を発足した背景には、2021年に創業20周年を迎える同社の、サービス・商品全体を革新しようとする意図があります。「Eye Performance」の取り組みの中心となるのが、同社初となる研究・開発機関「Zoff Eye Performance Studio(以下:ZEPS)」です。「ZEPS」は、自社のサービスや商品に革新を起こすべく、新商品、新サービスを世に送り出すという重要な使命を担っています。そのため、「ZEPS」では、自社内の取り組みにとどまらず、東京大学のスタートアップ企業「ACES(エーシーズ)」と業務提携を結んでいます。「ACES」は、カメラによる画像や映像を通じて人(顧客)の行動や感情を検知し、深層学習技術に基づいた、顧客の行動のパターンの識別やマーケティングを行う専門企業です。

 

 本記事では、「Eye Performance」が発足した背景の詳細や、「ZEPS」と「ACES」との提携によってZoffのサービスを介した顧客体験がどのような革新を起こすかについて、同社のブランド推進室の井上氏に話を伺いました。

まず、今回のリブランディングプロジェクト名「Eye Performance」について、由来を教えていただけますか?

 これまでのメガネの役割は、視力矯正器具というイメージが中心でしたが、例えば、スニーカーがアスリートの身体感覚を拡張する存在となったように、また、楽器がアーティストの表現力を増幅する存在であるように、メガネも、 “マイナスをゼロにする存在”から、“マイナスをプラスに変える存在”へと付加価値を新たに定義し、その価値を高めていきたいと考えています。そこで、普段の生活や仕事において、お客様の目(eye)によるパフォーマンス(Performance)を、より機能性に優れたメガネをかけることで向上させていきたいという想いで、“Eye Performance”と名付けました。

「Eye Performance」のリブランディングにおけるマーケティング戦略についてお聞かせください。

 昨今、生活環境は劇的に変化し、それに伴いメガネへのニーズや期待、メガネが解決できることは増えていると考えています。身近な例で言うと、スマホによる目への影響もその一つで、そうした社会的な問題もメガネで解決できるのではないかと考えています。弊社では今年の春から、業界には前例のない「ブルーライトカットレンズ追加料金0円」を標準装備としてサービス提案しています。「Eye Performance」プロジェクトを起点とした商品開発や、目の健康に関する研究、そして「withコロナ時代」における社会課題を解決するための新しい事業を推進していきます。

 

「Eye Performance」の取り組みにおける、東京大学のスタートアップ企業「ACES」との業務提携のきかっけについてお聞かせください。

(左)株式会社ACES CEO 田村 浩一郎氏

(右)Zoff Eye Performance Studio 責任者 逆井 浩之氏

 今回の新ブランド戦略の中核を担う「Zoff Eye Performance Studio (ZEPS)」のビジョンとして、「メガネや店舗にIT・AI技術を導入することで人間の可能性を拡張し、顧客体験を洗練すること」を掲げています。そのビジョンに「ACES」が共感してくださり、提携のきっかけとなりました。「ACES」の強みとして、店舗内のお客様の購買行動の画像や映像を分析し、購買行動のアルゴリズムを専門的に研究する、「ヒューマンセンシング技術」と呼ばれる先端技術があります。この「ACES」の技術と、我々が蓄積してきたノウハウとを組み合わせることで、新しいメガネショッピングの体験、商品をお客様に届けたいと考えています。

顧客体験向上において、「ZEPS」と「ACES」による共同研究は、具体的にどのような役割や仕組みがあり、どのような効果をもたらすのでしょうか?

 弊社の強みは、接客力と商品力にあると自負しています。そこで、「ACES」が持つAIの技術を活用してそれらをさらに強化したいと考えています。長期的には、メガネを視力矯正器具に留めず、人間の可能性を拡張するツールとして、価値提示を目指します。例えば、長時間にわたり目を駆使するエンジニアやEスポーツプレイヤーといった職業のパフォーマンス向上を目指したフレーム・レンズの開発や、視力だけでなく目の疲れ度合いなどを数値化するサービスの開発など、これまでに無い新たな取り組みを進めていきます。

共同研究を通じた顧客向けの新しい取り組みとして、デジタル技術を駆使したデジタルの推進や改革は具体的にどういったものをお考えでしょうか。

 これは、世界初の「あらゆる場面での最高の接客の提供」と、日本初の「covid-19 を考慮した新たな形での最高品質接客の提供」という2つのゴールを目指しています。そのために、社内における新たな行動方針の推進とインフラ設備に取り組んでいます。特に、インフラ設備では、良質なデータ生成とデータサイエンスを実現するための仕組みとチーム育成をするほか、機械学習・ディープラーニング・IOT等を利用したサプライチェーンマネジメント(SCM)の基盤の構築に注力して行きます。

最後に今後の展望について、お聞かせください

「Eye Performance」の戦略の第一歩として仕掛けたブルーライトカットレンズ標準搭載化の成果は、手応えを感じています。弊社の顧客層は創業当初、20代30代が中心でしたが、今後は「Eye Performance」の目指すところとして、老若男女すべての人達にとって、価値がある企業・ブランドとなるサービス設計が必要だと考えています。「Zoffにはまだまだ伸びしろがある」と感じていますので、目指すべく形に向けて、目の前の課題に取り組みたいと思っています。

まとめ

 今回、「Eye Performance」に関わる一連の取り組みは、発足してまだ約1か月ですが、来年にZoff創立の20周年という重要な節目を迎える中、メガネを単なる視力矯正器具ではなく、メガネをかけるという行為を、仕事や生活の中で、ユーザーのパフォーマンスのアシストという発想に共感が出来、商品、サービスの品質の向上には、自社の力だけではなく、その分野の専門企業と提携することで、相乗効果を発揮し、これから開発するメガネの付加価値にも繋がるかもしれません。

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