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2020.08.13

【本音で語るツール活用術】WEBマーケティングツール最前線 Vol.10――画像検索、レコメンドサービス「popIn Action」

アパレルウェブ「AIR VOL. 33」(2020年3月発刊)より

written by 鎌戸隆輔(アパレルウェブ)

今回本音で聞いた人はこの人:

popIn株式会社

Eコマース ソリューション事業部 部長

吉岡 真宏氏

  日頃デジタルマーケティングを実践する中で、気になったツールやサービスを提供している会社に突撃取材します!サービスの紹介で終わるのではなく、デジタルマーケティングのヒントになる様な、ここでしか聞けないインタビューをアパレルウェブ1のツールマニア、鎌戸がお届けします。

ポイント:

購買行動の起点にはSNSが!
高まる画像検索のニーズに対応したサイト作りを

取材するサービス:

画像検索、レコメンドサービス「popIn Action」

どういうサービス?

画像認識AIが類似するアイテムのレコメンドやサイト内での画像検索を高精度で実現するサービス

最初に御社のサービス「popIn Action」がどのようなサービスなのか。また、類似する他社のサービスとどこが違うのか教えていただけますでしょうか。

 popIn Actionは画像認識技術を活用することで、サイト内において「ある商品と類似するアイテムをレコメンド」「手持ちの画像をアップロードすることで画像検索」を可能とするサービスです。例えば、ファッションECであれば、柄とか色、素材、シルエットなど画像から取得できる情報が多数あるので、それらの要素を画像認識技術で抽出することで、元の写真と類似する商品をレコメンドする。また、ユーザーがSNSでいいなと思った投稿のスクリーンショットをもとに、その画像と類似する商品をECで検索することが可能になります。こうした画像検索サービスを提供している企業は国内に数社あるのですが、画像認識、画像検索に特化したサービスを提供している企業は弊社だけだと思います。

 

 私たちの親会社は中国の検索エンジン最大手である百度(バイドゥ)です。バイドゥは月間で何兆クエリという規模で検索されており、画像検索に関するデータも膨大な量になります。そうした画像データを分析するロジックをバイドゥは持っており、その技術はpopIn Actionにも活かされています。ですので、画像認識の精度という部分で自信があります。また、私たちはサイトにどうやってユーザーを集客するかという点でもクライアント様を支援できます。popIn Discoveryという記事広告を出稿できるアドネットワークを保有しているからです。例えば「毎月一定金額以上の広告出稿費用を頂けるのであれば、popIn Actionは無償で提供する。」といった両方のサービスの利用を前提としたセットプランの提供も可能です。

バイドゥの技術が背景にある精度の高さと集客にも貢献できる点が他社と違う点なのですね。実際に導入を決めた企業は何が決め手となり、popIn Actionを導入するに至ったのでしょうか。

 あるアパレルEC事業者様の場合は、商品数が膨大にあるので、その中でユーザーが画像を起点に商品を探しやすくするために導入をしてもらいましたね。つまり、サイトのユーザビリティに対して、解決策の一つとして導入してもらっています。また、先ほども少しお話ししましたが、ファッション領域において、情報収集や購買行動にはSNS、特にInstagramが中心になっていることも十分に理解されており、写真をスクリーンショットして、気になる商品を探すという行動がユーザーの中で浸透しつつあるのを見据えて、導入してもらっています。また、画像検索に関しては、個人保護の視点から質問もよく受けるのですが、ユーザーは弊社の利用規約やプライバシーポリシーに準拠して画像をアップロードしています。社内の法務担当とも協議をして現在の仕様としておりますので問題ない認識でおります。

ユーザーの情報収集、購買行動の中心にSNSがあると認識している企業を中心に導入されているのですね。

 そうですね。お取引をさせて頂く中で、ファッション企業の担当者様が口をそろえて言っている言葉として「ユーザーがどんどん楽をしたがるようになっている」という言葉が印象的です。極端な例となりますが、「シャツ モノトーン 秋冬」といった自分の抽象的な要望を検索するために検索ワードを考えるのも面倒だということです。こういった考えから「今後、より画像検索が普及すると考えて導入を決めた。」というお話しはよく聞きます。

ブランド担当者の方々も画像検索の必要性を認識しているのですね。ただ、一方でまだまだ画像検索機能をサイトに実装していないECも多いです。それはなぜなのでしょうか。

 これはシンプルに導入までのハードルが高いことが要因だと思います。画像検索でユーザーの望むアイテムを表示しようとすると、タグを共通ヘッダーに設置して終わり、という訳ではなく、ページによりタグを動的に書き換える必要がある、商品情報とサービスをAPI連携させる必要があるといったハードルがあります。実装のハードルが高いということは、ECカートシステムのベンダーさんに実装をお願いするケースもでてくると思います。そうすると追加費用がかかりますよね。こうした技術面、コスト面で中々実装にたどり着けていない現実があると思っています。私たちのpopIn Actionの場合は静的なタグの設置で初期設定が完了します。あとは、ダイナミック広告で活用しているデータフィードを連携させるだけです。

実装ハードルが低いという点も魅力的ですね。実際にpopIn Actionを導入したECはどのような効果を実感しているのでしょうか。

 いくつかあるのですが、購入率は導入して頂いた全てのサイトで改善しています。サイト全体VSpopIn Action経由の購入率を比較すると、経由したユーザーの方が2.5~3倍ほど高い傾向にあります。導入して頂いたほとんどのサイトで購入率は上昇しています。また、これは単価帯が高いレディース向けのECですが購入単価は1.4倍ほど差が発生しました。ユーザーは“自分で探す”という能動的な行動のなかでpopIn Actionを利用していると思います。こうしたユーザーの姿勢というのも数値には反映されますが、“ユーザーが潜在的に欲しいと思っている商品を具体化して購買までアシストする”という形でサイトの売上に貢献できているとも考えてます。ちなみに現在のpopIn Actionの利用率の平均はサイトに訪れたUU数に対して2.5~4%の割合で使われています。

多くのファッションEC担当者と接している吉岡様から見て今後のEC担当者に求められるスキルや意識を最後に教えて頂けますでしょうか。

 EC担当者に求められることは様々あると思いますが、自分一人で施策を進めていくことには限界があります。自身で考えた施策を実現していくためには、チームのメンバーや、社内の別部署の協力を仰ぐなど、協力者を上手く巻き込んでいく力が必要だと思います。もちろん、外部のパートナーリソースを活用することも必要です。弊社も、いちツールベンダーではなくパートナー企業という立ち位置で、今後も支援していければと考えています。また、私もソリューションを提供するパートナーとして、ツールの提案を日々しておりますが、ツール選定の基準は明確にしておいた方が良いと思います。ツールを導入する理由は、サイト訪問者、つまりお客様に対して快適な購入体験を提供するためです。

 

 その延長線上に売上やCVRの改善という結果がついてきます。売上というKPIを持っているEC担当者からすると忘れてしまいがちですが、「ユーザーファースト」という視点は常に持つべきだと思います。該当のツールを経由して多くのCVが発生しているからそれで良し、ということではないのだろうと私たちは考えています。その目線でpopIn Actionを話すと、popIn Actionはcookie情報ではなく、あくまで画像情報に紐づいたサービスです。頭の中で潜在化している欲しい商品を、画像を分析することで提案しています。そのため、購入率の高いユーザーに絞ってサービスを提供しているわけではありません。最後になりましたが、このすべてのユーザーの頭の中にある、潜在的な商品イメージを上手く購入に結びつけている点も他のレコメンドサービスと異なる点かもしれません。

 

popIn株式会社
公式サイト:https://action.popin.cc/
住所 : 東京都港区六本木 6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 39 階

 

このコンテンツは弊社の会員誌「アパレルウェブイノベーションレポート」の33号から転載しております。

 

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