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2020.03.25
カギはInstagramとストリーミング配信の活用 米国先進企業の新型コロナウイルス対応策【イベント編】
Written by RINA
「GIRLBOSS RALLY(ガールボスラリー)」の公式サイトより
「GIRLBOSS RALLY(ガールボスラリー)」とは?
3月に入ってから、特に北米と欧州での新型コロナウイルスの感染が急拡大し、多くのイベントの中止・延期が相次いています。その中で、3月に予定された米国のカンファレンスの「GIRLBOSS RALLY(ガールボスラリー)」の対応策について紹介します。
レディースファッションECサイトの「 NASTY GAL (ナスティーギャル)」の創設者である「SOPHIA AMORUSO (ソフィア・アモルソ)」が2017年にマルチメディアの「GIRLBOSS(ガールボス)」を立ち上げました。事業内容としては、女性の社会進出を支援するコンセプトをベースに、書籍、ポッドキャスト、ブログ、ソーシャルネットワークを展開。後に同社初のカンファレンス、「GIRLBOSS RALLY(ガールボスラリー)」まで事業が拡大しました。同カンファレンスの好評もあり、ガールボスは 2019 年にメディア企業のATTENTION CAPITAL に売却、さらに成長、進化を続けています。
ガールボスラリーでは、二日間に渡り、キーノートの対談が行われるほか、10 以上のセッションルームで、ライフスタイル、ファイナンス、仕事、リーダーシップ、ウェルネス、自信などのテーマについて、ディスカションが行われます。様々なエクスペリエンスを通じ、次世代の起業家、社内ベンチャー、そして参加者同士がインスパイアし、アイデアを膨らます場としての意味を持っています。
過去のスピーカーには、D2Cコスメブランドの「Glossier(グロシア)」の創設者の(Emily Weiss「エミリー・ワイズ」)や、ライフスタイルブランドの「goop(グープ)」 の創設者の「Gwyneth Paltrow(グウィネス・パルトロウ)」などが登壇しました。
会場では女性の就職・転職活動のサポートも充実
一般のカンファレンスと違って、ガールボスラリーでは、トークセッションだけではなく、転職する際に、履歴書に必要なプロフィール写真を、プロのフォトグラファーに撮影してもらうことができます。さらに2019年から新たに、CAREER COURTYARD (キャリアコーヤード)といった職業コンサルタントとの1対1のキャリア相談スペースが設けられ、履歴書やその他申込書の書き方のフィードバックをしてくれます。
中には「WEWORK(ウィーワーク)」や「GOLDMAN SACHS(ゴールドマン・サックス)」などの有名企業の求人担当者と話をする機会も用意されています。会場には、カンファレンスのコンセプトに共感するブランドが参加する、ショップエリアがあります。「CUYANA(クヤナ)」などのファッションブランドやランジェリーブランド、ビューティー、ウェルネスブランドが出店しています。こういった参加ブランドも全て女性が創設したブランドです。
Instagramとストリーミング配信を活用 グローバルへの発信機会として捉える
「GIRLBOSS RALLY(ガールボスラリー)」の公式Instagramより
今年のガールボスラリーは2020年4月25日に1日限りのイベントとしてロサンゼルスでの開催を予定していました。SWSX、BEAUTY CONなどの大規模なイベントが中止、延期と発表される中、ガールボスラリーは3月12日にInstagram、メールマガジン、公式サイトなどで、ファンに向けて情報が発信され、ストリーミング配信でイベントを決行すると宣言しました。ガールボスラリーの公式Instagramでは、“カンファレンスのガールボスラリーはグローバル化!”というメッセージが力強く書かれていました。
「GIRLBOSS RALLY(ガールボスラリー)」の公式Instagramでは、ファンや参加者から問い合わせに対し、FAQとしても機能しています
公式Instagramの投稿では、「グローバルガールボスラリーは素晴らしいスピーカー、プログラム、ネットワーキングの機会を、ストリーミング配信によって行うことで、世界から誰でも無料で体験できるものになった。」と訴求。続けてチケット購入者にはチケット費用($375~$700)も全額返金すると発表するなど、Instagramを参加者とのコミュニケーション手段として活用し、随時イベントの進捗状況を報告しています。参加者の問い合わせ対応も、Instagram内に「質問コーナー」を設け、簡単に質問入力ができるように工夫しています。
デジタルの活用がピンチをチャンスに変える
ガールボスラリーは、今回のカンファレンスをただ中止、延期するのではなく、Instagramやストリーミング配信などのデジタルツールを活用し、今までリーチ出来なかったグローバルの新規ユーザーを獲得できる機会として捉えています。中国でも3月24日から上海ファッション・ウイークをストリーミング配信し、アリババのライブコマース「タオバオライブ」を使って「オンラインファッションウィーク」を行うことがニュース報道されています。新型コロナウイルスの収束がまだ見えない中、デジタルの活用は、新しいビジネスチャンスにもなるかもしれません。