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2019.10.09

企業アナリストも想定外?ディスカウントストア「ターゲット」成長の理由を検証してみた

 過去20年に渡る著名デザイナーとのコラボを記念し、限定アニバーサリーコレクションを発表して話題になった「ターゲット」。1902年に米ミネアポリスで創業し、現在、米国ではウォルマートに次いで2番目に大きいディスカウントストアです。アパレルやファッション雑貨のほか、キッチンやバス関連、おもちゃ、電化製品、ドラッグストア、食料品などを総合的に扱い、ほしいものは何でも一通り揃うストアです。

 

 調査会社Placer.aiによると、第2四半期の既存店の売り上げは前期比3.4%増の184億2000万ドルとアナリスト予想(182億5000万ドル)を上回る結果となりました。ECの収益は同34%増。また、バック・トウ・スクール(新学期商戦)の終盤である8月12日の週は、顧客率が前年の27.5%を上回り猛烈なペースで急増しています。投資家の懸念を吹き飛ばし、様々な戦略が動き始めているようです。

 

 店頭では最近、若年層のニーズに合わせた要素がたくさん散りばめられています。多くの小売り店が店舗を縮小し大量閉鎖を行っているなか、“ビジネスの中核は店舗にあり”と言わんばかりに多額の資金を投資している戦略も非常に興味深いです。

士気も高まる ホリデー商戦の臨時雇用

参考:米国企業の2019年ホリデーシーズンの臨時雇用予定

企業名 カテゴリー  雇用者数
MACY’S(メイシーズ) 百貨店 8万人
GAP INC.(ギャップ) アパレルチェーン 3万人
MICHAEL’S(マイケルズ)  クラフト・ストア 1万5,000人
KOHL’S(コールズ) 百貨店 9万人
PARTY CITY(パーティー シティ) パーティー・グッズ 2万5,000人
TARGET(ターゲット) ディスカウンター 13万人

 米国の小売り企業は毎年、ホリデーシーズンに雇う労働者の雇用計画を発表します。Indeedによるホリデーシーズンの採用に関する調査によると、8月の求人検索数は前年同月に比べて比100万人当たり11%増加しています。ECの増加に伴い、倉庫人員や改装のポジションにシフトしているようですが、貨物運送会社のUPSはホリデー向けにすでに10万人の非常勤務雇用を決定しました。

 

 ちなみにターゲットはその数を超える13万人以上の雇用を計画。内訳は、流通・配送センターに8,000人配置するほか、ドライブアップ(顧客がECで注文した商品を店舗の駐車場で受け取れるサービス)や、店舗からの注文処理などEC関連の臨時労働者を昨年の2倍雇用。また、この時期に働く社員への感謝プログラムに200万ドルを投資し、ギフトカードの贈呈や地元の慈善団体への寄付を行うなど、1年の最も忙しい時期の士気を高め、顧客に素晴らしい体験を提供するための決意表明を行っています。

店舗を配送センターとして活用

 最近の小売り業界では、店舗は単なるストアではなく、オンライン注文に対して迅速に配送するための“流通センター”としての役割を担っています。ターゲットはこの分野でいち早く取り組んだ企業として知られており、現在、オンライン注文の80%は店舗から配送されています。ターゲットの客層の4分の3は、店舗から16キロ圏内にあるため、地元の配送センターとしてうまく機能しているというわけです。2017年に買収した即日配送のスタートアップ「SHIPT」の買収により、注文から2日以内の無料配送が可能で、その半数は1日で到着しているそうだ。迅速な配送ができるだけなく、通常の倉庫から配送するよりも40%もコスト削減ができているそうです。

 

 しかし、店舗からより多くのアイテムを出荷するようになると、十分なスペースの確保や、全商品カテゴリーにおける正確な在庫管理など、多くの課題をクリアする必要があります。実はこのほど、ターゲットのバックルームがたくさんの商品で溢れかえり、労働の安全性を疑われるというようなニュースも伝えられました。

ファッションから家具まで 百貨店のシェア奪うPB戦略

トゥイーン(8~12歳女子)にフォーカスした「モア ザン マジック(More Than Magic)」

 ターゲットはここ数年、アパレル、ファッション雑貨、ホームウエアなどの商品を増やしており、そのほかのあらゆるものを揃えた店舗として、百貨店のシェアを奪う脅威となっています。ハンターやヴィンヤード・ヴァインズなど人気ブランドとのコラボコレクションの展開により、今までターゲットで洋服を買うことに抵抗があった客層の認識も変化し、新たな客層の開拓にも繋がっているのです。また、若年層は無名のブランドを購入することに抵抗がなく、値ごろ感のあるPB商品への需要も高まっています。レディス・メンズ・キッズのアパレル・ファッション雑貨から、ボディケア商品やクリーニング用具などの生活必需品、ペット商品、家具まで、幅広いアイテムでPB商品の展開しています。

 

 今年7月にスタートした「More Than Magic」は、パジャマパーティーや、ダンス、ジムクラスなどのシチュエーションを想定した初のライフスタイルブランド。8~21歳のトゥイーンを対象に、アパレルや文具、テックアイテム、コスメなど500型以上で構成されています。価格は1~29.99ドル。入浴剤や美容アイテムは防腐剤を使用せず、音量制限を施したイヤホンなど、消費者のニーズに応えた製品を数多く揃えています。

 

 そのほかにも、需要の高まるビッグサイズの「Ava&Viv」、標準サイズから38DDDサイズまで揃った水着ブランド「Shade&Shore」、トレンディーでハイクオリティーなキッズアパレル「Cat&Jack」、キャンパスライフを提案した「Room Essentils」、ミレニアル層の所有率が最も高いといわれるペットのアパレル雑貨「Boots&Barkley」など40種類のPBを展開しています。

 

 ターゲットの立地は、スーパーマーケットやホームデポなどが入る、路面に面した中級ストリップモールであることがほとんど。大型ショッピングモールのように、たくさんの店舗を歩いて回る必要がないのです。あらゆるものの買い物が一度に済み、スタイリッシュで値ごろ感があるPB商品も充実。さらに、忙しい時にはドライブアップサービスを利用して、車に乗ったまま商品をピックアップできるといった利便性の高さも消費者に支持されている理由のようです。

この記事のエクストラ版は「AIR」27号(2019年11月発刊予定)で
お読みいただけます

 

 


 

 

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