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2019.01.29

スマートショッピングが加速しそう!「全米小売業協会リテールズ・ビッグ・ショー(NRF)」で体験した最新テクノロジー

 全米小売業協会が毎年開催している国際小売り展示会「リテールズ・ビッグ・ショー2019(NRF Retail’s Big Show 2019)」が今月13日から3日間に渡り、NYマンハッタンにあるジャビッツ・コンベンションセンターで開催されました。

 

 粉雪がちらつく中キックオフした今年のNRFビッグ・ショーでしたが、複数フロアに分かれるエキスポ会場には、99カ国・地域から3万7,000人の参加者が集まり、792社が展示を行いました。なかでも、小売りに関連する最新テクノロジーを紹介する「イノベーション・ラボ」では、カスタマー・エクスペリエンスとカスタマー・コンビニエンスという2つのテーマで、47社が新たなサービスを展示しました。

 

新サービス&テクノロジーが発表される「イノベーション・ラボ」

 スピーカーのセッションとともに人気なのが、出展企業が最新のサービスや商品を展示する「エキスポ」。サムスンやマイクロソフト、グーグル、アマゾン(AWS)、アリババなどのビッグネームが出展し、賑わいを見せていました。それと同様に盛り上がりを見せているのが、「イノベーション・ラボ」。新たなテクノロジーやサービスが紹介され、各ブースで熱い会話が飛び交っていました。

セルフ決済カートやAI無人キオスクの提案目立つ

 イノベーション・ラボの会場で特に足を止める人が多かったのが、ディープ・ラーニングとコンピュータービジョンを使ったスマートセルフチェックアウトカートcaper(ケイパー)」です。例えばスーパーマーケットなどで商品を手に取ると、カート手前にあるモニター裏のセンサーが、それが何の商品であるかを読み取り、次に、カートの先端についているセンサーが、その商品がショッピングカートに入れられたかを確認します。重さによって値段が異なる果物や野菜などは、カートに入れることによって自動的に重さを計算するようになっています。

 

 こうしたサービスを見た時、数年前ならば、「いつか実現するんだろうな」とぼんやりと考えていましたが、今は、こうしたサービスを利用した買い物が未来のものでなく、今まさに求められているのだと感じます。そう考えているのは私だけでないのだと、出展社の話に熱心に聞き入る来場者たちの姿でわかりました。

 米富士通は、セルフ・チェックアウト・ゲートのサービスを発表しました。こちらもショッピングカートを使い、買い物をし、会計の列に並ぶことなくセルフ・チェックアウトができるというサービスです。その中でも興味をひいたのは、決済を本人認証方法の中に、「手のひら認証」という選択肢があるというところです。個人情報を保護しつつ、時間短縮にもつながりそうです。

 アメリカでは週末の大型スーパーでよく見る光景ですが、レジが混雑しているとそれだけでうんざりしてしまいます。そんなときに、特にこうした選択肢があると便利だなと感じます。

 

 アメリカとはショッピングカートのサイズが異なるかもしれませんが、日本でもスーパーマーケットでの買い物の仕方の進化を体験するようになるのでしょう。また、ファッション分野においても、こうしたサービスが間違いなく取り入れられていくのだと感じます。

 

 アマゾンが2018年、本社がある米シアトルに無人決済店舗「Amazon Go(アマゾン ゴー)」をオープンしました。それをきっかけに、一般消費者にとっても無人キオスクが身近な存在になってきており、日本でも2018年、Suicaを利用した無人決済店舗の実証実験がJR赤羽駅のプラットフォームで行われていました。

 

 NRFビッグ・ショーでも、スタートアップ企業AiFi社が開発した無人決済店舗「ナノストア(NanoStore)」が話題となっていました。こちらは、ユニークなAIとセンサービジョンの技術を使ったセルフ・チェックアウトのキオスク。空港や駅などへの導入はもちろん、米国だと、アパートのビルディング内や、オフィス、大学の学生寮などでの需要が高まりそうです。

 

 会期中にAiFi は、ポーランドのコンビニエンスチェーン「Zabka(ジャブカ)」とパートナーシップを組み、サービスを導入していく計画が発表されました。

 

 私がAiFiのスタッフとエキスポ会場で話した際には、「ファッションブランドならば、ポップアップショップやイベントを開催する際に有効的に活用できる」と提案してくれました。AiFiのストアフォーマットを利用すれば、コンテナーのような四角いスペースを、レゴブロックのように、自由自在に組み合わせることが可能。独自フォーマットで店舗のスペースが作れるのは、ファッションブランドにとってもユニークなことですし、ブランドの個性が表現できそう。近い将来どこかのブランドが、ポップアップショップなどで実践してくれそうな気がして、とても楽しみです。


 

RINA  

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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