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2020.03.27

社会の安定化に努める海外先進企業の新型コロナウイルス対応策【ファッションブランド編】

 3月25日の時点、米国、欧州では、外出禁止令、店舗閉鎖が実施されています。多くのファッションブランドでは、自社の従業員や顧客の安全を優先し、店舗の営業を停止、ECサイト運営の安定化に資源を集中しています。加えて、自社の公式Instagramや公式サイトで、新型コロナウイルス対応策の方針や運営状況を報告しています。いくつかの米国のD2CブランドとイギリスのファッションECサイトを中心に、独自の方法でデジタルツールを活用した事例をご紹介します。

「allbirds(オールバーズ)」ECサイトの寄付キャンペーン

「allbirds(オールバーズ)」の寄付キャンペーン(米国)

 今年の1月に東京・原宿に上陸した「allbirds(オールバーズ)」。サステイナビリティの取り組みの最前線を走る同社は、3月24日に米国のECサイトで寄付キャンペーンを打ち出しています。在庫がある限り、ユーザーが同社の米国ECサイトで対象の商品を購入すると、同社は自社の負担で、支援している医療機関へもう一足を寄付するという取り組みを始めました。

 

 顧客はオールバーズで商品を購入し、オールバーズ経由で指定の医療機関へ寄付することも可能です。3月26日時点で、すでに$500,000(約5千万円)以上の金額に相当する商品を医療機関へ寄付しているといいます。

寄付キャンペーンの対象商品

公式Instagramでは、寄付キャンペーンを紹介し、医療機関の前線で戦っている医者や看護師を応援している

「M.M.LaFleur(エム・エム・ラフルアー)」がSlackを活用したコミュニティ作りとバーチャルスタイリングサービスを開始(米国)

「M.M.LaFleur(エム・エム・ラフルアー)」のECサイトより

 レディースファッションD2Cブランドの「M.M.LaFleur(エム・エム・ラフルアー)」は3月14日に、同社のECサイトで、ビジネスチャットツールのSlackでコミュニティを開設したと発表しました。このコミュニティでは、ファンが今回のコロナウイルスの状況に対する感想、自分が住んでいる地域の状況、マスクや医療機関に関する情報、リモートワークに関する役に立つ記事の共有などの投稿が見られました。

 

 エム・エム・ラフルアーのスタッフからは、コミュニティ内でマスクの製造が可能な工場を探していると投稿するなど、自社の工場とマスクの製造について模索していると言及しています。同社所属のスタリストもここで、スタリングに関するに問い合わせに対応する取り組みも実施しています。

Slackのコミュニティでは、エム・エム・ラフルアーとファンの間で、有益情報を共有し、ファン同士でお互いに応援メッセージを贈り合う場面も多くみられた

 さらに、店舗の営業停止の対応策として、エム・エム・ラフルアーはバーチャルスタイリングサービスを提供しています。ユーザーは店舗所属のスタイリストを指定して予約後、ビデオチャットを通して相談を行います。スタイリストが提案するアイテムはユーザーがECサイトへログインした後、確認できるという仕組みです。

ASOS(エイソス)がInstagramを活用した教師応援キャンペーン(英国)

エイソスの公式Instagramより

 3月18日から、イギリスでは一斉休校となりました。多くの学生の勉強する環境が減る中で、一部の教師がボランティアで、ビデオチャットを利用し、無料オンライン授業を開催する活動が行われています。こういった社会貢献活動を応援するために、ファッションECサイトのエイソスは公式Instagramで、自分の周りの応援したい教師を推薦してください!と呼びかけました。Instagramのコメント欄に寄せられたメッセージの中から、ピックアップした教師を紹介し、サプライズギフトを贈るというキャンペーンを実施しています。

まとめ

 今回紹介した米国と英国の事例では、ただ自社のビジネスにフォーカスするだけではなく、自社の従業員、お客様の安全など、デジタルを駆使して独自のやり方で企業の社会的責任を果たしている取り組みがみられました。特にコミュニティを作って、ファンと自社の従業員の間で、有益情報を発信・共有するのが最大の共通点になっています。

 

 

 エム・エム・ラフルアーの行った、ユーザーが自宅にいながら自社サービスを利用できる、バーチャルスタイリングのような工夫は、しばらく続くことが予想される非常事態の中で、企業が今、重視すべきビジネスを維持するための柔軟な対応となっています。

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