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2020.06.12

【本音で語るツール活用術】WEBマーケティングツール最前線 Vol.8――適正サイズレコメンドシステム「unisize」

アパレルウェブ「AIR VOL. 31」(2020年1月発刊)より

written by 鎌戸隆輔(アパレルウェブ)

今回本音で聞いた人はこの人:

株式会社メイキップ
代表取締役 CEO

柄本 真吾氏

  日頃デジタルマーケティングを実践する中で、気になったツールやサービスを提供している会社に突撃取材します!サービスの紹介で終わるのではなく、デジタルマーケティングのヒントになる様な、ここでしか聞けないインタビューをアパレルウェブ1のツールマニア、鎌戸がお届けします。

ポイント:

スマートフォンでの利用を徹底的に想定することで他社との差別化に繋げたサイズレコメンドツール

取材するサービス:

適正サイズレコメンドシステム「unisize」

ECでユーザーが自分に最適なサイズがわかるunisizeですが、他社のサイズレコメンドツールと比較して、どのような特徴があるのでしょうか。

 

 一番の違いはユーザーが簡単なアンケートに答えるだけで、最適なサイズがわかる点です。他社のサイズレコメンドサービスは手持ちの洋服をメジャで測って寸法を入力することで洋服を比較するケースが多く、スマートフォンを利用することの多い外出先の環境では、利用しづらいのではないかと考えました。unisizeの場合、ユーザーが身長、体重、年齢、よく着用するブランドサイズといったアンケートに答えて頂くだけで最適なサイズを推奨することができます。このアンケートは大体1分もあれば終わりますね。この手軽さというのがunisizeの売りでもあります。スマートフォンの利用率がPCの利用率を上回っている今、スマートフォンを中心とした利用シーンを想定しないと、ユーザーに使ってもらえないと考えています。

 

 例えば、電車での移動中や寝る前にサイトを閲覧していて、サイズ感は気になるけど、欲しい商品があったとします。そのタイミングで手持ちの洋服を採寸して、確認しようとはあまりならないと思います。また、最近は計測方法の一つとして、AI写真採寸機能もリリースしました。この機能はユーザーがお手持ちのスマートフォンで全身写真(前面と側面)を撮影してunisizeに登録すると、AIがユーザーの体形を把握します。そこにECで検討中の洋服をのせて、着用感を確認することができるという機能です。unisizeでは、このAI写真採寸も含めて、4つの採寸方法があります。 “アンケートから採寸” “AI写真で採寸” “洋服寸法入力して採寸” “過去の購入商品を用いて採寸”です。実装が可能な対応カートはfutureshopさんやecbeingさん、Makeshopさんなど幅広いカートに対応している点も特徴です。

場所問わず1分で最適なサイズがわかるという特徴はユーザー目線でも「試してみようかな」と思わせるぐらいわかりやすい特徴ですね。1分で自分のサイズがわかるアンケート機能はどのような仕組みなのでしょうか。

 

 裏側はかなり泥臭いことしていますね。一口にSサイズ、Mサイズといっても各社で採寸方法やサイズ定義が異なっています。僕らはみなさんが購入する有名ブランドのサイズ感やフィット感を実際に試着したり、手元に取り寄せて直接採寸するなどでブランドごとのサイズ感をデータベース化しています。現在2,000ブランドほどの情報を持っています。また、unisizeを導入して頂いているブランド様の場合、実際にunisizeをサイト上で実装する前にレコメンドの精度が合ってるかテストすることもあります。

裏側はかなり地道な作業ですね。だからこそ精度の高いレコメンドが可能になるのですね。4つの採寸方法、一番多いのはアンケート機能なのでしょうか?

 

 “アンケート”と同じくらい利用されているのが、“過去の購入商品と比較する方法”ですね。これは元々ブランド様が持っている購入履歴情報をunisizeに紐づけるので、ユーザーはサイトにログインをすることで、過去に購入したAという商品がunisizeを利用して購入していなくても、比較の対象として検討することができます。そしてオンライン上にとどまらず、オフラインの情報でも比較できます。つまり店舗で購入した商品と比較することもできるということです。また、unisizeのネットワークすべてに購入履歴が紐づくので、例えばAというサイトで購入したシャツの情報とBというサイトのシャツと比することも可能です。

オムニチャネルやOMO(Online Merges with Offline)といった概念や購入行動が当たり前になっている今、unisizeもそこを意識しているのですね。

 

 そうですね。ユーザーの購入行動はオフラインとオンラインを意識せず、その両方を自然に行き来していますよね。そうした購入行動を考えたときに、店舗の購入履歴からも比較できるとできないでは利便性がかなり違ってくると思います。店舗とECの会員情報が一元化されたデータをunisizeに頂ければ、店舗での購入履歴からも採寸することが可能です。

unisizeを導入すると購入率が2.5倍や購入単価が1.3倍(ともにunisize公式サイトより)に上昇するなど、サイトの改善に大きく貢献すると思いますが、一方でユーザーに利用してもらうところにハードルがあると思います。ユーザーに上手に認知してもらっているブランドの特徴や工夫があれば教えて頂けますでしょうか。

 

 導入効果に関しては、実はサイトにまだ掲載していない効果もあります。それがリピート購入率です。unisizeを使ったユーザーはそうでないユーザーと比較して1.5~2倍ほど高い傾向があります。サイズ感がわかり安心して購入できるという点がユーザーにも支持されているからだと思っています。利用率を引き上げるブランド様の取り組みとしては、特集ページを作ってもらっているケースは多いですね。キャンペーンと絡ませて「unisizeを使ってもらと、万が一サイズが合わない場合は返品・交換無料にします!」という形で、unisizeの使い方をレクチャーするページです。あとは、接客ツールを組み合わせて、POPUPにて利用を促すパターンもあります。例えば商品詳細ページに3分以上滞在しているユーザーに対して「サイズにお困りでしたら、unisizeがあります。ぜひ使ってみてください」といったPOPUPです。また、これは案外できていないECもあるのですが、商品詳細ページの上部にunisizeのバナーを置いて頂いているかいないかで利用率は違ってきますね。サイズの選択とカートボタンのすぐ下に設置している場合と商品説明などを挟んで設置している場合です。後者の場合はスマートフォンの場合どうしてもスクロールが必要になるので、利用率は低下します。バナーの色でもユーザーの反応は異なりますね。例えばunisizeの黒色と緑色のバナーでは、バナーのクリック率は3倍も違ってきます。

キャンペーンの実施だけでなく、色やバナーの設置場所でもユーザーの利用率が変わってくるのですね。実際のunisizeの利用率はどの程度なのでしょうか。

 

 利用率の平均は15%ぐらいですね。この15%は分母がブランド様の全購入商品点数、分子がunisize経由で購入された商品点数となります。競合のサービスは利用率が一ケタ台前半とお伺いしています。手前みそで恐縮ですが、他社のサービスよりは使ってもらえているのかなと思います。アンケートや購入履歴から比較できる独自の機能がこの結果に繋がっているのではないでしょうか。利用してもらうと確実に効果を発揮するサービスと自負しているので、あとは利用率をさらに上げていければと思っています。

最後にunisizeの今後を教えて頂けますでしょうか。

 

 先ほどの利用率に関連するのですが、UI・UXはもっともっとよくしていきたいですね。難しいところではあるのですが、4つの機能からフィッティング方法を選べるということは、言い換えると選択肢が多く、ユーザーからは複雑というイメージを持たれることにもなります。今年1年はこのUI・UXに関するところを改良していきたいと思います。また、弊社では商品を撮影するだけで、モデル撮影、採寸、原稿を自動に行う“ささげAI”というサービスもあります。ささげAIで撮影した商品を自動でunisizeに連携させるなども検討しています。これからもブランドさんの売上や効率化の支援をできればと思っています。

株式会社メイキップ
住所 : 〒162-0805 東京都新宿区矢来町 89 2F
unisizeの公式ページ:https://cl.unisize.makip.co.jp/

このコンテンツは弊社の会員誌「アパレルウェブイノベーションレポート」の31号から転載しております。

 

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