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2019.04.24

【ミラノサローネ2019 ハイライト2】ファッションブランドがデザインウィークに参加する理由とは

取材・文:田中美貴

 元々はインテリアの見本市から派生して始まった「ミラノサローネ」。最近は一大デザインウィークへと発展し異業種の参加も目立つ昨今だが、その中でも早い時期からコラボを行っていたのがファッション業界だ。そもそもファッションブランドにはホームラインを持つところも多いので、その流れはある意味必然的ともいえるだろう。例えば「アルマーニ(ARMANI)」、「フェンディ(FENDI)」、「エトロ(ETRO)」、「ヴェルサーチェ(Versace)」、「ミッソーニ(MISSONI)」、「ディーゼル(Diesel)」などのホームラインは、ファッションブランドのインテリアラインというよりは、独立したインテリアブランドとしてより存在感を強めている。これらのブランドの中には見本市の本会場に大きなブースを構えるところもあり、または市内自社ショールームにて新作展示を行うところもあるが、いずれにしてもコンセプチュアルな展示やインスタレーションというよりは、新作をしっかり見せる形をとっているのが最近の傾向だ。

■ディーゼル

■マリメッコ

 また「エルメス(HERMÈS)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」、「マルニ(MARNI)」などは毎年壮大なインスタレーションの中、デザイナーやアーティストとコラボして実際に製品化されるものを美しく展示している。今年、「エルメス」は「ロー・マテリアル」をテーマとー石の迷路のような展示の中でホームコレクションの展示を行った。また「ルイ・ヴィトン」は著名デザイナー達が「旅」をテーマにデザインした「オブジェ・ノマド」シリーズの新作を発表。「マルニ」は「マルニ・ムーン・ウォーク」というテーマでコロンビアのアーティストによるカラフルな家具類を展示し、会場にもショップを設けその売上金の一部を神経腫瘍の子供達のために寄付するプロジェクトも行った。さらに今年初めて「ディオール(Dior)」がディモレスタジオとのコラボでカプセルコレクションをした発表したのも話題だった。

■エルメス

  • © Studio des fleurs

  • © Studio des fleurs

  • © Studio des fleurs

  • © Studio des fleurs

  • © Studio des fleurs

  • © Studio des fleurs

  • © Studio des fleurs

  • © Studio des fleurs

■ルイ・ヴィトン

  • ©STEPHANE MURATET

  • ©STEPHANE MURATET

  • ©TOMMASO SARTORI

  • ©STEPHANE MURATET

■ディオール

 その一方で「トッズ(TOD’S)」や「コス(COS)」のように自社商品は前面に出さずにインスタレーションを行うブランドもある。「トッズ」はメンズのプロジェクト「トッズ ノーコード」とアンドレア・カプートとのコラボで、「シェルター」をテーマに「ノーコード」の哲学を融合させた「トッズ ノーコード シェルター インスタレーション:ストーリーズ・オブ・コンテンポラリー・ライフ」という展示を行った。「コス」はアーサー・マモウ・マーニーとのコラボで、3Dプリントに寄るバイオプラスティックモジュールで出来た通路を作り、非日常感のある旅を演出したインスタレーションを発表した。

■マルニ

  • Marni, Moon Walk

  • Marni, Moon Walk

  • Marni, Moon Walk

  • Marni, Moon Walk

  • Marni, Moon Walk

  • Marni, Moon Walk

  • Marni, Moon Walk

  • Marni, Moon Walk

  • Marni, Moon Walk

  • Marni, Moon Walk

  • Marni, Moon Walk

  • Marni, Moon Walk

■ロエベ

■トッズ

■コス

 または、イタロ・ロータの代表作を展示した「サルヴァトーレ フェラガモ(Salvatore Ferragamo)」やマリオ・ベッリーニの椅子を展示した「サントーニ(Santoni)」のように、ミラノサローネ期間中のブティックのインテリアやウインドーディスプレイで、デザイン界とコラボするブランドもある。

■サルヴァトーレ フェラガモ

■サントーニ

 そういえば、ジャンフランコ・フェレしかり、フセイン・チャラヤンしかり、もともとは建築を学んでいたファッションデザイナーも多い。コラボの形は様々あれど、ファッション界とデザイン界の結びつきは切っても切れないものとなっているようだ。

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