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2020.07.08

【本音で語るツール活用術】WEBマーケティングツール最前線 Vol.9――SNS広告の運用を効果的・効率的にするツール「Smartly.io」

アパレルウェブ「AIR VOL. 36」(2020年6月発刊)より

written by 鎌戸隆輔(アパレルウェブ)

今回本音で聞いた人はこの人:

Smartly.io Solution

日本事業責任者

坂本 達夫氏

  日頃デジタルマーケティングを実践する中で、気になったツールやサービスを提供している会社に突撃取材します!サービスの紹介で終わるのではなく、デジタルマーケティングのヒントになる様な、ここでしか聞けないインタビューをアパレルウェブ1のツールマニア、鎌戸がお届けします。

ポイント:

SNS広告のパフォーマンス向上はクリエイティブの高速PDCAから始まる!

取材するサービス:

SNS広告の運用を効果的・効率的にするツール「Smartly.io」

クリエイティブの制作からレポートの自動化まで、SNS広告の運用・数値改善を強力にサポート

Smartly.io(以下スマートリー)がどういったサービスで強みがどこにあるのかを教えてください。

 Facebook、Instagram、PinterestなどSNS広告の運用を効果的・効率的にするツール、およびプロフェッショナルサービスです。広告主や広告代理店のそれぞれ異なる広告運用上の課題を、スマートリーを使うことで解決しています。強みとしては複数あります。まず広告キャンペーンのセットアップや運用の自動化ができる点。広告効果を最大化するには、常に新しい仮説を立てて、多くのクリエイティブを試す必要があるので、キャンペーンを目的に合わせて設定して、運用をしていく必要があります。

 

 ここのセットアップや手運用にかかる時間を大幅に圧縮することができます。また、多くのクリエイティブを作成するということは、それだけ制作コストもかかります。スマートリーでは人の手で作るのと同じ品質のクリエイティブを少ない工数で制作・量産可能になるツールを提供しているので、クリエイティブ制作の効率化も導入企業様からは支持されています。その効果を可視化するため、Googleアナリティクスといった外部のプラットフォームとデータを連携させ、レポーティングの自動化が可能な点も特徴です。加えて、広告効果を最大限にするためのコンサルティングサポートも同時に展開しており、Facebookの公式マーケティングパートナーの中ではトップシェアという事実が、品質の証明かと思っています。

クリエイティブ、運用・管理、レポーティングに強みを持つ

改善実績を教えてください。

 例えば、トルコのファッション小売企業である「Modanisa」は、クリエイティブに商品画像をそのまま使うのではなく、価格やオリジナルのフレームを使ったテンプレートを使用することで、購入率が20%、アプリのCPI(※1)は30%改善しました。米国の下着メーカーである「ThirdLove」は、正しいPDCAアプローチをとることで、制作にかかるリソースを20%削減しながら、広告ROAS(費用対効果)を23%も改善させました。ファッションブランドではありませんが、美容ブランド「Sephora」は、ブラックフライデーに向けた動画広告のクリエイティブを短期間で40個も制作しました。店舗を持っているファッションブランドであれば、マクドナルドがしている“ユーザーがいる地域の天気によってクリエイティブを自動で変える”というアプローチが参考になるかと思います。また、具体的な名前は挙げられないのですが、グローバルでTOP3に入るファッションSPAの1つは長く弊社のパートナーです。戦略策定のお手伝いから、全世界・多言語でのクリエイティブ作成のサポート、テストのプランニングと実行、セール時期の特別プロジェクトなど、ソーシャル広告に関わる全ての業務でワンチームとして支援させていただいています。

 

※1CPI(コスト・パー・インストール)…広告経由でアプリの1回のインストールにかかった単価。

広告パフォーマンスを改善している企業とそうでない企業ではテストするクリエイティブの数に26倍の差が

スマートリーの強みの一つにスピード感のあるクリエイティブのA/Bテストが可能とのことですが、多くのA/Bテストする中で見つけた、SNS広告における鉄板のクリエイティブを教えていただけますか。

 そうですね。過去の経験から「商品を中心に、視認性を高くする」「プラットフォームのガイドラインを厳守する」「ブランドのロゴやテーマカラーを取り入れる」「セールの有無、割引価格/率、など推しポイントをしっかり訴求する」といったところですね。特に最後の「セールの有無、割引価格/率、など推しポイントをしっかり訴求」は、元値と併せて表示する、実際の価格を出すor割引率だけ出す、など複数パターンを試すことで効果は改善されていきます。ただし、これらは常にあてはまるわけではもちろんありません。どちらかと言うと、何をテストするのかを明確にし、その項目を検証できるようにその他の条件を揃え、プラットフォームの推奨する通りにキャンペーンを設定、統計的に十分なデータ量を溜めて、検証。その検証結果を踏まえて、次のテストの計画を立て実行する。サイクルを継続して回すことの方がよほど重要です。言葉にすると当たり前の話ですが、これができていない企業様は以外と多いと感じています。

スマートリーではクリエイティブを大量に瞬時に作成可能

改善する、効果を最大限にするための正しいアプローチができていないケースが多いということでしょうか。

 そうですね。もちろん上手に回しているケースもありますが、正直まだまだ少ない印象です。というのも、恐らく世の中的なマーケターの方の認識として、まだ半分くらいの人が『オンライン広告の最適化と言えば、セグメントやターゲティングの最適化だ』と思ってるんですよね。例えば、キャンペーンの中で広告セットをすごく細かくわけて、パフォーマンスを見て、悪い広告セットを下げて、良いものを上げる。そうした運用の部分でパフォーマンス改善を目指している人。今は広告プラットフォームの機械学習がすごく進化しているため、細かいことを自分で設定しなくても、『キャンペーンの目的は上限コスト○○円でCVを最大化することだよ』という風に設定すると、機械学習で『こういうユーザーにこれくらいの頻度で広告を出すといいよね』という行動を、人間がやるよりも遥かに高い精度で行ってくれます。なのでターゲティングやセグメントで差別化するっていうのはすごい難しくなってきているんですね。

 

 この環境の中でパフォーマンスを上げていくにはどうすればいいのかというと、注力する点はクリエイティブになってきます。ある調査によると、Facebook広告でパフォーマンスを上げている広告主と上げていない広告主だと、テストしているクリエイティブの数が26倍も差があるらしいです。効果がでているところは、クリエイティブをどんどん作ってPDCAを常にまわしている。先ほどお話しした弊社顧客の実績も、一発目で出た数値ではなくて、数ヶ月にわたってコツコツとクリエイティブのテストをして、累積すると最初の頃よりも大きく改善されていた、という形です。

ターゲティングよりクリエイティブで差がつく今のSNS広告

「ターゲティングやセグメントは機械学習が発達して、人がやるよりかは精度が高いですよ。そうなるとクリエイティブがやっぱりキーになってきます。」ということですね。

 おっしゃる通りです。でも、そこはFacebookも自分たちの大きいメッセージとして少し前から言っていて、広告主には「シンプルにセットアップをしてもらい、細かいところは全部プラットフォーム側に任せて」と言っていますね。

細かい積み重ねをすることで改善できた具体的な事例があれば教えて頂けますか。

 失敗例を話すのがわかりやすいかなと。人材系の事業をやっているある会社さんは、スマートリーを使うことで本当にパフォーマンスが改善されたのかということを見るため、Facebook広告でクリエイティブのA/Bテストを行いました。しかしそのお客様は、それまで1年半ほど運用していたFacebook広告のキャンペーンと、スマートリーのクリエイティブを使った“新しく作成したキャンペーン”で比較しました。その後、1週間で結果を検証しました。この中には間違いがいくつか含まれています。先ほどもお話ししましたが、Facebookは機械学習なので、データが溜まれば溜まるほどパフォーマンスがよくなります。なので、1年半やったキャンペーンは、『こういうユーザーが一番ゴールにつながりやすい』とプラットフォームがもう学んでいる状態でした。かたや、新しいキャンペーンは蓄積が無い状態です。新しいキャンペーンと既に学習し終えているキャンペーンを比較する時点で当然、元々やっていたキャンペーンの方がパフォーマンスは良くなるのは明らかなので、そもそも比較は意味がありません。

 

 また、1週間でどれだけ最適化が進むのかというと、データが足りず完全には進みきらないので、結果を出すまでの期間としても短い。加えて、ターゲティングやセグメントも両キャンペーンで違ったものを比較していました。結果、片方のパフォーマンスがいいねとなった時、それはクリエイティブが良かったのか、ターゲティングが良かったのか、プレースメントが良かったのか、何もわからないね、という結論になってしまったのです。A/Bテストをする場合、条件を一つだけ変更し、あとは同条件でテストすることは鉄則です。AとBであれもこれも条件が違うと、結局どれが良かったのか不明になるので。こうした話を導入企業様にはさせて頂きました。このままではツールが悪い!ということになったしまうので(笑)

広告のA/Bテスト、正しくできていますか?

そもそもの前提条件が異なるのに、プラットフォームのせいにされかけたのですね。

 はい。それはちょっとやり方違いますよという説明をして、じゃあどうやればいいのですかという話しになったので、『一時的にパフォーマンスは落ちますが、古いキャンペーンをいったん停止して、同じ設定で新しくスマートリーでキャンペーン作ること』『クリエイティブを比較したいならば、プレースメントやターゲティングなどの条件を同一にして、クリエイティブの部分だけが違うという設定にしてやること』を提案し、ユーザーを半分に分割してテストしました。結果、効果が以前より高くなり、納得してもらいました。

スマートリーの効果が実証されたわけですね。

 もちろんそれも良かったのですが、過去との比較はクリエイティブの良し悪しにも左右されるので、正直“運次第”のところもありました。私が今ここで伝えたいことは、結果が仮に『スマートリーじゃない方のクリエイティブが良かったとしてもそれはOK』ということです。どっちが良いのかというのを正しい方法で判別して、その次もう一回テストをやって、という風に徐々にいい方を取っていければ絶対パフォーマンスは上がります。そのメソッドと、それを可能にするツールを提供しているというのが本当の価値だと自負しています。このお客様は、『スマートリーを使ったら広告効果が改善されてハッピー』と言っているんですけれど、あなたたちが喜ぶポイントは本当はそこではない、とすごく言いたい。(笑)

サービスを使ってもらっている手前、言えないけどということですね。

 はい。やっぱりパフォーマンスを上げ続ける広告主様は、いつの時点でも何かしらのテストをやり続けています、それが、新しい広告のフォーマットなのか、プレースメントなのか、キャンペーンの目的なのか、いろいろなやり方を試してよりいい方を選択するずっとやっているので、何もやっていないところと比べると中長期で大きな差が出るよね、というお話です。また、じゃあ気合いを入れてやるとしても、手作業で全てセットアップをすると、ものすごく工数かかってしまうので、ツールを使って効率的にやっていきましょうということです。

正確なA/Bテストを支えるレポート画面

スマートリーを入れたから、数字が改善されるというのは価値として一つあると思います。ですが、前提として、正しく数字を出すための土台作りを強力にサポートしますよという点が御社から提供できる一番の価値ということですね。

 

 おっしゃる通りです。スマートリーを入れて、クリエイティブが良くなった、CPAが改善されたというのは間違ってはいないですけれど、本質はちょっと違っていて。いいクリエイティブというのは、もしかするとデザイナーがすごくがんばって作っていれば見つかったかもしれないじゃないですか。ただそれを見つけるアプローチはすごく時間がかかります。言ってみれば、金を掘りに行くのに、あてずっぽうに掘っていたら当たったみたいなことです。そうではなく、きちんと地質調査して、どこに金がありそうかという仮説を立ててから掘りましょうね、仮にはずれたとしても、何ではずれたのかをデータ取りながら、次に活かせば絶対当たるよねという風にしないといけません。そのメソッドとツールを提供しているというのがスマートリーの一番大きな価値となります。

 

Smartly.ioの公式ページ:https://www.smartly.io/ja/

 

 

 

 

このコンテンツは弊社の会員誌「アパレルウェブイノベーションレポート」の36号から転載しております。

 

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