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2018.05.09

睡眠負債関連市場が1兆円に育とうとしている

 昨年の「新語・流行語大賞」(自由国民社主催)で大賞に選ばれたのは、「忖度」であり「インスタ映え」。ノミネートされた「語」の中から10位にランキングされた言葉をご存知だろうか。「睡眠負債」である。要するに睡眠不足という「負債」が重なることによって起こる、「生活上の不都合」「病気」を克服しようといういわば「警告語」。西野精治氏による『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)は、30万部を超えるベストセラーとなった。それだけ睡眠負債に悩む日本人が多いことを物語っている。

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 いささかデータは古いがOECD(経済協力開発機構)の2014年の調べによると加盟29カ国中、日本人(15歳から64歳/労働人口層)の平均睡眠時間は28位。7時間43分という時間が長いか短いかはともかく「安眠できているかどうかが問題」とされた。最近の民間調査機関の調べによると「日本人の4割が睡眠時間6時間未満」というデータもある。矢野経済研究所の推計では16年で、寝具などベッドリネンの市場規模は約6,800億円。「快適な睡眠」を売りにするホテルや旅館が増えているという。

 睡眠負債対応商品の幅は広い。例えば枕などはその好例。日本快眠協会では睡眠関連商品を扱う専門家(スリープマスター)を養成・認定している。有資格者は「睡眠関連商品」を扱う店で快眠を促す「枕の高さ」などを調整し、オーダーメード枕を販売している。2万5,000円前後が「売れ筋枕」とか。

 催眠鎮静剤市場なども拡大しているという。アンテリオという調査機関のまとめによると、17年までの5年間で15%増えたという。主は医療用医薬品だが、生薬や漢方製剤による一般医薬品も登場している。

 話題の企業?となっている大塚家具では、睡眠をテーマにした専門店「グッドスリープファクトリー」を全国に12店舗展開している。スタッフには大手寝具企業が認定する資格「スリープアドバイザー」の取得を促しているとか。ストレスが溜まっているはずの大塚久美子社長が自社専門店の商品を愛用しているかどうかは定かではない。

 睡眠ビジネスの市場:1兆円は十分に可能な数字と言えそうだ。(千葉明)

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