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2018.02.21

【注目ブランドをピックアップ】4つのコンセプト別エリアを新設  「プレイタイム東京」2018~2019秋冬が開幕

多様化するライフスタイル提案をより明確に

 

 ベビー・こどもブランドの国際合同展示会「プレイタイム東京」(主催:ピカフロールジャパン)2018~2019秋冬コレクションが2月20日、東京・ベルサール渋谷ガーデンで開幕した。25カ国から約150ブランドが参加。“チェンジオーバー”をコンセプトに、今回は初の試みとして、4つのコンセプト別エリアを新設した。22日まで。

 

 展示エリアは、同展示会に初参加する国内外のブランドを集めた「ニュー・イン・トウキョウ」、食や小物、デコレーショングッズなどファッション以外のブランドを展示する「ライフスタイル」、同イベント常連の実力派ブランドによる「マストハブ」、子どもだけでなく、大人も含めたスタイルを提案する「ファミリー」の4つ。前回の2017年8月展では、東京展独自の試みとして食に特化したエリア(OISHI MONO)を新設(今回も継続)。また、親子やファミリーで同じカラーやモチーフのアイテムを着用する“リンクコーディネイト”を提案する出展者が近年増えたことを受け、大人向けのアイテムを展示するブースに専用ステッカーを貼り訴求を強めた。今回のコンセプト別エリアは、そうした多様化するライフスタイル提案をより明確に表現したかたちだ。

 

 今回の展示について、プレイタイム東京は、「アジアのバイヤーは、常に何か新しいことを探しており、今回のコンセプトでもある“チェンジオーバー”を望んでいる。そこに応えるため、4つのエリアを作った。より効率よく回ってもらうことでストレスを減らし、より商品に集中してもらいたい」としている。

 

 出展ブランド数を国別で見ると、日本30ブランドのほか、米国16ブランド、フランス9ブランド、オーストラリア7ブランド、スペイン7ブランド、英国5ブランド、ニュージーランド4ブランド(2018年2月14日)など欧米を中心とした海外勢の出展が目立つ。また、タイや韓国からなどアジアからの参加も増えつつある。

 

 「パリ、ベルリン、NY、東京と4か国で展示会を開催していることがプレイタイムの強み。国内外のブランドとバイヤーのサポートをしていることから、子どもやマタニティーに関するあらゆる国の企業とのネットワークを構築してきた」と同社。パリ展が2016年7月展に10周年を迎えたのを機に、公式サイトを一新し、スマートフォンアプリをローンチ。昨年7月には独・ベルリンで同展を初開催するなど、発信力を強める。「ネットがこれだけ普及しているいま、国別というよりもテイスト別での提案が強くなりつつある。国の垣根はどんどんなくなっていると思われる」と加えた。

 

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25カ国・150ブランド参加 ベビー・こどもブランドの合同展示会「プレイタイム東京」2018秋冬 2月20~22日開催

【注目ブランドをPICK UP】

 

■120周年の老舗タイツブランド

 今年で120周年を迎えたスペイン・バルセロナ発の老舗タイツブランド「コンドル」。地中海沿いにある自社アトリエで年間100万足を生産。豊富なカラーバリエーションや肌触りのよさで根強いファンを持つが、動物モチーフやリボンなどディテールデザインがあるものも提案。現在百貨店やビームスなどのセレクトショップを中心に販売しているが、昨秋から、子ども関連商品やインテリア雑貨などを取り扱うマインドアート(東京、山田博史代表)が日本国内の輸入販売を行っており、プロモーションをさらに強めている。TOCビルにあるオフィスでは、ショールームも構える。

http://www.mindart.co.jp/product.html#condor2

■貧困の子どもたちを救う ベトナム発の手づくりドール

ウィン氏(左)はベトナムにある工場で人形製作の全工程を監修。アレレス氏は、15年以上住む日本(福岡)で、マネージング・ディレクターを務める。

 ビジネスを通じて貧困を余儀なくされている子どもたちに食糧と教育を与える手助けをしたいという思いで始まったドール・ブランド「ラ・マニナ」。社会貢献活動に長年携わってきたベトナム出身のヴィ・ウィン(Vi Nguyen)氏と、言語教育学者として九州大学で教鞭をとるジョナサン・アレレス氏が、マレーシアの国際学会で知り合ったことをきっかけに、2017年に共同で立ち上げた同ブランドは、商品を購入すると、商品価格の一部がベトナムのボランティア団体「ベトナム・ボランティア・ネットワーク」に寄付される仕組み。ブランド名は、スペイン語で、“Little Hand(=小さな手)”の意味。“救いの手を差し伸べる”という思いを込めた。

 野菜や動物、スイーツなどをモチーフに、ベトナムの工場で1つひとつ手づくりされた「ラ・マニナ」ドールたちは、手編みならではの温かみが魅力。“おませなソフィア”“ひんやり棒アイス”“むっちりダイコン”など、愛らしいビジュアルに付けられたネーミングにも注目。子どもたちが手に取ったりハグしたりするのに最適な重みや肌触りを考慮して作られており、高品質の綿100%や、弾力性の高いポリエステル綿を使用した。品質保証資格「ビューローベリタス」を取得しており、品質の高さもお墨付き。

 プレイタイム東京に参加し、ブランドのコンセプトに共感してくれるハイエンドなショップや百貨店での販路を開拓したいという。

https://lamaninadolls.com

■ママ目線でデザインしたヴィーガンブランド

ブランド創業者、そしてシングルマザーでもあるデザイナーのシャオ・ウーリン氏。ブランドを通じて、女性の自立といった問題にも取り組みたいという。

シューズはオリジナルのボックスに入れて提供。壁掛け型の棚として使用することもできる。

 鮮やかなオリジナルプリントが目を引く「WPD」(Walk, Play and Dance)は、中国出身のデザイナー、シャオ・ウーリン(Xiao Wuling)氏が出産を経験し、自身の子どものために最適なファッションは何か、という視点で2017年に立ち上げた子ども服ブランド。子どもの安心・安全に加え、環境保全を考慮したヴィーガンであることにもこだわりを見せる。

 赤ちゃん用スニーカーは、人間工学に基づき靴先が自然に反る設計。アッパーとかかと部分をゴムでつなぐことで脱ぎ履きがしやすいのが特徴だ。綿100%の素材には天然染料でプリントを施した。「快適さや動きやすさ、機能性を重視した」(ウーリン氏)というアパレル商品は、ボタンの配置や広めのスリーブなどディテールに細かい気配りを見せる。ストレッチ性の高いモダール素材や肌触りのいいコットンを駆使して製作したトップスやワンピースは、スナップボタンの留め方によって数パターンの着こなしができるのも魅力の1つだ。

 日本進出は、今回のプレイタイム東京が初。「ブランドのコンセプトや商品に共感してくれるバイヤーを探したい」と話す。

http://wpdbabysneakers.com/

■アーティストが手がけるスタイリッシュな子どもアイテム

 村上美術(東京、村上周代表)が出展した自社ブランド「アマブロ(amabro)」は、アートの視点から作品を企画・生産するプロジェクト。アーティストの村上周氏が中心となり製作されたスタイ(税込2,700円)やカットソー、ガラガラなどの子ども用アイテムも、グラフィカルでスタイリッシュなデザインが強み。お食い初め用の食器セット(税込1万800円)、フィンランドの人気キャラクター「ムーミン」を九谷焼や有田焼がコラボレーションした食器シリーズなど、ギフト向け商品も豊富に揃える。生活雑貨のセレクトショップや自社オンラインストアで販売。

http://www.amabro.com/

■日本の伝統技術と北欧デザインが融合

 「ヌップ(Nuppu)」は、西海陶器の関連企業として2013年に創業した東京西海株式会社(東京、児玉賢太郎代表)が2017年に立ち上げた子ども用のテーブルウエアの新ブランド。フィンランド出身のプロダクト・デザイナー、マイヤ・プオスカリ氏を起用して作られたマグカップや皿、スタイなどは、波佐見焼の伝統技術を生かしつつ、シンプル・シックなデザインが魅力。3年間の保証期間も設けている(無償交換は1度・1点のみ)。

 日用品としての波佐見焼の価値を高めるため、プレイタイム東京では、ファッション系セレクトショップとの取り引きも積極的に行いたいという。海外への市場拡大も図っており、今月開催された独の国際見本市「アンビエンテ」にも「ヌップ」を出展した。

http://www.nupputableware.com/

■リピーターも多いスウェーデンの人気子ども服

 スウェーデン発のユニセックス子どもブランド「ヴィッレヴァッラ(VILLERVALLA)」は、カラフルな色使いのオリジナルプリントに加え、ストレッチが効いた肌触りのよい生地で人気を集める。オーガニックコットンや、国際的安全基準エコテックス認証の素材を使うなど安心・安全にも考慮。現在15カ国で販売。日本には2015年に上陸。東京・代官山の直営店では、ファッション感度の高いママ世代を中心に根強いファンを持ち、リピート購入にもつながっている。小売り価格は、Tシャツで4,000円前後。プレイタイム東京では、オンラインセレクトショップのバイヤーの反応がよいという。

http://www.villervalla.co.jp/

■柔らかい肌触りを追求したブランケット

ディレクターのキム・ペリン(Kim Perrin)氏

 米カリフォルニアから参加したのは、ブランケットを主力とする「エンジェル ディア」。イラストレーターの手がけたオリジナル柄を、天然素材や天然染料で仕上げたアイテムは、肌触りのよさが魅力。ハイエンドなブティックや百貨店などに卸販売するほか、自社オンラインストアも運営中。日本でも子ども服専門のセレクトショップなどで取り扱いがある。

http://www.angeldear.net/

■動物モチーフのレザーシューズ

デザイナーのフロレンティーン・スリンガレンド(Frlorentine Slingeland)氏。

 オランダから初参加したのは、2013年デビューのファッションブランド「ドンシェ(DONSJE)」。コアラやパンダ、ライオンなどの動物モチーフをつま先部分に施したレザーシューズが人気。アパレル商品は、個性的なデザインのシューズに合うナチュラルカラーやベーシックなデザインが中心。「実際に購入するママたちがいいなと思うものは何かを考えながらデザインしている。子どものファッションは、グリッターやピンクなどを使った派手なものが多くなりがちだが、ナチュラルでシックなデザインがブランドの魅力」とデザイナーのフロレンティーン・スリンガレンド(Frlorentine Slingeland)氏。ブランド名は、オランダ語で“ふわふわ”“ソフト”といった意味を持つ。

 45カ国で販売する。ハイエンドなコンセプトショップや百貨店などとの取り引きを希望し、プレイタイム東京に出展した。初日を振り返り、「プレスやバイヤーの方から、“Kawaii”という声を多くいただくなど反応はいい」(スリンガレンド氏)と話す。

https://www.donsje.com

■多重織りガーゼの心地よさを提案

バイヤーから好評だった授乳用ケープ

 

 リネン商品やルームウエアのOEMなどを手がけてきたクロスローズプラン(東京台東区、西澤真由美社長)が2013年に立ち上げた自社ブランド「オブラブ(OVLOV)」。ブランケットやスリーパー、授乳ケープに使用しているのは、ガーゼを3枚または6枚重ねて作った多重織りの生地。洗濯を重ねると、ふんわりと柔らかい風合いが増すのが特徴。保温性も高く、オールシーズンで使えるのも強みだ。現在ベビー用品専門店を中心に卸販売を行うほか、自社オンラインストアでも販売する。

 プレイタイム東京には2年ぶりの参加となった。「ブランドのコンセプトを共有し、長期的な取り組みができる取引先を探したい」(西澤社長)。「オブラブ」のブランディングにも注力。昨年2017年には自社にショールームを構え、商品の使い心地を体感してもらえる体制も整えた。

http://www.ovlov.jp/

■小児科医が考案した哺乳びん

 「ベッタ」の哺乳びんは、小児科医が考案した独特のカーブで、母乳授乳と同じような姿勢でミルクを飲めるようにコントロール。頭を起こした自然な姿勢は、赤ちゃんへの耳官へのミルクの流れ込みを防いだり、飲み下す運動をしやすくするといった効果が期待できる。飲みやすさを重視した乳首部分の設計など、赤ちゃんの安心・安全を考慮した機能性の高さが特徴だ。加えて、職人の手づくりによる耐熱グラスに施した遊び心のあるイラストやデザインも人気の理由で、毎年発売する干支シリーズはギフト需要も高い。本体価格1,300~3,200円。運営は、ズーム・ティー(東京、河合とも子代表)。百貨店やベビー専門店に卸販売するほか、東京・南青山でアンテナショップも構える。

https://www.betta.co.jp

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