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2019.12.25

【FASHION X DtoC】「モノ」と「コト」で魅了する女性創設のDtoCブランドたち

 デジタルネイティブやDtoCという言葉はだいぶ聞き慣れた言葉になってきたと思います。台頭するこういったブランドは、まだまだこれから成長しようとしている出始めの注目ブランドや、大手企業を脅かすほど勢いを見せるブランドまでその規模は様々です。これまでに沢山のデジタルネイティブ、DtoCブランドの商品を試し、イベントに参加してきました。SNSでもエンゲージしてきましたが、その中でも今回は実際に商品を購入し、これは皆さんにも勧めたい、私がこれからもリピートしたいと思う「女性」が創設したブランドをご紹介したいと思います。

AWAY / アウェイ

創設者: ジェン・ルビオ、ステファニー・コーリー

 私がこのブランドと出会ったのは、まだ商品がひとつもなかった頃でした。「なんかNYの女性二人がスーツケースのブランドを立ち上げるらしいよ」というのを聞きつけ、ブランドの最初の商品であったキャリーオンラゲージ(機内用スーツケース)をオンラインで購入したのがきっかけでした。(当時はECのみ)その後ソーホーでポップアップを度々開催し、今では全米にポップアップショップを含め9店舗を持ち、2019年にはユニコーン企業へ仲間入りしました。

 

 旅好きな人は愛着のあるスーツケースブランドがあり、中には価格の高めのブランドもあるかもしれません。私がAWAYの虜になったのは、手が届く価格帯であること以外に、常に「旅」を身近な存在にしつづけるブランドとの繋がりにあります。つぶやきひとつにしても、インスタにせよ、たまに届くメルマガや、発行するトラベル雑誌にしても、”アウェイしたくなる”。つまり旅したくなる情報をビシビシと発信してくる部分に繋がりを感じるのです。

 

 モノよりコト、なんて言葉もありましたが、アウェイは「モノ」と「コト」どちらにおいても私たちの心を惹きつける魅力に溢れているのです。機能的で頑丈なことはもちろんですが、壊れてしまった際には新品に取り替えてくれる対応で、安心と信頼を与えます。AWAYを買った事がある人の多くは、このサイズの他に、あのサイズも買っておこうとなるのです。私も数日の出張や旅行には、キャリーオンラゲージを利用します。荷物が増えそうな海外旅行には、ミディアムサイズを愛用。AWAYはスーツケースを作り販売していますが、トラベルブランドです。近い将来ファッションやウェルネスにコレクションが拡大される事がわかっていて、これからも注目していきたいリピートブランドなのです。

Glossier / グロシエ

創設者:エミリー・ワイズ

 今となってはあまりにも有名なDtoCのコスメブランドとして成長したGlossier。AWAYに比べれば店舗数は少なめではあるものの、オンラインでもスムーズに買い物ができることから、こちらもユニコーン企業の仲間入りをしています。女性であれば、どんなにそのコスメブランドにハマったとしても、常にもっと自分に合う物がないかと探すのは普通なことだと思います。さらにひとつのブランドで、すべてを揃えることはなかなかないのです。

 

 コスメからスキンケア、最近は期間限定でアパレルや雑貨も販売するGlossier。私も日々使うメイクやスキンケアの商品を全てGlossierで揃えているわけではないですが、いくつか気に入ってリピートしている商品があります。リピートする理由にはもちろん商品を気に入ったこともありますが、AWAY同様にサービスの素晴らしさがその理由のひとつにあります。オンラインで購入した際、ちょっと質問があっても大抵15-30分、長くても1時間くらいで返信してくれます。オンラインなのにストア同様の満足なサービスを感じます。都心住まいならストアへ行くチャンスもありますが、多くの人は気軽には行けない訳で、そんな中オンラインで店舗を感じさせるカスタマーサービスチームを持っているのは、こちらも「モノ」と「コト」を兼ね備えたブランドなのです。

Outdoor Voices / アウトドアヴォイシス

創設者:タイ・ヘイニー

 「アスレジャー」という言葉を多く耳にするようになってから劇的に増えたアクティブウェアブランド。日々の生活に運動をする時間を取り入れ、フィジカルにもメンタルにも健康的なライフスタイルを目指す人が増え、ウェアを買うにもかなりチョイスが増えました。このOutdoor Voices(通称OV)をリピートしてしまうのは、あれこれと色々なブランドのウェアを買ったみたり、試着したりしてみても、やっぱりOVの着心地が良いと感じるところです。

 

 特に私は「スポーツ少女」だった訳でもなく、痩せたい訳でもないですが、OVの商品を着用して、身体を動かすことを楽しむための「レクリエーショナルウェア」というスタンスが私にとって気持ち的にもマッチするのです。高いゴールを目指してトレーニングするだけではなく、ジョギングでもヨガでもハイキングでも、犬の散歩でも、”何かをやってみよう”、“先ずは身体を動かそう”という#doingthing というブランドミッションに多くの人が共感を抱いています。OVもウェアという「モノ」だけではなく、身体を動かすという「コト」が共存しているのです。

Great Jones / グレイトジョーンズ

創設者:Sierra Tishhart , Maddy Moelis

 個人的に色々なキッチン系商品で良いブランドが出てこないかなと思っていた頃、出会ったのがGREAT JONES。ブランドのプロダクトデザイン、マーケティング、コンテンツのエディトリアルを担うのは、New York Magazine誌のオンラインサイトの食情報欄Grub Street(グラブストリート)のシニアエディターとして活躍し、食業界のアカデミー賞とも言われるジェイムズビアードアワードにて賞を受賞するほど食に精通する創設者の一人、Sierra Tishhart氏です。一方のMaddy Moelisは、ブランドのオペレーション、サプライチェーン、そしてファイナンスなどいわゆる運営の部分をメインに担当し、ブランド創設前はWarby ParkerやZolaなど成功するDtoCブランドでのキャリアを積んできた人物だそうです。

 

 若いながらにキャリアを積んだ女性たちが創設したモダンなキッチン商品のブランドということもあり、ローンチ当初からすでにインスタグラムや、同じDtoCブランドに関わる人々の間で話題に。私もキッチン器具を買い換えるならばグレイトジョーンズと決めていました。流行のものだからと飛びつくのではなく、本当に替え時が来るのを待ちわびました。そしてこのホリデーシーズンに必要な物だけをようやく注文したところです。創設者の二人は、例え目玉焼き一つでも人は、“料理を通じて作るということの喜びを感じることが出来る”と信じ、このブランドをスタートしたそうです。

展開される商品のデザインは、料理本に出てくるイラストからインスピレーションを受けたといい、ヴィンテージ風なところもありながらも、モダンさも兼ね備え、不思議とこのフライパンを使って、次は何を料理しようと思わせてくれるのです。

 

 購入するまでは正に、GREAT JONESのダッチオーブンやフライパンなどを使用し、色々な人が美味しそうな料理をインスタグラムにシェアしているのを都度見ていました。鍋の中身を写した写真の中は、一体なんだろう?と思うものもありましたが、どんな味なのだろうと想像し、ワクワクしていたのを思い出します。このブランドも同じで、「モノ」より「コト」ではなく、商品という“物”にも深い価値観をもち、そして料理をするという“事”の楽しい体験を与えてくれます。

 

 

 「モノよりコト」という言葉が注目されたのにも理由があり、それは間違ったことでもなく、実際にコトというエクスペリエンスから入ることで商品というモノに関心を抱いてもらい購入へと繋ぐ流れは今も増えているのではないかと思っています。
ただ、「本当に凄いな!」と感心するブランドで、特に女性が創設したDTCブランドには「モノとコト」の場合が多いなと個人的に最近感じます。

 

 

 最近の多くのDtoCではブランドの認知度を広げるため、Refer Program(リファープログラム)といういわば、お友だちを紹介することで、紹介者、そして紹介を受けた人に少し割引きをしてくれるというサービスを行なっています。今回ご紹介したブランドでもリファープログラムを用意しています。

 

 

 こうしたサービスを利用したことがある方もいらっしゃると思いますが、一つ注意点としては、紹介割引を利用する際に、提供されるリンクでブランドのウェブサイトにアクセス後、会員登録とお買い物を一度に完了することが大切です。途中までやってブラウザを閉じてしまうとうまく活用できなかったことがあったのでご注意ください。リファープログラムは、ECサイトの活性化にも有効的です。ブランド、紹介する人(既存顧客)、そして紹介してもらった人(新規顧客)全ての人にとってWin/Winのサービスなのです。


 

 

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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