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2020.03.17
【本音で語るツール活用術】WEBマーケティングツール最前線 Vol.4――リアルタイム・レコメンドASP サービス「アイジェント・レコメン ダー」「レコガゾウ」
アパレルウェブ「AIR VOL. 28」(2019年10月発刊)より
written by 鎌戸隆輔(アパレルウェブ)
今回本音で聞いた人はこの人:
シルバーエッグ・テクノロジー株式会社
マーケティング部 マネージャー プロダクトエバヴァンジェリスト 古賀 良国氏(左)
上席執行役員COO 榎阪 健氏(右)
※所属・職務はインタビュー当時のものです
日頃デジタルマーケティングを実践する中で、気になったツールやサービスを提供している会社に突撃取材します!サービスの紹介で終わるのではなく、デジタルマーケティングのヒントになる様な、ここでしか聞けないインタビューをアパレルウェブ1のツールマニア、鎌戸がお届けします。
ポイント:シルバーエッグ・テクノロジーのレコメンドはWeb だけにあらず!オフラインも意識したレコメンドがこれからのスタンダードに
取材するサービス:
リアルタイム・レコメンドASP サービス「アイジェント・レコメンダー」「レコガゾウ」
アイジェント・レコメンダー
WEB サイト、ネイティブアプリで利用できるパーソナライズ・レコメンドツール
レコガゾウ
メール、LINE で利用できるパーソナライズ・レコメンドツール
そもそもレコメンド機能はECカートに標準装備されているケースも多いと思います。そこから御社のレコメンドツールに乗り換えた企業は、どういう理由で導入されることが多いのでしょうか?
ECの売り上げが月商1,000万円規模を超えると、レコメンド商品のクリック率やコンバージョン率での1ポイントの差が売り上げに大きく影響してきます。月商1億円のECは、それが1,000万円単位での違いになります。ファッション系ECではいかにセット率を上げるかが売り上げを左右しますが、その鍵を握るのがレコメンドの精度。その精度の高さを求めて当社のサービスを選んでいただくことが多いです。私たちのレコメンドツールは、独自のロジックに基づいたAI技術「ベイジアン協調フィルタリング」を取り入れています。「この商品をこの順番で見た人は、あの商品を気に入る可能性が高い」といった分析を行い、ほかのユーザーの行動も参照しつつ予測推薦を行います。カート側で事前に「商品Aを見たユーザーに商品Bを出す」というルールベースのロジックを組むのではなく、ユーザーの行動に即してリアルタイムに興味のあるものをお勧めできるようにしています。実店舗に置き換えると、人間が接客するような感覚です。
また、メールを受信したユーザーに最適な商品をリアルタイム表示する「レコガゾウ」を使えるところも他社様から乗り換える理由として多いですね。「レコガゾウ」はメールを開封する数秒前までのウェブ上での行動も加味してレコメンドするため、ユーザーの“今”の気持ちに沿ったものを提案できるのが最大の特徴です。また、在庫情報と連携しているので、在庫がある商品だけを表示できるのはユーザーにとっても大きなメリットです。運用が大変だという理由でパーソナライズ化されたメールを配信していない企業も多いようですが、「レコガゾウ」は、タグを差し込んでおけば自動的に商品をレコメンドするため運用コストがほぼかかりません。またメール開封時に初めてレコメンド結果を抽出するので、発信側には、抽出や通信にかかる無駄なコストも発生しません。特許を取得しており、現在はLINE上でも利用できます。
アパレル企業には単一商材を扱う専業メーカーも多いですが、おすすめの機能などはありますか。
実は当社では、2019年8月にスタートした画像認識レコメンドを限られたお客様に先行リリースしています。これは特におすすめです。その名の通り、画像を認識し、見た目が類似している商品をお勧めする機能です。専業メーカー様は一見類似する商品が多くても、実際にディテールが違うなど細かな差異が商品ごとにあるかと思います。そのような場合でも画像認識レコメンドを使って頂くと、本当に類似する精度の高い商品をレコメンドできるかと思います。初期テストで精度も実証されましたので、これから多くの皆さまに使っていただきたいですね。
1つのサイトの中で、行動分析レコメンドと画像認識レコメンドを使い分けるといったこともできるのでしょうか。
はい。例えばユーザーの行動データ量が少ないと、レコメンドの精度は上がりにくくなります。こうした場合、私たちの技術は、データの量が十分あれば行動認識、少なければ画像認識を採用するといった分岐ができます。また、ユーザーの行動や類似画像ではなく、サイト内のテキスト(製品紹介文など)の類似に基づくトピックレコメンドやランキングを組み合わせることもあります。そして、それらのレコメンドはページごと、あるいは同じページ内で複数のロジックとして使うことも可能です。
御社はツールの提供だけでなく、その後のコンサルティングサポートもしていると聞いています。サポートをしている中で発見した、高い効果を生む“鉄板”のレコメンドシナリオはあるのでしょうか?
“鉄板”という訳ではないですが、ユーザーの状況ごとに使い分けることは非常に重要だと考えています。例えば、商品詳細ページでは、商品を比較検討しているユーザーが多いので、閲覧行動のデータをもとに、その商品とよく一緒に閲覧したり、比較検討されているものを表示させること多いですね。カートのページでは、ユーザーがすでに買うものを決めていることが多いので、「同時購買相関」を用い、併せて買うと送料無料になるものなどをレコメンドとして、セット率向上を図ります。また、購買が完了したユーザーには、次に買う可能性が高いものを提示し、再来店を促します。この様にユーザーの状況ごとにシナリオを想定して、そこに合わせる形でレコメンドロジックを組んでいくことが、高い効果を生むポイントだと思います。また、他社のツールと連携させることで高い効果を生むこともあります。
どのようなツールと連携させるといいのでしょうか。
例えば、サイト内検索ツールと連携させた場合は、検索結果の上位に表示された商品に対し、ユーザーが興味を持ちそうな類似商品を併せてレコメンドします。ユーザーの探しやすさを追求した事例ですね。あとは、ウェブ接客ツールとの連携も多いのですが、ページを離脱しそうなユーザーには、そのユーザーのサイト内での行動情報をもとに、一番興味がありそうな商品のクーポンを贈ることもできます。これらは導入して頂いたお客様からも評判がよく、効果的にツールを使って頂いている事例ですね。
御社のサービスをすでに導入している企業の中で、特に上手く活用されている事例がありますか?
EC運営を考える上で、オンラインのデータ分析は強化していても、店頭などオフラインのデータ分析が手薄になりがちです。ツールを上手に活用されている企業は、お客様によりよい購買体験の提供を目指しOMO(Online Merges with Offiline)の戦略を強化しています。例えば店頭でTシャツを買ったユーザーにも、Tシャツのコーディネート例や同時購買されているものをオンラインやメールマガジンでレコメンドする、シーズンが変わるタイミングで別の買い足しアイテムを訴求するなどです。店舗で気になったものを後からECで買うなど、店舗とECの境界線を意識せずに利用しているという行動はもはや当たり前になっているので、オンラインとオフラインの連携をさせた企業は今後どんどん増えてくると思います。
最後に導入を検討している方へのメッセージはありますか?
私たちはレコメンド技術の開発において、すでに20年以上の歴史があります。現在約300社にご利用いただいていますが、ロジックと経験値を兼ね備えているのが強みです。常に科学的なアプローチを行い、改善を繰り返していることもお客様からの信頼につながっています。これからもサービスとコンサルティングの両輪でお客様とともにサイト全体の価値を高めていきたいと思います。
アパレルウェブ「AIR VOL. 28」(2019年10月発刊)より
■AIR(APPARELWEB INNOVATION REPORT)とは…
アパレルウェブが持つマーケティングプラットフォームに蓄積されたビッグデータやメディアのログなどから導いた独自データや分析結果、海外のファッションビジネスにおけるテクノロジー導入事例など、ファッションビジネスにおいて即効性のあるレポートを定期的に提供しています。