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2019.10.09

【本音で語るツール活用術】WEBマーケティングツール最前線 Vol.1――Web接客ツールSprocket

アパレルウェブ「AIR VOL. 25」(2019年7月発刊)より

written by 鎌戸隆輔(アパレルウェブ)

今回本音で聞いた人はこの人:
株式会社Sprocket 代表取締役 深田 浩嗣氏

 日頃デジタルマーケティングを実践する中で、気になったツールやサービスを提供している会社に突撃取材します!サービスの紹介で終わるのではなく、デジタルマーケティングのヒントになる様な、ここでしか聞けないインタビューをアパレルウェブ1のツールマニア、鎌戸がお届けします。

ポイント:

WEB接客は「属性」ではなく、「行動」を軸にシナリオを設定せよ!

取材するサービス:

WEB接客ツールSprocket

どういうサービス?

サイトに来訪するユーザー様の状況をリアルタイムで判別

One To Oneで接客を実施

コンバージョンを向上させるために顧客体験を改善

鎌戸:Sprocketはどういったコンセプトを持ったWEB接客ツールなのでしょうか。

深田:Sprocketの目的は「おもてなしのデジタル化」です。CVの最後、ワンプッシュをするWEB接客ツールと位置づけています。本来店頭などのオフライン上で実施している接客をオンライン上でも行うために、どうすればいいかという悩みを解決するために生まれたのがWEB接客ツールのSprocketです。アパレルでは店頭のショップスタッフができるコミュニケーションをオンライン上ではできません。単純にクーポンや商品の情報を話すだけのショップスタッフは店頭にはいなく、お客様の悩みやコーディネートの相談といったコミュニケーションが発生します。本来のOne to Oneコミュニケーションは、ただクーポンを配布するのではなく、こうした悩みを解決するコミュニケーションだと思います。そういったコミュニケーションをオンラインで再現するツールとなります。

鎌戸:WEB接客の意味をよく考えることが重要ですね。場合によってはただのクーポンを出せばよいという考えに至り、結局、想定した成果につながらないケースを耳にします。実際失敗しやすい運用方法ってあるのでしょうか。

深田:いくつかありますが、「お客様目線が足りていないため」失敗するケースは多い印象があります。たとえば、WEB接客としてクーポンを打ち出すことが考えられますが、お客様は常にクーポンを求めているわけではありません。ポップアップでクーポンを表示されると、むしろ売りつけられていると感じる場合もあります。クーポンを訴求するにしても、買おうか悩んでる人に訴求することが大事です。

 

 ポップアップはあくまで表現の形態で、出し方や内容、誰に出すのかはブランドによって変わるものです。ショップスタッフのコミュニケーションをオンライン上で表現していくことが、そもそものWEB接客なのでクーポンを出すこと自体が接客ではないと思います。オフライン上で考えるとそれらの告知は、店頭の看板などで済むものです。つまり、同じポップアップでも内容によっては、コミュニケーションの質が違うので、接客ツールなら接客を意識して使うという考えが大事です。

 

 あとは、試行錯誤して成功する仕組みなのでテストの回数がこなせるかが大切です。感覚値ですが、20回程度で4,5本の勝ちシナリオが生まれたら良い方だと思います。実際に1つのシナリオに対して、3回くらいのテストをしていて、テスト期間も1ヵ月程度を想定することが多いです。休日と平日では効果が違ったりするので、何度か傾向を見なければわからないところがあり、A/Bテストをやると1ヶ月程度かかるというわけです。このユーザー、このサイトで上手いくコミュニケーションは何になるのかということを中長期的に見つけていくことが重要となります。

鎌戸:ターゲットの年齢・性別といった属性によるコミュニケーションの違いはあるのでしょうか。

深田:そこまで影響はないですね。どちらかというとサイト内の行動が要因になることが多いです。逆に年齢や性別などで細かくセグメントしてしまうとデータのボリュームが少なくなりA/Bテストが難しくなります。たとえば、「初回訪問でカートに入れて、購買していない人に訴求しよう」など行動から読み解く方が良いと思います。実際にファッションECの中の行動だと、「お気に入り登録」を促すシナリオは鉄板のシナリオです。あとは、サイズ情報を見ていない人に「サイズに関する情報を表示する」といった方法も、よくあるシナリオですね。

鎌戸:属性で判断するより、行動で判断するということですね。そうなると業種問わず導入ができるのではと思うのですが、実際に導入する際、効果が出やすい企業の傾向はあるのでしょうか。

深田:企業の規模によって効果の良し悪しはありますね。何度も重複しますが、A/Bテストによる試行錯誤の繰り返しで効果が生まれてくるので、一定のボリュームでデータを取得できる企業でないと上手くいきません。目安としては月間でCVが数百件以上あるといいです。あとは、長い間ツールを利用し続けて頂けなければ意味がないので、成果を出した時にツールの利用費を回収できるか重要になってきます。利用費の5倍~8倍程度の売上向上が見込める企業であれば問題なく活用できると思います。

鎌戸:最後に、WEB接客ツールはさまざまなサービスがありますが、「Sprocket」が他社と違う点はどういったところなのでしょうか。

深田:弊社の場合、ツールを提供して導入会社様の自由にしてくださいといったスタンスではなく、どういうシナリオでWEB接客を活用していくべきかといった戦略の立案から成果の確認まで、接客ツールを運用するのに必要なことを全部お手伝いしています。つまり、お客様側ではタグを埋めてもらい、KPIを決めていただければ、弊社側でKPIを達成するためのシナリオを作成、PDCAを回させていただくようなモデルをとっています。

 

 弊社では経験から生まれた鉄板のシナリオを100種類以上持っており、導入して頂ければこちらで運用方法を考え、戦略を練っていくイメージです。経験や時間が無い方が、実際にWEB接客ツールを使ってどうこうするよりも、弊社のサービスを導入してもらい、運用をお任せいただければ、試行錯誤する時間も削減できます。実際にWEB担当者様によっては、そもそもWEB接客の概念を知らないといったケースも過去にありました。そういった、ご担当者様自身の力量が求められる問題や担当者自身のリソースを踏まえた上で導入していただいても問題ない仕様となっているところが他社のツールやサービスと比較して異なる点だと思います。

株式会社Sprocket
設立 2014年4月
代表取締役 深田 浩嗣
所在地 〒153-0043
東京都目黒区東山1-2-7 第44興和ビル2F
業務内容 統合Web接客プラットフォーム「Sprocket」の開発・販売・運用
公式サイト:https://www.sprocket.bz/

アパレルウェブ「AIR VOL. 25」(2019年7月発刊)より

 

 


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