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2020.03.26
【2020秋冬東京 ハイライト2】東京メンズならではの視点でクラッシックやエレガンスを新解釈
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(写真左から)ディ_カフェイン オム、メアグラーティア、ユウキ ハシモト
エレガンス回帰がメイントレンドとなった欧州メンズコレクションシーン。世界的なトレンドの変移は東京ファッションへももちろん影響する。ストリートを得意としてきた東京メンズも、ブランドらしさを保ちながら、クラシックやエレガンスの要素を取り入れている。高度なテーリング技術を強みとして美しいシルエットを提案する欧州のハイメゾンに対し、あくまでカルチャーやカジュアル視点で新解釈したものが多いのが特徴だ。
ミツル オカザキ(MITSURU OKAZAKI)
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「ミツル オカザキ」はシルバーの壁紙で覆った部屋を舞台にプレゼンテーションを行い、その様子をムービーで発表した。
コレクションのテーマは「NO FUTURE」。「未来はない、と終わるのではなく、今、ベストを尽くさないと未来はない」という思いを込めたという。ゆったりとしたセットアップにスポーティーなウィンドブレーカー、ジャケットやタートルシャツには至る所に「NO FUTURE」の文字をあしらった。シルバーの背景やコレクションピースに金継ぎメイクなどフューチャリスティックな演出との対比で、同ブランドらしいメッセージ性を際立たせたコレクションとなった。
メアグラーティア(meagratia)
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「メアグラーティア」は“歴史と現在の感覚の融合”をブランドコンセプトに掲げ、時代とともに移り変わってゆく文化や環境、人々に花の姿を重ねた世界観をファッションで表現している。ランウェイショーは、無観客で実施。その様子をライブ配信した。ブランドを代表するウールツイードのセットアップは今シーズンも登場。シンプルながらもレイヤードしたようなディテールや独特の厚みから生まれるシルエットが特徴で男女問わず着られるアイテムになっている。
デザイナーの関根隆文は、「こんな時だからこそ、ファッションシーンを盛り上げるためにライブ配信でショーをした。自分にとって大きな挑戦だった。状況が厳しくなろうが、やることは変わらない」と、コメントした。
「ディ_カフェイン オム(De_caffeine homme)」
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日本出身の韓国人デザイナー アビズモ ジョー(Avizmo Jo)によるメンズウェアブランド「ディ_カフェイン オム」も、RFWTの公式サイトにて動画とルックでコレクションを発表した。「ネオダダイズム」をデザイン哲学とし、日常で着られる斬新なアイテムを提案している。今シーズンはクラシカルなジャケットにジッパーを施したり、カラーの形を変形させたりと、シャープなシルエットながらも遊び心を感じさせるアイテムを見せた。
「TOKYO FAHION AWARD」を受賞し、今シーズンRFWTでランウェイショーを行う予定であったデザイナーも、RFWT公式ウェブサイトにてルック画像で発表。
「第6回TOKYO FASHION AWARD」を受賞した「リコール(Re:quaL≡)」の土居哲也、「ミーンズワイル(meanswhile)」の藤崎尚大、「ユウキ ハシモト(YUKI HASHIMOTO)」の橋本祐樹、「イン(IHNN)」の印致聖(イン チソン)、「シュープ(SHOOP)」の大木葉平とミリアン・サンス、「フミエタナカ(FUMIE TANAKA)」の田中文江。これから世界に羽ばたいていく彼らにとって、今回のコロナウイルスによるファッション・ウィーク中止は痛手であったかもしれないが、次世代の東京ファッションを牽引していく存在として今後の活動にも注目したい。
ミーンズワイル(meanswhile)
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「ミーンズワイル」は、“日常着である以上、服は衣装ではなく道具である”をブランドコンセプトに掲げ、表面的なファッション性ではなく、機能を追求したプロダクトを展開している。2020秋冬シーズンは、ケープやポンチョ、ダウンなど、本格的なアウトドアのアイテムを用いながらタウンユースでも映えそうなカラーやシルエットでアイテムを構築した。
ユウキ ハシモト(YUKI HASHIMOTO)
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「ユウキ ハシモト」は2019春夏シーズンからブランドをスタート。ブランドコンセプトは“ニューオーダー(NEW ORDER)”。洋服のルーツを守り、クラシックなディテールを残しながらも新しい洋服を紡ぎ上げている。今シーズンもクラシカルなメンズウェアをベースに、ストリートやエレガンスとミックスさせながら独自の世界観を描き出していた。
シュープ(SHOOP)
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東京、マドリードを拠点にするユニセックスブランド。デザイナーの一人である大木はDJや音楽制作をしているため、ミュージックカルチャーも大きなインスピレーションとなっている。今シーズンは、クラシカルなメンズウェアにチェーンやレザーなど、ロックな要素をプラスしながらもシックに仕上げている。ジャケットから少しのぞくラメ素材やシャツのカフスなど、ディテールへのこだわりが至る所に見られた。
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