Written by AIR編集部

ユーザーの9割がＺ世代

「Depop（ディポップ）」の公式サイトより

　ディポップとは、ロンドン発のファッションに特化したC2C型のフリマアプリです。ディポップが運営するリセールマーケットプレイス上で、売り手と買い手がマッチングすることで取引が成立し、ディポップは取引ごとに、売上金の10%を販売手数料として徴収し利益を得るといった仕組みです。ディポップは、2011年にSimon Beckerman氏がロンドンで創業。その後ロンドンのほか、ニューヨークとミラノにも拠点を置き、直近ではユーザー数が1,500万人を突破するなど、事業を順調に拡大しています。ユーザーの内訳は、英国のユーザーが約600万人、米国のユーザーが約500万人です。そして、ユーザーの9割を16歳から24歳までのＺ世代が占めると複数の海外メディアが報道し、注目を浴びています。

SNSのUI要素を取り入れたディポップ

「Explore（探索）」機能（左）
「Feed（フィード）」機能（右）

　ディポップがZ世代のユーザーに人気の理由はいくつかありますが、1つは、InstagramやPinterestなどSNSアプリにある「フィード」と呼ばれる機能を取り入れた点です。例えば、日本国内のフリマアプリでは基本的に、ユーザーが自らキーワード検索して商品を探す、もしくは、フリマアプリ側からランダムにおすすめの商品を表示させます。一方、ディポップの場合は、ホーム画面では「Explore（探索）」と「Feed（フィード）」という2つの機能があります。「Explore」は日本のフリマアプリと同様の機能で、「Feed」はユーザー自身がフォローした他のユーザー（出品者）だけが表示されます。これは日本のフリマアプリにない、ディポップの特徴的な機能です。また、ディポップではInstagramにあるようなDM（ダイレクトメッセージ）機能も実装されています。SNSと類似するこれらの機能により、ユーザー同士が気軽に直接やり取りできる点も人気の理由です。特に「SNS世代」と呼ばれているＺ世代のユーザーからすると、普段から慣れ親しんでいるInstagramの操作と同様の感覚で使うことができ、さらにそのまま売り買いができるという親近感のあるUI設計が支持を集めています。

ファッションビジネスを始めるきっかけのプラットフォーム

　CEOであるMaria Raga氏が昨年TechCrunchのインタビューで語った、Z世代ユーザーからのディポップの支持の理由は、プラットフォームを通じて多くの若者が自分のベットルームからファッションビジネスを始められることだといいます。中にはディポップを専業とし年間約10万ドル（約1千万円）を稼ぐユーザーもいるといいます。単なる副業や趣味としてではなく、本格的なビジネスとして魅力を感じるZ世代のユーザーが増えてきているとMaria Raga氏は分析します。ディポップの公式ブログによると、イギリスにおける大学生のファストフード店などでの一般的なアルバイトの月給が約246ポンド（約3万4千円）であるのに対し、ディポップのトップセラーは月収約2,000ポンド（約27万円）を稼ぐといいます。また、彼らの共通点として、当初は趣味やアルバイト感覚で始めたものの、段々とフォロワー数や売上が増え、ディポップのコミュニティの中で注目されたことで可能性を実感し、ディポップを本職として活躍の場を移していったことがあります。

ディポップで自分の「影響力」を拡散するZ世代

ディポップでは出品者をフォローすることが可能

　イギリスのマーケティング企業「Digital Fairy」とディポップのZ世代のSNS利用傾向に関する共同レポートによると、Ｚ世代のユーザーはディポップを利用するにあたって、収入を増やすだけではなく、自身の価値観を発信することで、SNSのコミュニティ上で影響力を強めていくことを重要視しているといいます。具体的に影響力を示すものは、自身のフォロワー数、自身の商品についた「いいね!」や他ユーザーからのコメントの数などがあります。ディポップのユーザーの多くは同様にInstagramのアカウントも保有し、2つのSNSを同時に運用することで相乗効果を図り、フォロワー数を伸ばしている傾向が見られます。

　こうしてディポップは海外のZ世代の間で人気な理由は、単なる使いやすいフリマアプリだけではなく、ディポップのコミュニティ内で自分の影響力を育ちながら、ディポップをプラットフォームとして自分のビジネスをスタートできることがディポップの最大の魅力になっているようです。

参照サイト：

https://blog.depop.com/articles/cash-clout-and-creativity-introducing-the-gen-z-cu

https://blog.depop.com/articles/seller-stories-how-i-went-full-time-as-a-depop-sel

https://vue.ai/blog/trends-and-analysis/depop-generation-z-version-of-social-shopping-thrifting/