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2019.12.18

「EXPOCITY」――5年目の挑戦 物販とエンターテインメントの共存を目指す

開業から丸4年が経過した「エキスポシティ」

 大阪・エキスポランド跡を再開発し、複合商業施設として生まれ変わった「EXPOCITY」(エキスポシティ)。2015年11月19日に開業した同施設は丸4年を迎えた。前年度(2018年度)は売上高540億円(全館)で増収だった。今期もここまで順調な推移だという。エンターテインメント施設を導入した次世代の商業施設を構築することが大きな目的だった。5年目に入り、どういった取り組みを強化するのだろう。

けん引役になっているファッション系テナント

施設入り口中央のイベントスペース。来館を促す催しに力を入れている

 「エキスポシティ」は三井不動産が管理・運営する物件で、キーテナントの「ららぽーと」を中心に約300のショップで構成する。「ららぽーと」の店舗面積は約7万1000㎡で、同社のショッピングモールの中でも大きな部類に入る。新コンセプトの水族館「ニフレル」や体験型の英語施設「オオサカ イングリッシュ ビレッジ」など、エンターテインメント施設を積極的に採り入れている点が特徴だ。

 

 細部ではいくつかテナントの入れ替えが発生したが、主要なテナントは変わっていない。けん引役になっているのは、ファッション系テナント。トレンドの後押しもあり、アウトドアやセレクトショップ系が特に好調だ。そのほか、ユニセックスショップも健闘している。アンカーテナントの「ザラ」や「ユニクロ」「コロニー」などが、顧客を取り込んでいる。今年4月に出店した「H&M」も健闘している。「無印良品」は家具やレトルト食品などの動きがいい。ファミリー層の来館も多いため、「アカチャンホンポ」や子供服ブランドも好調だ。

 

 ファッション系テナントを訪れる客層の感度が高く、積極的にトレンドを発信するブランドへの関心も高いようだ。8-9月ごろ、秋の立ち上がり時には、アウトドア系ショップを中心に、ダウンジャケットなど冬物のアウターがよく動いた。ファッションに関心がある実需型ではない購買動向である。セレクト系ショップでは、「フリークスストア」や「ユナイテッドアローズ」「ナノユニバース」「アーバンリサーチ」「シップス」などが好調テナントだ。

 

 アウトドア系、スポーツ系テナントも充実している。スポーツ量販店の「スーパースポーツゼビオ」のほか、ファッションブランドとして認知されている「ザ・ノース・フェイス」や「デサントブラン」、「アディダス」「コロンビア」などが出店する。レディス発の「ナージー」も軒を並べている。

カギを握る来館促す取り組み

ニューファミリーやファッション好きが多い「エキスポシティ」

 今年10月、全館共通の販促として、各テナントの“別注品”を集約した発信を行った。「ららぽーと」1階フロアの共用スペースを活用し、ショップで協業した新製品を展示・紹介した。SNSが浸透した昨今、関心があればエンドユーザーは能動的に情報を収集してくれる。今回の“別注”紹介もそうした背景を念頭に置いた販促で、「ブランドや新製品に気付いてもらえる良い機会になった」(栗林環館長)ようだ。

 

 4年前の開業当初、三井不動産は「エキスポシティ」の中期的な経営目標について、年間売上規模600億円、来館客数1700万人を1つの指標に掲げていた。売上規模はまだ到達できていないが、年々着実に増えてきているようだ。今年11月には、隣接した万博記念公園にある「国立民族学博物館」と提携し、「エキスポシティ」内でワークショップを開催した。また、同区画にあるJリーグチーム、ガンバ大阪のホームスタジアムがある縁で、所属選手を招き、サッカー教室も開催した。恒常的な来館を促す取り組みを重視している。

 

 5年目に突入したエキスポシティ。今後は、「ニューファミリーなど、足元商圏の来館者が増えつつあるので、春先や秋口など行楽シーズンを中心に、新規客の開拓を強化する」(栗林館長)。テナントの構成面では、「食物販が足りていない」(同)と感じている。現在も「カルディ」や「久世福商店」など、10数店のテナントが出店しているが、機会をとらまえて、拡充していく計画だ。


 

 

樋口 尚平
ひぐち・しょうへい

 

ファッション系業界紙で編集記者として流通、スポーツ、メンズなどの取材を担当後、独立。 大阪を拠点に、関西の流通の現場やアパレルメーカーを中心に取材活動を続ける。

 

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