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2019.01.30

マン/ウーマンがトラノイを追い抜き出展者数でナンバー1に 19-20年秋冬パリ・トレードショー

マンの主会場となっているパビヨン・ヴァンドーム

 2019-20年秋冬シーズンのパリメンズ・ファッションウィークは、2019年1月15日から開かれ、併せてトレードショー、ショールームも開催された。「トラノイ・ウィメンズ・アンド・メンズ(TRANOI Women’s & Men’s)」は前年同期2会場だったが、今回はパレ・ド・ラ・ブルス会場1カ所所に集約され、逆に「マン/ウーマン・パリ(MAN/WOMAN PARIS)」はヴァンドーム広場の2会場に加えて新たにパビヨン・カンボン会場も使用し3会場となり、出展者数でもトラノイを上回って、ナンバー1の地位を獲得した。日本からも多くのブランドが出展したが、トレードショーの他にもマレ地区で東京ファッションアワードの「ショールーム・トーキョー(showroom.tokyo)」、メンズ合同展「ジャンブルトーキョー(JUMBLE TOKYO)」の「ショールーム・ジャンブル・パリ(SHOWROOM JUMBLE PARIS)」「ジャパニーズ・イン・パリス(Japanese In Paris)」などもコレクションを披露した。またファーストセッションの「フーズネクスト(WHO’S NEXT)」が、ポルト・ド・ベルサイユ見本市会場で開かれた。

137ブランドが参加したマン/ウーマン

業界関係者には馴染みのパビヨン・カンボン会場はウィメンズも含めたマン/ウーマン

 マン/ウーマンは1月18~20日、出展者数を大幅に伸ばし、137ブランドが参加した。前年同期比で30.5%増、前回比でも34.3%増となった。カンボン会場にウィメンズも展開するブランドを集め、ヴァンドーム広場エリア(ホテルデヴルーとパピヨンヴァンドームの2カ所)をメンズのみの会場構成と改めた。カンボンは以前、「フランス婦人プレタポルテ連盟」が主催する服飾雑貨のトレードショー「ザ・ボックス(THE BOX)」が開かれていた所でもあり、馴染みの会場となっている。

新機軸打ち出すトラノイ

1会場のみのトラノイ

 一方トラノイもマン/ウーマンと同日程で、131ブランドが参加し、前年同期比18.1%減、前回比5.8%減となったが、主催者はこの1年「セレクションを強化し絞り込んでいる」とも話していた。併せてほぼ完全な強制導線が引かれ、移動が簡単ではなくなった点も大きな変更点だった。別に「ロンドンショールーム(LONDON SHOWROOM)」のみで構成する「トラノイ・ウィーク(TRANOI WEEK)」も1月17~22日、バスチーユ広場近くの会場で開催され、この出展者を加えるとトラノイがマン/ウーマンを少し上回ることになるが、ショールームという性格上、本稿ではカウントしていない。

トラノイの1階中央には「オンリー・アット・トラノイ」のコーナーが設置された

 今回のトラノイで大きく変化を感じたのは、1階中央部に「オンリー・アット・トラノイ(ONLY AT TRANOI)」という若手や新進ブランドのカプセルコレクションを集めたエリアを設け、27ブランドが出展した点だ。1月16日~2月4日には、ギャラリーラファイエットとコラボし、同店1階でのポップアップショップを開催しており、「BtoB、BtoCのダイナミックな合体」と説明している。

ギャラリーラファイエットで開かれている「オンリー・アット・トラノイ」ポップアップショップ

 またトラノイでは、以前試みたが中止したバーチャル展示会「ビートゥシー(B to SEE)」以降、再び同様のデジタルプラットフォーム「トラノイ・オンライン(TRANOI ONLINE)」をスタートさせていた。8つの言語で利用でき、注文サイクル全体の管理、請求書発行および販売管理、納品書、インスタントメッセージなどの機能を有しており、展示会中にその場でオーダーしない傾向をフォローし、「このプラットフォームはトレードショーでもあり、ブランドとバイヤーの両方に多くの時間を節約する実用的なツールである」として活用を促している。

 

 さてそんなの中、多くの日本ブランドがチャレンジしており、その一部を紹介していくとともに、ショールーム・トーキョーとフーズネクストの概況も後述する。

 

  • 手袋の産地、香川県東かがわ市から2回目の出展となる「スワニー(SWANY)」(マン/ウーマン・ヴァンドーム広場会場)

  • アバハウスインターナショナルの子会社アウターリミッツによる「ナイジェルケーボン(Nigel Cabourn)」(マン/ウーマン・ヴァンドーム広場会場)

  • 久山染工の海外戦略ブランドとして初出展した「ナイン・エム(9M)」 (マン/ウーマン・ヴァンドーム広場会場)

  • 3回目の出展となる「ゴールドウィン(GOLDWIN)」は、グローバル本部が核となって展開する(マン/ウーマン・ヴァンドーム広場会場)

  • フランスとの共同ブランドとして立ち上がり、初出展した「ジンジ・メイド・バイ・シャトルノーツ(JINI MADE BY Shuttle notes)」(マン/ウーマン・ヴァンドーム広場会場)

  • ジャンブル・パリから卒業して出展を果たした「ライディング・ハイ(Riding High)」(マン/ウーマン・ヴァンドーム広場会場)

  • 6回の出展実績を誇る「ムーンスター(MOONSTAR)」(マン/ウーマン・ヴァンドーム広場会場)

  • 聖林公司の子会社、外人公司が展開する「ガイジンメイド(Gaijin Made)」 (マン/ウーマン・ヴァンドーム広場会場)

  • ジャンブル・パリから卒業してトレードショーに復帰した「ファンダメンタル(FDMTL)」 (マン/ウーマン・ヴァンドーム広場会場)

  • カプセル・マレなどの出展実績がある「セヴシグ(Seveskig)」(マン/ウーマン・ヴァンドーム広場会場)

  • いつも混雑している常連出展の「ナナミカ(nanamica)」(マン/ウーマン・ヴァンドーム広場会場)

  • 岡山県児島のジャパンブルーは従来出展させていた「ソーライブ(SOULIVE)」を改変して「セット・インディゴ・レーベル(Setto Indigo Label)」として出展(マン/ウーマン・ヴァンドーム広場会場)

  • 初出展を果たした眼鏡・サングラスの「アヤメ(ayame)」はオリジナルの色出しに定評がある(マン/ウーマン・カンボン会場)

  • 奥山メリヤスの「バトナー(BATONER)」はニットファクトリーの強みを生かす(マン/ウーマン・カンボン会場)

  • メンズ・ウィメンズのシューズを披露した「トゥ・アンド・コー(To & co)」(マン/ウーマン・カンボン会場)

  • トラノイ1階ホール

  • トラノイ常連の帽子ブランド「カシラ(CA4LA)」は服飾雑貨のため、幅広いバイヤーが来場するトレードショーの性質を有効活用している(トラノイ)

  • 岡山県井原市から初出展したデニムの「クリプトメリア・ジャポニカ(CRYPTOMERIA JAPONICA)」(トラノイ)

  • すでに「ファガッセン(FAGASSENT)」で輸出実績のある青木被服が着物とデニムをアレンジして初出展した「デニム・キモノ-プリ・ド・ブドウ(DENIM KIMONO-PRIX DE BODOU)」(トラノイ)

  • 自社ショールームもマレ地区で開催し、既存、新規の両睨みで構えるニットの「サイドスロープ(SIDE SLOPE)」(トラノイ)

12ブランドが参加した東京ファッションアワードの「ショールーム・トーキョー」

  • ベーシックなものに当たりがあった「チノ(CINOH)」は、イタリアやアジア5~6件を獲得

  • 以前から「デジマ・ショールーム」で販売しており、そちらへの送客を試みた「ジエダ(JieDa)」は、今回の受賞で名前が知られ、コラボが安定的に進められたのがメリットだったという。

  • 以前から「デジマ・ショールーム」で販売しており、そちらへの送客を試みた「ジエダ(JieDa)」は、今回の受賞で名前が知られ、コラボが安定的に進められたのがメリットだったという。

  • 「ノブユキ・マツイ(Nobuyuki Matsui)」は「アポを事前に取っておかないとなかなか見てもらえない」としつつも、コンタクトが取れた点は良かったという。

  • 「ポステレガント(POSTELEGANT)」は「プレーンなものが多く、説明しないと分からないので、少しキャッチーさが必要」と感じつつ、セールスエージェント契約の有無が今後の課題という。

  • 「レインメーカー(RAINMAKER)」は「有難い機会を与えていただいたが、見てもらえる仕掛けを考えないといけない」と話していた。

  • 「アネイ(ANEI)」は大きなロゴをあしらったアイテムを前面にアピールしていた。

 東京都/繊維ファッション産学協議会が主催する「東京ファッションアワード」の「ショールーム・トーキョー」には第4回受賞ブランドの「ボディソング.(BODY SONG.)」「クオン(KUON)」「ソーイ(soe)」「ディガウェル(DIGAWEL)」「チルドレン・オブ・ザ・ディスコーダンス(Children of the discordance)」「エフシーイー(F/CE.)」の6ブランドと第5回受賞の6ブランドがコレクションを披露した。初出展組の中では、現地でセールスパーソンやエージェントと契約しているブランドが着実に顧客獲得を行っていたが、デザイナーのみでチャレンジしたブランドは、なかなか見てもらえるところまで至らず、スルーされてしまうケースが目立った。「ただ単に持ってくるだけではダメで、きちんと呼び込む準備をすべきだった」と気付かされたという声が多く聞かれた。至れり尽くせりというのは難しいかもしれないが、事務局として小売店へのアプローチ手法やエージェントの紹介など事前の情報提供が充実してくると、もっと成果が上がるのではなかろうか。

縮小気味でも圧倒的な出展者数を誇るフーズネクスト

  • フーズネクストの呼称で統一された

  • フーズネクストのニュータレントのコーナー

 フーズネクストは1月18~21日に開かれ、プルミエールクラスの名称を前回位から取り止め、フーズネクストの呼称に統一したようだ。出展者数は約1050で、ウィメンズのウェアでは従来からある「フェーム(FAME)」は残し、「プライベート(PRIVATE)」のコーナーは「レディ・トゥ・ウェア(READY TO WEAR)」と一般的なカテゴリーとなった。かつてのプルミエールクラスは、バッグ、アクセサリー、シューズ、ビジューなどのアイテム別展示となり、「ファッツ・アップ(WHAT’S UP)」というメンズのゾーンができていた。また「ニュータレント(NEW TALENT)」という若手クリエーターの集積も各カテゴリーにできていた。ホール7を使わなくなったため、規模縮小の感は否めないが、総じて集客は悪くない様子で、成果を上げているブランドの声も数多く聞かれた。


 

 

久保 雅裕(くぼ・まさひろ)
アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

 

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。複数のメディアに執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストア、国内合同展の企画なども行い、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。

 

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