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2019.07.10

ポスト・ショッピングモールは空港!観光地化の可能性も 急成長するエアポート・リテール

 お酒やコスメ、ラグジュアリーな高級ハンドバッグまで、世界のエアポート(空港)は今や、ショッピングハブとして発展し続けています。ワシントン・ポストと、航空業界専門メディア・エアポートレベニュー・ニュースによる調査「ARN Fact Book」によると、米国の旅行客は2017年、空港の小売り店で17億ドル以上を消費。世界の免税店とエアポート・リテール業界の同年の売上高は、前年比10%増の760億ドルに達し、過去最高売り上げを更新しました。北米の旅行者は、搭乗までに平均90分の待ち時間があるそうで、集客に苦労するデパートに比べると、交通量が安定しているのも大きな利点です。

エアポート・リテール:空港内の店舗、機内購入、免税店及び、空港でのオンライン注文を含む

高級ブランドがエアポート・リテールに賭ける理由

空港に急増する自動販売機

 ルイ・ヴィトン、ディオール、プラダ、サンローラン、バレンシアガなどのハイブランドが続々登場――。データ・サークル(The Data Circle)社の調査によると、米国の百貨店2018年の売上高は前年比4・1%減の1,490億ドルと低調ですが、その一方で、空港における小売りは魅力あるターゲットとして期待が高まっています。グッチは2018年、11カ所の売り場を追加しました。エスティ ローダーは、全世界のエアポートやその他ハブでの販売が好調で、2018年には空港での売り上げが、初めて総売り上げの18%に達し、北米の百貨店での売り上げを超えました。グッチや世界最大の蒸留酒ブランド・バカルディなども、空港ターミナルでの販売を拡大しています。

 

 国際航空機関協会(The International Air Transport Association)によると、昨年空港を利用して旅行に出かけた人は全世界で40億人以上となり、2035年までに約72億人に倍増すると予測。特に魅力的なのが、中国、インド、ロシア、ブラジルなど、急成長する中流階級を持つ新興市場からの旅行者。中国でパスポートを持っている人は約9%程度ですが、1日に推定7,000人の中国人観光客が国際線を利用しているといいます。とてつもなく大きな可能性を秘めたマーケットといえます。

ユニクロがパイオニア!?空港で広がる自販機ビジネス・ゲーム

 空港に小売りスペースを求める企業がこの10年で急増していますが、すべてのサービスが成功するかというとそうではないようです。ニキビ治療のプロアクティブは、「購入するのが恥ずかしい」という理由から、あまり受けなかったようです。

 

 ユニクロは2017年、フリースやヒートテック、パッカブル・ダウンなどを揃えた自動販売機サービスをサンフランシスコの空港でスタート。限られたスペース、無人の24時間営業というサービスが、旅行客には新たな体験としてマッチしたのでしょう。月に1万ドルを売り上げていると話題になりました。これがきっかけとなったのか、その後もユニークな自動販売機が続々登場しています。ラスベガス国際空港では今春、12種類以上の自動販売機を設置しました。

カップケーキから家電まで
シカゴ、サンフランシスコ、ニューヨークなどの空港に設置されている自動販売機

店舗・ブランド名 自動販売機の内容
ファーマーズ・フリッジ
Farmer’s Fridge
作りたてのサラダを自動販売機で販売。
現在シカゴを中心に75拠点
スプリンクルス・カップケーキ
Sprinkles Capcakes
ラスベガスの空港では、今年はじめに設置以来、1カ月に6,000個販売
ダラーシェーブクラブ
Dollar Shave Club
髭剃りのサブスクビジネスで有名。今年3月にニューヨーク・ラガーディア空港に設置された
シービーエス(CVS 米最大ドラッグストアチェーン。鎮痛剤は、自販機で最も売れている商品で、店舗の12倍の売り上げ。現在20の空港に設置されている
シュガーフィーナ
SUGARFINA
お土産にも最適なクマなどの形のグミ・キャンディーショップ
ベネフィット
BENEFIT
人気のコスメチェーン
ベストバイ
BEST BUY
米国の家電チェーン

 

健康志向の旅客にアピール フィットネス・ジムも進出

空港内にある「ローム・フィットネス」の店舗

 昨今の空港では、スパやマッサージサロンが備えられていることがあります。また、何時間ものフライトに乗る前に、ストレッチをしている人を見かけることがありますが、待ち時間を利用して、トレーニングができるのであれば、非常に有意義だと言えます。

 

 ボルチモア・ワシントン国際空港に2017年にオープンした「ローム・フィットネス(Roam Fitness)」は、シャワーやヘルシーな食事を提供しているほか、パートナー契約を結んでいるルルレモンやブルックスなどのウエア&シューズの貸し出しも行っています。会員であれば、ジムウエアのレンタルは無料。ウエアなどを購入することもでき、使用したウエアを真空パックしてくれるサービスも行っています。ちなみに1日の利用料金は25ドル。今年はサンフランシスコとJFK空港にもオープンする予定です。

 

 フィットネスにお金をつぎ込む人口が増えるにつれ、空港でのジムの需要も高まっていきそうです。

 

 スマホやタブレットでニュースを読むことが一般化していますが、待ち時間が生じる特殊な空間であるため、空港ではいまだ本屋が繁栄しているといいます。普段はオンラインで買い物しても、時間があると実店舗で買い物したり、新たな体験を求めるというのは興味深い傾向です。

 

 米ユニクロでは、オンラインへの移行に伴い、通常の店舗スペースが減床傾向にあります。しかし、観光地への出店は積極的に行っています。確実に人が集まり、お金を使う可能性のある場所への出店は、手堅い選択といえるでしょう。空港内のリテールは政府機関による運営となるため、小売りを始める場合は審議が必要となります。認可を受けるのは容易ではありませんが、安定した交通量が保証された魅力ある市場として、エアポート・リテールをターゲットにする企業は急増しているようです。


 

 

マックスリー・コーポレーション
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