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2019.01.17
訪日外国人客の消費額、2018年は過去最高の4.5兆円 1人当たりは3年連続減少
関西国際空港の免税店。(c) 123rf
2018年の1年間に訪日外国人観光客が日本国内で消費した額(速報値)が、過去最高の4.5兆円に達したことが、観光庁の推計で分かった。対前年増は2012年以来7年連続で、過去最高額の更新は6年連続。ビザ緩和や航空路線の新規開設で訪日客が増えた結果だが、1人当たりの消費額は中国人観光客の「爆買い」が流行語になった2015年をピークに3年連続のマイナスを記録している。
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調査は羽田、成田など21空港と博多など4港で四半期ごとに出国する訪日外国人観光客約3万5,000人を対象に実施。回答を宿泊費や飲食費、買い物代など項目別に集計し、全体額を推計している。
それによると、2018年の消費額は4兆5,064億円となった。なお、2018年からは近年急増するクルーズ客を加えるなど調査対象を増やしているため推計方式が一部変わり、過去のデータと単純に比較することはできないが、過去の推計方式で国内消費額を計算すると4.8兆円になり、前年を8.7%上回った計算になる。
大阪のミナミ界隈や京都の河原町周辺、東京の浅草地区など観光名所は訪日外国人観光客でごった返しており、地元経済に大きな波及効果をもたらしている。その一方で、1人当たりの消費額は15万2,594円と前年を0.9%下回った。2020年に国内消費額8兆円を目指す政府目標に遠く及ばない結果で、目標達成にはさらなるテコ入れが必要だ。
国と地域別の消費額は中国がトップで1兆5,370億円。韓国の5,842億円、台湾の5,839億円、香港の3,355億円、米国の2,890億円、タイの1,405億円、オーストラリアの1,315億円と続く。中国、韓国、台湾、香港、米国の上位5カ国・地域で全体の73.9%を占めている。
費目別内訳は買い物代が最も多く、全体の34.7%に達した。次いで宿泊費29.3%、飲食費21.7%の順に多かった。前年に比べ、宿泊費と飲食費の構成比が1ポイント以上増えたのに対し、買い物代は2.4ポイント減少している。
観光庁は消費額が前年を上回っている地域が増えている点を好材料とみており、政府目標の達成に向けて訪日客の掘り起こしや地方誘客、顧客満足度の向上に取り組む考えだ。(記事:高田泰・記事一覧を見る)