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2018.12.06

DeNAが「0円タクシー」の運行開始! タダでタクシーに乗れる仕組みと背景は


0円タクシーの仕組み。(画像: ディー・エヌ・エーの発表資料より)

 
 

 ディー・エヌ・エー(DeNA)は、タクシー配車アプリ「タクベル」の提供を4月から神奈川県で始めているが、12月5日にはタクシー事業者と連携して、タクシーの新しい移動体験を実現するため「PROJECT MOV」を発表した。「MOV(モブ)」と名付けた新サービスの最初の一歩が「0円タクシー」だ。乗車料金を無料にしたタクシーを50台用意し、同日から都内でのサービスを開始した。

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 「0円タクシー」は渋谷区、新宿区、港区、中央区、千代田区等の都心部を配車可能エリアとして設定し、東京23区全域を運行可能エリアとしている。

 DeNAが運営するタクシー配車アプリのMOVを通して配車する。アプリの「タクシーを呼ぶ」ボタンを押すと、付近を走行中の「0円タクシー」のアイコンが表示される。次に、タクシー会社選択画面で「0円タクシーby日清のどん兵衛」を選ぶと配車依頼が完了だ。アプリ上の地図では、どん兵衛マークのタクシーが寄ってくる様子が確認できる。

 この「0円タクシー」は契約スポンサーとMOVの広告宣伝費で、乗客の乗車料金を賄うシステムだ。言ってみれば貸し切り状態なので、乗車の回数や走行距離に関係なく、一定の運賃が支払われる。

 今回は日清のどん兵衛がスポンサーのため、車体にはどん兵衛の商品広告が大きく掲載され、車内のタブレットにはどん兵衛とMOVのプロモーション映像が流れる。

 車両台数が50台と限られていることや、日清食品が提供する今回の「0円タクシー」の運行期間が12月5日〜31日(7〜22時)までと短期間であるのが残念だが、26~31日の期間には、乗客に「日清のどん兵衛 天ぷらそば」をプレゼントする企画もある。

 プロジェクトの背景には、スマホによる配車サービスの競合がある。先行している日本交通グループと東京無線協同組合の連合グループを国際自動車などのタクシー7社とソニーの連合や、ライドシェアの大手などが追走する。日交グループの配車アプリが「全国タクシー」で現在は断トツだが、ソニーのグループが設立した「みんなのタクシー」はアプリの開発を進め、18年度中のサービス開始を目指している。

 そんな中に割って入るDeNAは、MOVを効果的にPRする手法の一環として「0円タクシー」を打ち上げたのだろう。興味本位で「0円タクシー」を呼ぶにしても、スマホ内にMOVアプリが必要だ。反響によっては第2弾、第3弾のスポンサー探しも本格化すると見られる。利用してみたいと思う人は少なくない筈だ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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