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2014.05.14

ミレニアルズ世代の消費動向

 “Dying Shopping Mall”という言葉を頻繁に聞く様になったが、アメリカのショッピングモールの定点観測をして来て、切実に感じること。本当に買い物している人が少なくなった。 モールでは様々なトランスフォーメーションが行われ、アップスケールな店作りが行われているまっただ中だが、かつてファミリーで一日を過ごし、10代のキッズ達がたむろしていた社交場として集まっていたあの頃の光景ではない。東海岸のショッピングモールの中でも、最大の 集客力を誇って来た、ガーデンステートモールでさえ、様子が違う。最も変化を感じるのが、やはり10代の消費者や、 2020年に米国の消費の40%を支えることになる、最大の消費者層、ミレニアルズ世代がモールに行かなくなったこと。 現代の小売店が抱えるトラブルの一つ、ミレニアルズの消費動向について様々な調査が行われていますが、どうすれば、 この世代の消費を促すことができるのか取り上げたいと思います。

ミレニアルズ世代の「リバースショールーミング」傾向

 ご存知の方も多いと思いますが『リバースショールーミング』は、消費者がオンラインで商品を吟味してから、実店舗で購入するというショールーミングの逆の現象。 Harris Poll 社によると、46%の米国の消費者が、ショールーミングを行っているのに対し、69%は、リバースショールーミングを行っている。 中でもミレニアルズ世代(18~35歳)では、20%がオンラインで購入、50%はオンラインでチェックしてから実店舗で購入。リバースショールーミングが行われる理由としては、①実店舗が、無料のWi-Fi サービスを積極的に行っていること。店内で価格をチェックされる事は好ましく無いが、消費者とストアを結びつける上で不可欠。②モバイルアプリを通じて、デイスカウントが得られ、更にポイントが加点されるサービス。③『ノードストローム』が行っている様な、ピンタレストの人気商品を店頭でプロモート。オンラインのトレンドをオフラインに。④オンラインでオーダーした商品を店頭でピックアップ。⑤商品知識豊富なスタッフを育てることによるサービス向上。⑥iPad、iPhone を利用した決済システム、無人で必要なサイズを試着室に運ぶシステム体験など、新しいテクノロジーの導入などがあげられる。

ミレニアルズ世代による、モールのトラッフィク低下と買わない傾向

 店に行かずとも、24時間、指1本で、何千という商品を閲覧することが出来る時代、ビッグセレクションを前に、ど っちつかずで優柔不断になる傾向が強い。 The intelligence Group が、18 ~34歳の消費者1300人を対象に行っ た調査によると、72%が実店舗で買い物をする前にオンラインでチェックするが、50%は実際には買わない、さらに36%は、必要な物だけしか買わないという。どうしても欲しい!という衝動が極端に低い。また、お気に入りのブランド 数店舗のためだけに、ただ広くて、退屈なショッピングモールで時間を過ごしたくない、それほど魅力を感じていない。

“ JUST FOR ME” プロダクトと“脱マス化”

 アメリカでは、自分のイニシャルや好きな言葉にカスタマイズできる、ジュエリーや洋服が人気ですが、ネット上でブラウズする、お気に入りのブランドは、同時に多くの友人達も目にしている。 誰もが記憶にある洋服ではなく、“自分だけ”のエクスクルーシブや、友人達が着ている物とは異なるクオリテイの物を好むのがこの世代。 ナスティギャルのヴィンテージセレクションや、アーバンアウトフィッターズの“URBAN RENEWAL”など、最近の若い世代が、希少価値の高いヴィンテージ商品のデザインを好んでいることや、『SUPREME』で販売された限定商品に長蛇の列騒ぎをするのも理解できる傾向と思えます。

「airbandb」(https://www.airbnb.com/日本版:https://www.airbnb.jp

RENTING・SHARING・TRADING・BARTERING!

 ミレニアルズ世代のライフスタイルをひも解く上で、重要なキーワードが『借りる・シェアする・交換する』。 先述のとおり、必要な物しか買わないという人が調査の半数。親達の世代に比べると、環境や社会貢献に対する意識も 強いこの世代は合理的でもある。 買わずに済む、あるいは、低価格でシェア出来るなど、物を売りたい小売店に取っては本末転倒な傾向が現れている。 高級ブランドのドレスやバッグがレンタルできる『RENT THE RUNWAY』、世界中 のアパートや個人部屋の提供者と旅人をマッチングさせるプラットフォーム『AIRBNB』、ラグジュアリーブランドをオンライン上でリセールできる『THE REAL REAL-ザ・リアルリアル』など、需要と供給を合理的にマッチさせたサービスが人気を呼んでいる。『AIRBNB』の様に、旅先でホストから様々な情報が得られたり、ホテルでは味わえないコミュニケーション体験が出来ることもこの世代が好む特徴の一つ。

 『Piper Jaffray』社が、7,500人の10代の消費者を対象に行った調査では、27年間の調査実績で初めて、飲食の消費が洋服を上回ったことが注目されています。 好きなレストランの調査では、1位がスターバックス。モールで買い物に時間を費やすよりも、スタバで過ごす社交の場、“スペース”への執着が強くなっていることが非常に興味深い。 レストランやバー、ネイルショップや美容院などを併設したライフスタイル店が登場しているのも頷ける。買い物以外にも目的を作り、参加者が集うことで新たな体験が生まれる。

 多くの小売店が、10代を含むミレニアルズ世代を追いかけ苦戦していますが、『シェアリングやバータリング』、『ジャスト・フォー・ミー』プロダクトなど、彼らの望むスタイルをどの様に取り入れるか、実際に購入する事よりも体験を好む、 ショッピングをエンターテイメントとして捉える世代が、注目せずにはいられない、デスティネーションストアとなるためのスペース作りが必要なのではないか。


 

 

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