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2017.03.03
【ロンドン2017秋冬】ストリートスナップから見るロンドンのトレンドとは?
ロンドンコレクション レポート
高嶋一行(写真・文)
2017年2月17日から5日間にかけて行われたロンドンファッションウィーク2017年秋冬。例年通り、たくさんのメディアやバイヤー、セレブが集まり盛り上がりを見せる祭典です。今回も会場周辺にてストリートスナップを行い、ロンドンのトレンドをリサーチ。日本と同じく肌寒さが残るロンドンの2月。最新コレクションのアイテムも踏まえて、来シーズンも引き続き注目が集まるであろうアイテムをピックアップしました。
「ロンドンファッションウィークの顔」として様々なショー会場に姿を見せるセレブのひとりがアレクサ・チャン。最も彼女らしい大人フェミニンな着こなしはJ.W.アンダーソン(J.W.Anderson)の会場で披露したホワイトのワンピースにテーラードジャケットを合わせたスタイル。
1年前より支持率アップ!ファー素材のボリュームアウター
とにかくコーディネートとして圧倒的に取り入れられている数が多いアイテムのがファーのアウター。去年のロンドンでもトレンド感が強く、売れ筋アイテムであったものがさらに盛り上がりを見せています。アウターとして取り入れるだけで一気にゴージャスな雰囲気が得られるメリットが、ロンドンの女性心をキャッチ。
全体の傾向としては、リアルファーやよりリアルに見せた自然体のブラウンカラーがベース。またはブルーやグリーンなど1色に染め上げたデザインが人気となっています。フェイクファーも一目でフェイクかどうかが分かりにくくなり、リーズナブルな価格帯でも高級感あるテクスチャーを実現。より気軽に取り入れられるアウターであることもトレンドとなった理由のひとつです。来年の秋冬シーズンでもメインアウターのひとつとなることでしょう。
より自然体なブラウンカラーで正当派なゴージャススタイルを取り入れるか、鮮やかなカラーリングで明るくコーディネートを楽しむかの二極化。デザインは単色でシンプルなスタイルが多数派を占めていました。
ファーベストの先へ―ファーの部分使いが今年流のトレンド
さらに昨年のトレンドとは違うポイントが、ファー素材を部分的なデザインポイントとして使用するスタイルです。首元や袖部分、裾など自由自在に切り替え。ファーのボリューム効果でメリハリを加えたデザインとしてオリジナリティーあるファッションを実現させています。ウール素材のコートの組み合わせや、レザーアウターの切り替えとして。さらに毛足の長さやカラーリングでアレンジするなど自由なデザインが可能。
来シーズンも、様々なブランドでファー素材をアクセントとして使用するアウターがリリースされることでしょう。 今回のロンドンファッションウィーク内でも最新コレクションにファー素材を取り入れたアウターがラインナップ。袖にファー素材を取り入れるデザインがメインとなる予感です。
デザインとしてアクセント力があるものが、袖にファー素材を取り入れたスタイル。ボリュームあるシルエットが部分的に演出され、ファッションとして新しさが感じられるデザインが魅力です。
メアリー カトランズ(Mary Katrantzou)はチェック柄のブルゾンの袖をファー素材で切り替え。ハウス オブ ホランド(House of Holland)はライダースジャケットにブラック×ホワイトの毛足の長いファーをアレンジしています。来シーズンも袖など部分的にファー素材を取り入れたスタイルが多数のブランドよりリリースされると考えられます。
(左)メアリーカトランズ、ハウス オブ ホランド
【コーデの仕上げに】肩掛けスタイルもお手軽な人気アイテム
ファー素材をもっと手軽に取り入れる方法として、こちらも同じく昨年よりトレンド傾向にあったマフラーやティペットなどのアイテムたち。ただし今年は、ストールと呼べる長さのあるファーアクセサリーが主流となりました。取り入れ方は、首に巻くのではなく肩にかけるだけ。あくまで装飾としての取り入れ方で、片方の肩にかけてアシンメトリーとしてアクセントを付ける方法や、首にかけるようにボリュームを楽しむ方法まで様々。
シンプルなコートスタイルやドレスアップしたワンピースをゴージャスに飾るアイテムとして活躍しています。こちらは、ファーのアウターとは違い、多色使いや鮮やかなカラーを取り入れるなど、華やかなカラーリングが好まれています。一方で最新コレクションでは、バッグなどのセールスが好調なアニヤ ハインドマーチ(Anya Hindmarch)が、帽子としてのファースタイルや体のチェストに巻くファーアクセサリーを発表。来シーズンは、さらにファーのアクセサリーがマーケットを賑わせることになりそうです。
肩にかけるだけでトレンドを意識したファッションが完成。アクセントとして取り入れるなら鮮やかなカラーリングが効果大として多色デザインの傾向がみられます。
アニヤ ハインドマーチ(Anya Hindmarch)の最新コレクション。全てのモデルがファーの帽子を被るなど、次回シーズンの主力素材となることをアピールしています。
【セレブから広がったアイテム】ムートンアウターがスタイリッシュ
ロンドンファッションウィークに参加するモデルの多くがいち早く取り入れていたアウターが、ムートン。先月1月に行われたロンドンファッションウィークメンズのタイミングから、セレブを中心にムートンアウターを取り入れたコーディネートが増加。そして今回のロンドンファッションウィークでもその流れで、ムートン愛用者が増える結果となりました。モコモコとした、しっかりと防寒が期待できる外見。ジャストサイズで取り入れても、オーバーサイズで着こなしてもクールに見える応用の利くスタイル。ライダースジャケット代わりとしてスタイリングしやすいレザーの素材感。抵抗感なく日常ファッションとしてヘビロテできるポテンシャルが魅力です。カラーリングは圧倒的にブラックカラーが人気。そして裏地部分もブラックで統一されているデザインが王道のトレンドとなっています。
一方でムートンアイテムを発表したブランドは、より自然体なレザーが楽しめるブラウンカラー寄り。しっかりとボリュームを取り入れたビッグシルエットが来年のショップに並ぶ予定です。よりビンテージな雰囲気や80年代を感じることができるブラウンのムートンアウター。ファッショニスタが選ぶ来年のアウターのヒントはココにありそうです。
カラーはオールブラックが主流。バッグステージから出てくるモデルたち、会場を沸かすセレブが愛用している代表アウターです。
エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 Maison Margiela)では、経年変化が感じられるビンテージっぽさがデザインされたムートンアウターがプレゼンテーションに登場。 トーガ(TOGA)はビッグシルエットを意識したボリューム感あるムートンアウターをデザインしています。
(左)エムエム6 メゾン マルジェラ、トーガ
【今年のキーワードのひとつ】レディースファッションもビッグシルエット
メンズファッションにてトレンドとなったトップスのビッグシルエット。レディースのアウターやトップスも、同じくボリュームあるビッグシルエットが注目を集め始めています。肩幅の広いメンズのアウターを取り入れて肩の落ち感を楽しむ方法があれば、ダウンやMA-1など、もともとボリュームあるアウターをより強調させたもの。さらにはパターンを操り、意図的にビッグシルエットに仕上げたアイテムも登場しています。
どんな取り入れ方にしてもトップスを普段よりも大きく見せることがポイントとなります。また、女性らしさを残す方法として、ビッグシルエットのトップスをずらし、肩を意図的に出すことで、華奢な女性的要素をアピール。何よりもゆったりと着こなすことができるラフなオシャレとして一定数の支持を得ています。
シルエットでオシャレっぽさをアピールできるビッグシルエット。ストリートスタイルやメンズライクなカジュアルファッションとしても応用できる、日常使い可能な都会派スタイルとして定着しています。
キャッチーなアイテムに軍配 ロンドンに集まったバレンシアガのロゴ
ロンドンファッションウィークの会場で目につく高級ブランドのアイテム。その中でも今回のシーズンで多数派を占めたブランドがバレンシアガ(BALENCIAGA)です。中でも2017年の春夏シーズンのランウェイショーに登場し、話題となったベースボールキャップ。被りやすい浅めのシルエットと、ブランドロゴのみがデザインされたシンプルな見た目が特徴的です。
もちろん、誰が見てもバレンシアガ(BALENCIAGA)と認識できる分かりやすさも魅力。視線を集め、よりインパクトあるスタイリングに役立てている方が多い印象でした。そして、バレンシアガ(BALENCIAGA)と言えば、独特のカラーチョイスとたっぷり入る便利なバッグ「バザールショッパー」がヒットモデルです。
こちらもロンドンファッションウィークでは様々なスタイリングで登場。資料やインビテーションなど、意外とたくさんの手荷物を持ち歩くこととなるファッションウィークの強い味方となっています。もちろん、エレガントファッションにさえるコンパクトなショルダーバッグもバレンシアガ(BALENCIAGA)をチョイスする方が多く、キャンバス地やストライプカラーが華やかにスタイリングされていました。
ベースボールキャップはもちろん、バザールショッパーなど一目でバレンシアガ(BALENCIAGA)とわかるデザインが魅力です。バッグとしての機能とファッショナブルなデザインなど、バランスが取れたモデルとしてロングセラー化しています。
ラグジュアリーなバッグは「GG」がキーワードに
さらに、ブランドバッグにフォーカスすると優勢なのがグッチ(GUCCI)のハンドバッグ。お馴染みのGGエンブレムが輝くゴージャスなデザインです。中でもコンパクトなスモールサイズのGGマーモントモデルが人気。ソフトな触り心地のキルティングレザーを使用したグッチ(GUCCI)の代表アイテムです。
カラーバリエーションの豊富さはもちろん、エレガントなデザインからアーティスティックな遊び心あるアイテムまで、様々なスタイルがロンドンのファッションにマッチしています。イタリアらしいスタイリッシュな高級ブランドは、日本だけでなくロンドンでも虜となる女性が多数を占めているようです。
ゴージャススタイルの王道はイタリアブランド。グッチ(GUCCI)は世界的な知名度を誇るブランドであり、もちろんロンドンでも高い人気を集めています。今シーズンのヒットアイテムがこのGGマーモントモデル。
ほどよいスポーティー感とエレガントが特徴的「ラインパンツ」
日本でも2017年春夏のトレンドとして話題となっているラインパンツ。サイドにラインが入ったスポーティー感あるデザインが今年っぽいアイテムです。ロンドンで見つけたラインパンツファッションは、ブラックやネイビーにレッドのラインが基本スタイル。エレガントで少しカジュアル寄りなコーディネートに、スポーツっぽいスパイスを加えるようにスタイリングされています。
取り入れるポイントとしては、ハイウエストで履きこなすことと、ほかのアイテムをシンプルにまとめること。これによりラインパンツの存在感を増し、今っぽさを演出。今年の春夏シーズンの間に一気に取り入れる方が増えるであろう世界的な注目アイテムです。
レッドのラインでハッキリとして存在感を出すのがロンドン流。シルエットはブーツカットで美脚に見えるシルエットも意識することで、よりファッショナブルなコーディネートに仕上がっています。
来年の秋冬はボリュームとムートンが来る予感
ロンドンのトレンド傾向や最新コレクションを見ていると、ビッグシルエットや、ボリュームあるファー素材によってトップスが膨れ上がったシルエットが目立ちます。さらに、根強い人気のライダースジャケットに飽きた人たちを取り込むムートンアウター。 これらのアイテムが、秋冬シーズンの核になると予想されます。もちろん、日本のトレンドにも十分な影響を与えることでしょう。
高嶋 一行(たかしま・かずゆき)
ロンドンのELEY KISHIMOTOにてデザインアシスタントを経験後、日本では海外ブランドのセールス・PRエージェント会社に勤務。 現在はイギリスに戻り、英国を中心としたファッション記事を執筆中。 現在、ファミリーセールやサンプルセールの情報サイト「tokyosamplesale.com」(毎日更新)も運営している。
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