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2015.12.09

インスタグラム・セレブリティという職業

 憧れのモデルさんやファッションブロガーさんのインスタグラムを毎日チェックされている人も多いと思いますが、今やSNSの世界では、一般の人々の中からも、パーソナルスタイリングやフィットネスライフなどを紹介する「インスタグラム・セレブリティ」が注目を浴びています。米国では、年間1億稼ぐと言われているブライアンボーイや、ブログの広告料のほか自身のシューズブランド、イベントへの出席などで、なんと10億円もの収入があるキアラ・フェラーリさんなど、プロのブロガーが存在します。その他、思わぬ収入を得ている人気インスタグラマーが続々登場していますが、彼らはどのようにしてお金を稼いでいるのか、また、彼らの仕事、苦悩、社会がかかえる問題などを考えてみました。

米国企業とのタイアップによるファッションブロガーの対価とは!?

We Wore Whatのダニエルさんのインスタグラムより:https://www.instagram.com/weworewhat/

 130万人のフォロワーがいる、「We Wore What」のブロガー、ダニエルさん(22歳)の場合、MILLY(ミリー)などの企業とタイアップしていますが、インスタグラムに写真を一枚投稿すると50万~150万円。昨年の推定収入は、5千万円を超えます。通常、インスタグラムのフォロワー数が10万人あれば、1つの投稿に対して5万~50万円、フォロワー数が600万人にもなると、200万~1,000万円と言われています。業界の調べでは、インスタグラマーとのスポンサーシップ費用は年間に10億ドル(約1,200億円)が使われており、この費用が宣伝費として高いのか分かりませんが、毎日写真をチェックする熱烈なファン達に確実に届ける事ができ、しかも「いいね!」の数やコメントにより自社製品の反応を得られるため、理にかなった宣伝法なのでしょう。

ファッションブロガーの仕事

ブレーク・スコットさんのインスタグラムより:https://www.instagram.com/blakescott_/

 ある程度の交渉は可能らしいが独占契約となる場合、競合ブランドの商品はコーディネートに使わない様にと言われ、その商品が好きでも嫌いでも、期間内に決まった数の商品が無償で送られ、身につけた写真をポストすることになります。ダニエルさんがランコムとワークした際は、彼女の朝の日課を紹介するという内容でコスメバッグの中にいれたランコムの新製品のファンデーションをフィーチャーした写真をポストしたり、ヴァージンホテルとのタイアップでは、シカゴ店のオープニングでポーズした写真をポスト。元々、ブログで紹介していた等身大のライフスタイルからは、かけ離れた世界を演出しなければなりません。

職業ブロガーのジレンマ

 男性インスタグラマーのブレーク・スコットさんの場合、彼女と始めたブログに犬の写真などを投稿していたのですが、その後、始めたインスタグラムに自身のファッションを投稿するようになると、たちまち900「いいね!」をゲットしたのをきっかけに、大学卒業後は就職をせず、ファッションブロガーに転身。ファッションのバックグラウンドは全くない彼が欧米のファッション企業からのオファーに従って、パーソナルスタイルをアップするという職業を選んだのです。企業タイアップのあるブロガーさんが口を揃えて話されることが、趣味ではない服や小物を着用することへのジレンマ。よほどの場合は断ることもあるようですが、自分のセンスに合わない洋服を強いられるのはポリシーにあわず辛く感じるのだそう。プロのモデルとブロガーさんの大きく異なる点と言えます。彼のインスタグラムを見ると、どれもスタイリッシュでクールですが、ウォールストリートのビジネスマンばりのリッチなスーツのコーデもあり、いかにも着せられている印象のものもあります。ライフスタイルに合わないコーディネートで、どこへ行くシチュエーションなのだろうと考えさせられます。

全てのSNSを削除した人気絶頂のスターブロガー

 今年の11月にセンセーショナルだと話題になったのが、オーストラリアのSNSスターのエシーナ・オニールさんが人気絶頂の中、全てのSNSを辞めた理由を涙ながらに語ったユーチューブ動画。現在19歳の彼女は、自撮りしたビキニショットなどを100万人ものフォロワーに向け3年間に渡りアップしていましたが、インスタグラム、タンブラー、スナップチャットなど全てのSNSを突然中止し2,000枚以上の写真を削除したのです。ドリームボディと賞賛される傍ら、その体系を維持するために食事を取らず、エクササイズする不健康な辛い生活を送っていたことを暴露。SNSへの投稿による終わりのない自己愛とパーフェクトボディであるための重いプレッシャー、スポンサーから送られてくる水着を着用し宣伝を続けてきた偽りの努力に大きな罪悪感とストレスを感じていたのです。

Social Media Is Not Real Life

 全てのSNSを中止した彼女のアカウントに残っていたのが、「SNSはリアルライフでは無い」というワード。現在、広告収入のあるユーチューブからVIMEOへとアカウントを移行し、ナチュラルなライフスタイルを紹介した「Let’s Be Game Changers」というウェブサイトをスタートしており、そこはデジタル世代だなあと思いますが・・彼女は1週間に50時間もSNSに費やしていたそうで、パーフェクトなドリームライフを演じるための強迫観念から開放されたことを語っています。

 

Let’s Be Game Changers http://www.letsbegamechangers.com


 

 

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