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2020.05.27

【本音で語るツール活用術】WEBマーケティングツール最前線 Vol.7――空色のチャットサービス「OK SKY」「WhatYa」

アパレルウェブ「AIR VOL. 35」(2020年5月発刊)より

written by 鎌戸隆輔(アパレルウェブ)

今回本音で聞いた人はこの人:

株式会社空色
代表取締役

中嶋 洋巳氏

 

  日頃デジタルマーケティングを実践する中で、気になったツールやサービスを提供している会社に突撃取材します!サービスの紹介で終わるのではなく、デジタルマーケティングのヒントになる様な、ここでしか聞けないインタビューをアパレルウェブ1のツールマニア、鎌戸がお届けします。

ポイント:

店舗スタッフ活躍の場をオンラインにも空色のチャットサービス

取材するサービス:

空色のチャットサービス「OK SKY」「WhatYa」

どういうサービス?

オンライン(EC)×オフライン(店舗)の売上最大化を、

デジタル(チャット)×アナログ(有人)で実現します。

※インタビューはWEBインタビューの形で2020年4月に実施

 

まず、最初に御社が提供するサービスについて教えて頂けますでしょうか。

 

 弊社はAIチャットボット「WhatYa」(ワチャ)や有人のWEB接客ソリューション「OK SKY」(オーケイスカイ)などチャットコマースを支援させて頂いている企業です。元々は7年ほど前に「PRIMODE」というアプリケーションを提供していました。これはユーザーが、プロのスタイリストとチャットで相談しながらお買い物が楽しめるアプリケーションです。今でこそハードルは徐々に下がっていますが、チャットを使って買い物をするのが当たり前ではなかった時代から、チャットを利用して商品を販売するということに取り組んでいました。そんな中、クライアント企業から「PRIMODE」で培った“売る”ための有人のチャット対応のノウハウやAIチャットボットの技術を自社でも取り入れたいというご要望をいただきました。

 

 こうしたお声を受けて商品化したのが、弊社でチャットセンターを持ち、お客様からの質問や問い合わせをサポートする「OK SKY」と24時間365日お客様からの対応を可能とするAIチャットボット「WhatYa」です。主にこの2つのサービスを軸にチャットコマースを支援しています。導入先にはアパレル業界をはじめ化粧品、家具、百貨店業界が多く、自社で有人対応のリソースがなければ「OK SKY」でチャットセンターの運営受託までご支援可能です。また、自社内製化にむけたチャットセンターの立ち上げ支援からノウハウの提供などのサポートも行っております。

オフラインでのコミュニケーションが制限されている今、チャットを利用してお客様とコミュニケーションをとりたいというアパレル企業からの問い合わせも増えているのではないでしょうか。

 

 そうですね。お問い合わせは確実に増えています。店舗が休止している今、「店舗スタッフを在宅で活躍させることはできないか?」というお問い合わせを本当によく頂きます。なので現在は、店舗スタッフが在宅でもチャットを通して、お客様とコミュニケーションができる「在宅WEB接客」を実現するためのコンサルティングやトレーニングをさせて頂いています。これはECサイト売上強化にも繋がる施策です。店舗での接客とチャットでの接客、この二つは似て非なるものなので各社、本当にチャット対応を急がれています。現在は、お話しを頂いてから早くて2週間程度でサービス開始できるようご支援している状況です。プラットフォームを提供することだけでなく、売上に貢献するためのチャットサービスをツール面、人材リソース面、コンサルティングの3方向から支援している点も他社と異なる点だと思います。

店舗での接客と異なる、チャットコマース独自の接客や対応というのは具体的にはどのような点になりますか。

 

 一番大きく違うのは、チャットコマースでは接客中のお客様の顔が見えない点です。考えれば当たり前なのですが、ここが以外と盲点になります。商品を提案するときも店頭であれば、表情や目線を見ながらお客様の反応を推測することが可能ですが、チャットはこうした情報を抜きにして、どう購買してもらうかを考える必要があります。そうすると会話の組み立て方も全く異なってくるのです。合意の取り方一つでも、対面ではお客様の反応はすぐ見えますが、チャットコマースは見えないので、商品やサービスを提案すべきでないタイミングで提案をしてしまい、サイトから去ってしまうパターンもあります。つまり、お客様との会話の中で、よりシビアに空気を読むことが求められるのです。チャットコマースで効果をきちんと出すには、機能を導入すればいいという話ではなく、こうしたチャットコマース特有の接客を抑える必要があります。

有人でのチャット対応をする際の人員配置に関してはいかがでしょうか。どの程度の売上規模にどのくらい人数を配置しているケースが多いのでしょうか。

 

 チャットはコールセンターなどと比較しても応対効率が高いチャネルです。商材やチャットサービスをお客様にどこまで浸透させているかで、異なりますが、スタッフ1人あたり、1時間で6件、勤務時間を8時間とすると、1日約50件、20日間勤務とすると1ヵ月で1,000件程度接客します。チャットに注力するという意味で、開始からいきなり10名のチームを作るということも過去にあったのですが、ルールや決まりができていない中で大所帯にする必要はなく、スモールスタートから始められるのもメリットのひとつです。

チャットコマース特有の接客をノウハウ化している御社の実績はどうでしょうか。

 

 サイト全体のCVRが1%だとした場合、チャットを利用したお客様は25%向上するなど、購入率に貢献しています。また、各社チャットセンター経由の売上は毎年倍増しています。これはお客様にとって、チャットで質問するという行動自体が身近になってきていることも関係しているからです。チャットで接客を受けたお客様が来店し購入されるケースも多々あります。お客様のチャットに対するハードルは年々下がってきている様に感じます。もちろん、企業側でプロモーションをして利用促進してもらうことも大事になりますね。

御社から見て、軌道に乗らない企業の特徴というのは?

 

 難しい質問ですが、2つあると考えています。「デジタルを活用したOMOの取り組みに関する理解」そしてもう一つは「チャットコマースの売上をどう評価するのかが曖昧である」という2点です。「OMOの取り組みに関する理解」は弊社のツールに限った話ではなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していく上でも現在、またはこれからの顧客目線に立ち考えることが重要です。もう一つの「チャットコマースの売上をどう評価するのか曖昧である」というのは、例えば、店舗スタッフがチャット対応をして、売上に貢献した場合どうするのか?ということです。ECやアプリでチャットをして売上に繋がる場合、そのうちの30%ほどはその後店舗に流れての購買になるのですが、70%はそのままオンラインでの購買となります。そうした時ECで売上貢献をした評価をスタッフの個人評価やインセンティブとして反映させないとチャットでの対応も質が上がらず、軌道に乗らないと感じています。

店舗売上以外での店舗スタッフの評価をどうするべきかというのは、チャット経由だけに限らず、よく話題になる話だと思います。最後にこの評価問題に対して相談された時、御社はどう回答しているか教えていただけますでしょうか。

 

 各社、確かに悩まれている印象です。個人的には「OMO」(オフラインとオンラインの融合)の考え方を評価基準にも活かすべきだと考えています。売上の評価としては、店舗スタッフの方が貢献した金額は、そのスタッフが所属する店舗にもつけて、ECにもつけるやり方です。

 

 今後、ブランド間での競争において、商品だけでなく、スタッフの個性や人柄というものが間違いなく大事になってきます。そういう意味でもモチベーションを上げる、公平な評価は重要になってくるだろうと感じています。弊社としても、チャットを介してスタッフの活躍の場をオンラインにまで広げることで、企業様の売上を引き続き支援していければと思います。

 

 

株式会社空色の公式ページ:https://www.solairo.co.jp/

住所 : 東京都品川区西五反田 8-11-21 五反田 TR ビル 2F

 

アパレルウェブ「AIR VOL. 35」(2020年5月発刊)より

 

 


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